SpaceXSI(xAI)は2026年10月14日(公式の更新履歴の日付)、音声APIの新モデルGrok Voice 3.0を公開しました。音声を受け取り音声で応答する「Speech to Speech」で利用でき、料金はGrok Voice 2.0から据え置きです。最新モデルを指定する別名grok-voice-latestは3.0を指すようになり、この別名を使うセッションは自動的に更新されます。同日、2.0の非推奨化も発表されました。
この記事の要点
grok-voice-3.0がSpeech to Speechで利用可能になり、接続先・セッション設定・イベントは2.0と共通です。grok-voice-latestを使うセッションは自動で3.0に切り替わります。2.0を固定指定している場合は変更が必要です。- 料金は毎分0.08ドル(毎時4.80ドル)、テキスト入力1回あたり0.004ドルで据え置きです。
- 日本語を含む20以上の言語に対応し、入力言語を自動検出して同じ言語で応答します。
- OpenAI Realtime APIとの互換性がありますが、イベント名の違いや非対応イベントもあります。2.0の停止日は出典の公式情報に書かれていません。
何が発表されたか
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 発表元・日付 | SpaceXSI(xAI)、2026年10月14日 |
| 新モデル | grok-voice-3.0 |
| 対象機能 | Speech to Speechによるリアルタイム音声対話 |
| 最新モデルの別名 | grok-voice-latestは3.0を指定 |
| 旧モデル | grok-voice-2.0は非推奨 |
| API・料金 | 2.0から変更なし |
| 日本語 | 対応言語一覧に記載あり |

Speech to Speechは、WebSocketという双方向の接続を通じて、音声とテキストをやり取りするAPIです。公式ドキュメントは、音声アシスタント、電話応対エージェント、対話型の音声システムを用途として挙げています。今回の発表は、この音声対話に使うモデルの更新です。
公式ドキュメントでは3.0を最新の推奨音声モデルと位置づけています。更新履歴には、2.0と同じ料金で使えることに加え、API自体は変わらないことが明記されています。Grokの更新をまとめて確認する場合は、Grok更新履歴も参照してください。
モデルの指定方法と2.0からの移行
接続時は、URLのクエリパラメーターmodelでモデルを指定します。接続先はwss://api.x.ai/v1/realtimeで、3.0を固定して使う場合の指定は?model=grok-voice-3.0です。バージョンを含む名前を指定すると、特定のリリースに固定できます。
| 現在の指定 | 扱い・移行方法 |
|---|---|
grok-voice-latest |
すでに3.0で動作。自動更新の対象 |
grok-voice-2.0 |
非推奨。modelを3.0または最新の別名へ変更 |
grok-voice-3.0 |
3.0をバージョン指定で利用 |
新しい連携にはgrok-voice-latestを使うよう案内する一方、公式ドキュメントは、本番環境では安定性のためにバージョン付きのモデル名へ固定することも勧めています。別名は常に最新モデルを指すため、3.0に固定する指定とは役割が異なります。
2.0から3.0への移行では、接続先、セッションのパラメーター、イベントは共通です。ただし、非推奨化の告知に2.0の停止日は書かれていません。2.0を指定したリクエストが自動的に3.0へ転送されるかについても、この告知には記載がありません。
移行時の指示文については、公式ドキュメントが短く簡潔にするよう案内しています。既存のシステムプロンプトをそのまま移すのではなく、Grokに一般化させることや、以前のモデルの不具合・制限を補うためだけに加えた指示を取り除くことが推奨されています。
また、推論は初期状態で有効です。reasoning.effortの初期値は"high"で、複数段階の複雑な指示、細かな口調、曖昧な質問に対応する設定と説明されています。推論を無効にするには"none"を指定します。
料金は据え置き、音声とテキスト入力の単価を確認
公式料金表では、3.0と非推奨の2.0に同じ単価が掲載されています。音声対話の料金だけでなく、テキスト入力の料金も共通です。
| モデル | 時間あたりの料金 | テキスト入力 |
|---|---|---|
grok-voice-3.0 |
0.08ドル/分 4.80ドル/時 |
0.004ドル/入力 |
grok-voice-2.0(非推奨) |
0.08ドル/分 4.80ドル/時 |
0.004ドル/入力 |
料金表ではSpeech to Speechのほかに、音声を文字にする「Speech to Text」と、文字を音声にする「Text to Speech」が別の項目として掲載されています。今回の「料金据え置き」は、Speech to Speechの2.0と3.0の比較を指します。
日本語に対応し、入力言語は自動で検出
Speech to Speechは20以上の言語に対応し、対応言語一覧には日本語とその言語コードjaが含まれます。公式説明によると、モデルは入力言語を自動で検出し、同じ言語で自然に応答します。この自動検出のための設定は不要です。
同じ会話の途中で言語を切り替える機能にも対応しています。応答に使う言語やアクセントをそろえたい場合は、システム指示に希望を記載できます。一覧にない言語での会話も可能とされていますが、その精度には差があると説明されています。
| 目的 | 公式に示された方法 |
|---|---|
| 入力と同じ言語で応答 | 自動検出。設定不要 |
| 希望の言語・アクセントを指定 | システム指示に記載 |
| 文字起こしの言語を補助 | audio.input.transcription.language_hintを設定 |
Language Hint(文字起こしの言語を指定して認識を補助する設定)は、session.updateで指定します。値には対応言語一覧のBCP-47コードを使い、日本語ならjaです。セッションの途中でも変更できます。これは文字起こしを特定の言語に寄せるための指定として説明されています。
OpenAI Realtime API互換と外部システム連携
公式ドキュメントは、GrokのSpeech to Speech APIがOpenAI Realtime APIと互換性を持つと説明しています。多くのOpenAIクライアントライブラリやSDKは、接続先のベースURLをwss://api.x.ai/v1/realtimeへ変更することで利用できるとしています。
ただし、互換性の説明にはイベント名の違いと非対応イベントがあることも記されています。たとえば、入力音声の文字起こしの途中経過を知らせるイベントは、OpenAIのconversation.item.input_audio_transcription.deltaに対して、xAIではconversation.item.input_audio_transcription.updatedという名前で、差分ではなくそれまでの文字起こし全体(途中の修正を含む)が届きます(文字起こしモデルにgrok-transcribeを指定した場合)。また、conversation.item.retrieveには対応していません。既存の実装で使うイベントが対応しているかは、移行時の確認事項です。2.0と3.0の間でAPIが変わらないという説明と、OpenAIのAPIとの互換性は、区別して読む必要があります。
電話システムとの接続方法としてはSIP、WebSocket、LiveKitが挙げられています。電話音声で使うG.711 μ-law/A-law形式にも標準で対応します。また、Tool Calling(会話中に外部の機能を呼び出す仕組み)を通じて、顧客管理システム、カレンダー、データベース、RESTやGraphQLの接続先と連携できると説明されています。
利用者・開発者が確かめること
- 現在の
modelが、最新の別名、2.0の固定指定、3.0の固定指定のどれになっているか確認します。 - 2.0を固定している場合は3.0への変更を確認します。非推奨化の告知には停止日の記載がありません。
- 移行に合わせてシステム指示を整理し、
reasoning.effortの初期値"high"も確認します。 - 日本語の自動検出、システム指示による言語指定、文字起こしの言語ヒントの使い分けを確認します。
- OpenAIのライブラリを使う場合は、接続先と利用イベントの対応状況を確認します。


