この記事の要点
- 「2,100万→8,000万」は、Ahrefsによる自然検索からの推定クリック数です。実際の訪問数ではありません。
- 8,000万はピーク時の値です。投稿元が示した10月13日時点の値は4,900万でした。
- 同じ時期に順位ツールのデータの乱れが報告されています。ただし、Google Sites(sites.google.com)の増加がツールの誤差だったとも断定できません。
- 日本語の検索結果でGoogle Sitesが増えたと示す公開データは、10月18日時点で見つかっていません。今の根拠では、上位表示の急増やGoogleによる優遇は確かめられません。
2026年10月18日(日本時間)、フランスのSEOコンサルタント、Paul Vengeons氏がXに投稿しました。SEOとは、検索結果で見つけてもらいやすくするための取り組みです。投稿の内容は「Google Sitesは月間訪問2,100万から8,000万になった」というものでした。表示は10月18日時点で約9,500回です。引用元は、SEOコンサルタントのJesper Nissen氏による10月16日(日本時間)の英語の投稿です。こちらは約2万1,000回表示されています。Nissen氏は、9月のスパムアップデートのあとに増えたと説明しました。スパムアップデートとは、検索の不正対策に関する更新です。投稿では、Googleのサービスを使うパラサイトSEOも紹介していました。パラサイトSEOとは、評価の高い他人のサイトやサービスにページを置き、その評価を借りて上位表示を狙う手法です。
Google Sitesは、Googleアカウントがあれば無料でサイトを作れるサービスです。学校や企業、地域団体のサイトや、社内向けサイトにも広く使われています。その全体の推定値が増えても、不正なページの上位表示が増えたとは限りません。この記事の調査範囲は、2026年10月18日までに公開されている情報(X投稿、Googleの公式文書、SEOツール会社の説明、業界の調査記事)で、AB通信が日本語・英語の検索結果を自分で集めたデータは、このあと追加します。
結論:今の根拠では『上位に急増した』とは言えない
公開情報だけでは、Google Sitesのページが検索上位に急増したとは言えません。根拠の中心は、SEOツール会社Ahrefsの推定値です。対象国の内訳は示されていません。日本語の検索結果にも同じ変化があったかは分かりません。
Nissen氏は、自分が狙うアフィリエイト向けの検索語で、9月25日ごろからGoogle Sitesを見かけたと説明しています。アフィリエイトとは、商品などの紹介に応じて報酬を得る仕組みです。また、デンマーク語の画面では、1語の検索でAI概要の引用元にGoogle Sitesのページが出ています。AI概要は、検索結果に表示されるAIによる要約です。この観察だけでは、広い範囲での上位表示の急増までは確かめられません。
一方で、増加がなかったと証明されたわけでもありません。「公開情報では確かめられない」ことと、「投稿の内容が間違っている」ことは別です。順位ツールのデータが乱れた可能性と、実際に検索結果が変わった可能性を分けて考える必要があります。
『2,100万→8,000万』は何の数字か
数字の出どころは、Nissen氏が10月13日にブログとXで示したAhrefsのグラフです。氏の説明では、更新前の月間のオーガニック流入は約2,100万でした。オーガニック流入とは、広告を除く自然検索からの流入です。更新の翌日に4,400万となり、10月初めに8,000万で頭打ちになったとしています。10月13日時点では4,900万に下がっていました。
Ahrefsの「Organic traffic」は、実際の訪問数を測った値ではありません。検索語ごとの順位、月間検索ボリューム、推定クリック率から計算した値を足しています。検索ボリュームは検索される回数、クリック率は表示に対してクリックされる割合です。Ahrefs自身も、推定値として扱うよう説明しています。したがって、ここでの8,000万はGoogleの自然検索からの推定クリック数です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| もとの指標 | Ahrefsの「Organic traffic」(Googleの自然検索からの推定クリック数、月あたり) |
| 対象 | sites.google.com 全体(国の内訳は示されていない) |
| スパムアップデート前 | 約2,100万 |
| アップデートの翌日 | 4,400万 |
| 10月初め(ピーク) | 8,000万 |
| 10月13日 | 4,900万 |
| フランス語の投稿での表現 | 「月間訪問」2,100万→8,000万 |
8,000万はピーク時の値で、Ahrefs 1社の推定です。対象国の内訳も示されていません。フランス語の投稿では「訪問」と言い換えられ、4,900万に下がったことには触れていません。sites.google.com全体の訪問には、直接のアクセスや社内・学校での利用も多く含まれます。全体の訪問の増減のうち、検索経由がどれだけかは公開データでは分けられません。
