DeepSeekは2026年10月17日(公式の更新履歴の日付)、新モデルDeepSeek-V4.1-Flash-1017を発表しました。従来のDeepSeek-V4.1-Flashを更新するもので、公式Web版・アプリ・APIで提供しています。推論、コーディング、エージェントによる作業、画像を使う評価の改善に加え、タスクの実行時間と出力の長さを減らしたと説明しています。APIの呼び出し方と料金は据え置きで、モデル名deepseek-flashから最新版を利用できます。
この記事の要点
- 公式Web版・アプリも新モデルに更新され、APIでは
deepseek-flashで利用できます。 - DeepSeekの公表値では、Terminal-Bench 4.0が31.2から42.3、ProgramBenchが20.3から29.1へ改善しました。
- API単価と呼び出し方は変更されていません。オフピーク料金はピーク料金の半額です。
- ピーク時間は平日の日本時間10〜13時と15〜19時です。中国の祝日は除外され、週末と中国の祝日は終日オフピークです。
- Hugging FaceとModelScopeで公開されています。モデルカードでは、リポジトリとモデルの重みのライセンスをMITとしています。
何が発表されたか
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 更新日 | 2026年10月17日(公式更新履歴) |
| 新モデル | DeepSeek-V4.1-Flash-1017 |
| 更新前のモデル | DeepSeek-V4.1-Flash |
| 提供先 | 公式Web版・アプリ・API |
| APIで指定する名前 | deepseek-flash |
| APIの変更 | 呼び出し方・料金とも据え置き |
| 公開先 | Hugging Face・ModelScope |
| ライセンス | リポジトリ・モデルの重みともMIT |

モデルカードでは今回の変更をマイナーアップデートと位置付けています。公式ニュースでは、自己フィードバックを用いた強化学習によって、ゲーム制作から3Dモデリングまで、プロジェクトを最初から完成まで進める開発能力を改善したと説明しています。作例には紫禁城の3Dモデル、Webレーシングゲーム、Godotエンジンを使ったPortal 2の再現などが挙げられています。
前モデルとのベンチマーク比較
Hugging Faceのモデルカードには、前モデルと新モデルの評価結果が掲載されています。以下はDeepSeek自身が公表した数値です。ツールの有無や実行環境などの条件があるため、数値と注記を合わせて確認する必要があります。
| ベンチマーク | 前モデル | 1017版 |
|---|---|---|
| HLE(ツールなし) | 36.8(39.1†) | 42.6(44.0†) |
| Terminal-Bench 4.0 | 31.2 | 42.3 |
| DeepSWE v1.1 | 74.2 | 77.0 |
| ProgramBench | 20.3 | 29.1 |
| NL2Repo-Bench | 65.4 | 68.2 |
| Automation-Bench v1.0.6 | 54.8 | 60.5 |
| Agents’ Last Exam | 31.8 | 35.4 |
| Apex Bench v1.1 | 64.6 | 72.1 |
| Chartography(ツールあり) | 78.9 | 83.0 |
| BabyVision(ツールあり) | 89.6 | 92.5 |
| ZeroBench-main(ツールあり) | 49.0 | 51.0 |
前モデルはDeepSeek-V4.1-Flash、1017版はDeepSeek-V4.1-Flash-1017です。†はHLEのテキストのみの評価対象で測定した数値を示します。Terminal-Bench 4.0はClaude Code、DeepSWE v1.1はMini-SWE-V2という、モデルにタスクを実行させる仕組みを使っています。公式更新履歴によると、ZeroBench-mainはPass@5(5回の試行での成功をみる指標)で評価されています。
掲載された11項目では、いずれも前モデルを上回る数値となっています。一方、実行時間や出力の長さについては削減したとの説明はありますが、出典の本文には一律の短縮率や削減率は示されていません。
他社モデルとの比較はDeepSeekの発表値
他社モデルの数値も、同じモデルカードに掲載されたDeepSeek自身の発表値です。独立した第三者による比較結果ではありません。以下に一部を抜粋します。
| 評価 | DeepSeek-V4.1-Flash-1017 |