10月14日、SEO専門家のLily Ray氏は、実際に測った一次データで裏付けたのかと質問しました。順位ツールの多くに問題が起きているとも指摘しています。Nissen氏は、Ahrefsのデータであり、順位ツールの問題の可能性は十分あると答えました。提示されたほかの根拠は、自身の検索での体験と、先に挙げたデンマーク語の検索画面です。
出典:Jesper Nissen氏のブログ(2026年10月13日)、Jesper Nissen氏のX投稿(2026年10月14日)、Ahrefsヘルプ「What is Organic Traffic in Ahrefs and how do we calculate it?」
同じ時期、順位ツールのデータが乱れていた
検索順位を計測するツールのNozzleは、10月10日に調査を公開しました。Googleが9月13日ごろから自動取得をブロックしたとする内容です。9月20日からは、正常に見えても中身が入れ替わった検索結果を返していたと報告しています。9月13日以降の取得結果では、その割合は8.0%でした。それ以前は0.17%で、9月27〜29日は約4分の1だったとしています。これはNozzleの調査結果であり、Googleは公式にコメントしていません。
Ahrefsも9月29日、Googleの検索結果の出し方の変化を受けて告知しました。一部のSERPデータに不整合が出る可能性があるという説明です。SERPとは、検索結果ページのことです。sites.google.comの推定値が急増した9月25日〜10月初めは、この時期と重なります。
ただし、入れ替わった結果にGoogle Sitesが多く含まれていたと示すデータはありません。Nozzleが多く出ていたと報告したのは、Reddit、Facebook、LinkedIn、Instagram、Quoraです。Nissen氏のグラフも10月13日には4,900万に下がっていますが、その理由は確かめられません。時期が重なるだけで「ツールの誤差だった」とは言い切れません。
出典:Nozzle「Poisoned Google SERPs」(2026年10月10日)、Bonfire Digital(Ahrefsの9月29日の告知を掲載)
Googleの別のサービスでは、上位表示の記録がある
Googleの別のサービスには、検索への掲載や上位表示の記録があります。Search Engine Roundtableは9月22日、公開NotebookLM(Gemini Notebook)のページがスパムに使われたと報じました。インデックス登録、つまり検索の対象として登録されたページは1万2,000件以上です。内容はクーポン、ペプチド、アダルトなどでした。翌9月23日、Googleは共有ノートブックのページを検索結果から削除しました。Nissen氏の投稿にある「Google notebooksは2日で消された」は、この件を指しています。
Google Apps Scriptで公開されたページについても、検索で順位を得ていたとする調査があります。SEO会社Synscribeが運営するMoleのブログで、10月6日に更新されました。調査者はシンガポールから実際に検索し、上位表示を確認しています。Ahrefsでは10月4日時点で2万3,377ページでした。推定流入の国別では、インドネシア37%、インド28%、米国1.1%です。調査記事自体も、Ahrefsの推定値の合計は不確かだとしています。訪問者と検索エンジンに違う内容を見せる「クローキング」も見つかりました。10月5日時点でGoogleの声明はありませんでした。
| 時期 | サービス | 記録されたこと |
|---|---|---|
| 2023年9月 | Google Sites | Googleのミューラー氏が「インデックスされうるが、SEO目的には理想的ではない」と説明 |
| 2026年9月22〜23日 | 公開NotebookLM(Gemini Notebook) | スパムのページ1万2,000件以上がインデックス。翌日、Googleが検索結果から削除 |
| 2026年9月下旬〜10月 | Google Apps Script | Ahrefsで2万3,377ページが順位を持つ(10月4日)。シンガポールからの検索で上位表示を確認。クローキングも |
| 2026年9月25日〜10月 | Google Sites | Ahrefsの推定値が増えたとの投稿のみ。第三者の検証やGoogleの対策の記録は見つからず |
これらは、Google Sitesとは別のサービスの記録です。そのままGoogle Sitesの急増の証拠にはできません。Google Sitesについて、一時的に上位に出てGoogleが対策したという公式の記録は、今回見つかりませんでした。なお、2023年9月には、Googleのジョン・ミューラー氏がGoogle Sitesもインデックスされうると述べています。同時に「SEO目的には理想的ではない」と説明しています。