GPT-5.6 Sol |
Opus 5 |
|---|---|---|---|
| DeepSWE v1.1 | 77.0 | 73.0 | 74.0 |
| ProgramBench | 29.1 | 23.0 | 37.0 |
| Automation-Bench v1.0.6 | 60.5 | 45.8 | 50.3 |
この抜粋でも、DeepSWE v1.1とAutomation-Bench v1.0.6では新モデルの数値が高い一方、ProgramBenchではOpus 5が上回っています。評価項目によって比較結果が異なります。
API料金と呼び出し方は据え置き
APIでは引き続きdeepseek-flashをモデル名に指定します。料金ページに記載されたOpenAI形式のベースURLはhttps://api.deepseek.com、Anthropic形式はhttps://api.deepseek.com/anthropicです。今回の更新に伴う呼び出し方法の変更はありません。
以下はdeepseek-flashの100万トークンあたりの料金です。トークンは、文章をモデルが扱う際の小さな単位です。入力はキャッシュヒット(保存済みの入力を再利用できる場合)とキャッシュミス(再利用できない場合)で単価が異なります。
| 課金区分 | オフピーク | ピーク |
|---|---|---|
| 入力・キャッシュヒット | 0.003ドル | 0.006ドル |
| 入力・キャッシュミス | 0.15ドル | 0.3ドル |
| 出力 | 0.6ドル | 1.2ドル |
ピーク時間は月曜から金曜のUTC 1〜4時と6〜10時、日本時間では同日の10〜13時と15〜19時です。ただし中国の祝日は除外されます。それ以外の時間帯はオフピークで、週末と中国の祝日は終日オフピークです。休日の基準として記載されているのは中国の祝日です。
料金ページでは、コンテキスト長(一度に扱える情報量)は1M、最大出力は384Kとされています。Thinking Mode(回答前に推論を行うモード)と非推論モードの両方に対応し、初期設定は推論モードです。画像入力、JSON出力、ツール呼び出し、Responses API、Anthropic APIにも対応しています。
旧モデル名の扱いと公開モデルの利用
旧モデル名のdeepseek-v4-flashとdeepseek-v4-flash-vision-expは、引き続き受け付けられます。ただし、それぞれに対応する旧モデルは提供を終了しており、リクエストはDeepSeek-V4.1-Flash-1017で処理され、Flashの料金で課金されます。旧名を指定しても旧版のモデルが動作するわけではありません。料金ページには、これらの名前の受付終了日は書かれていません。
DeepSeek Harness、Tencent CodeBuddy、WorkBuddyなどに向けた最適化も行われています。DeepSeekは、新モデルを利用する際にDeepSeek Harnessを0.2.1-rc.1以降へ更新するよう案内しています。
モデルはHugging FaceとModelScopeで公開されています。Hugging Faceのモデルカードは、リポジトリとモデルの重み(学習済みのパラメーター)がMITライセンスの対象であると明記しています。ローカルで動かすための重みの変換や推論の手順は、リポジトリ内のinferenceフォルダーを参照する構成です。
今回の公開物にはJinja形式のチャットテンプレートが含まれません。会話をモデル向けの形式へ変換するPythonの参照実装がencodingフォルダーに用意されています。本番利用向けには、同じプロンプト形式を扱うdeepseek-recipeも公開されていますが、モデルの推論、ツールの実行、HTTP通信は利用側で担うと説明されています。
同日にはSearch API(Web検索)とFetch API(ページ本文の取得)の一般公開も発表されました。詳細はDeepSeek Search/Fetch APIの記事で紹介しています。モデル更新の情報はDeepSeek更新履歴も参照してください。
利用者・開発者が確かめること
- APIで指定するモデル名が
deepseek-flashになっているか確認します。 - 旧モデル名を利用中の場合も、処理は1017版へ切り替わっていることを確認します。
- 料金の見積もりでは入力のキャッシュ有無と出力を分け、日本時間のピーク時間、中国の祝日の扱いを確認します。
- DeepSeek Harnessを使う場合は、案内されている0.2.1-rc.1以降への更新を確認します。
- モデルを自分で動かす場合は、MITライセンスと推論手順、Jinja形式のテンプレートが含まれない点を確認します。