出典:Search Engine Roundtable「Google Notebook Pages Spamming Google Search」(2026年9月22日)、Mole「Spammers Are Using Google Apps Script To Rank In Google Search」(2026年10月6日更新)、Search Engine Journal(2023年9月7日)
Googleの公式の記録とルール
9月のスパムアップデート
September 2026 spam updateは、日本時間2026年9月25日1:15に始まり、10月8日17:00に完了しました。対象は全世界・全言語です。Googleは「通常のスパムアップデート」と説明し、対象の手法は公表していません。Google Sitesへの言及もありません。なお、リンクスパムは対象外だったとSearch Engine Roundtableが取材で伝えています。リンクスパムとは、検索順位の操作を主な目的としてリンクを作る行為です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 名称 | September 2026 spam update |
| 開始 | 2026年9月25日 1:15(日本時間) |
| 完了 | 2026年10月8日 17:00(日本時間) |
| 対象 | 全世界・全言語 |
| 対象の手法 | 公表なし(リンクスパムは対象外) |
スパムポリシーはGoogle自身のサービスにも適用される
Googleのスパムポリシーは、検索の不正行為に関するルールです。日本語版には「これらのポリシーは、Google 独自のプロパティに表示されるものも含め、すべてのウェブ検索結果に適用されます。」とあります。「Google 独自のプロパティ」はGoogle自身のサービスなどを指します。Googleのサービス上にあるだけで、ルールの対象外になるわけではありません。
違反時の扱いも明記されています。「Google のポリシーに違反しているサイトは、検索結果での掲載順位が下がったり、まったく表示されなかったりすることがあります。」という文言です。関係しうる項目には、利用者が投稿するスパムや、大量生成されたコンテンツの不正使用などがあります。利用者によるスパムの例としては、「誰でも登録できるホスティング サービスのスパム アカウント」が挙げられています。ホスティングサービスとは、サイトを公開する場所を提供するサービスです。
Googleは2025年11月13日の公式ブログで、パラサイトSEOを「サイトの評判の不正使用」と呼んでいます。ただし、ポリシーには違反と見なされない例もあります。「フォーラム ウェブサイトやコメント セクションなど、ユーザー作成コンテンツが可能なように設計されたサイト」です。Google Sitesのように誰でも使えるサービス上のページが、どの項目に当たるかはGoogleが個別に判断します。サービス名や掲載場所だけで、違反とは断定できません。
出典:Google 検索セントラル「Google ウェブ検索のスパムに関するポリシー」、Google公式ブログ「Defending Search users from “Parasite SEO” spam」(2025年11月13日)
Google Sitesの利用規約でもスパムは禁止
Google Sitesなどに適用される「不正使用に関するプログラム ポリシー」は、「スパム行為を行わないでください。」と定めています。望まれていない宣伝や営利目的のコンテンツ、自動生成された迷惑コンテンツなどが含まれます。ギャンブル、医薬品、未承認のサプリメントなど、規制対象の商品の宣伝も禁止されています。
違反時の措置としては、「コンテンツへのアクセス制限、コンテンツの削除、Google サービスへのユーザー アクセスの制限または停止」が示されています。検索順位に関するルールに加え、サービスの利用についても制限があります。
出典:Google ドキュメント エディタ ヘルプ「不正使用に関するプログラム ポリシーと違反措置」
日本語の検索結果ではどうか
10月18日時点では、日本語の検索結果でGoogle Sitesが増えたと示す公開データや報道は見つかりませんでした。英語圏の大手SEOメディアでも、Google Sitesの急増は報じられていません。これは増加を否定する証拠ではありません。AB通信による日本語の検索結果の独自データも、現時点では未収録です。
AB通信では、日本と米国でそれぞれ60語を調べ、結果を追記する予定です。対象は、稼ぎ・副業、ギャンブル、サプリ・医薬、クーポン・紹介コード、ツール・アカウント、学校・地域団体の6つの分野です。各分野10語を、ログインせずにPCとスマホで検索します。上位20位とAI概要の引用元に、Googleのサービス上のページがいくつ出るかを記録します。調査は1週間おきに3回行う予定です。
自分の検索結果で確かめるには
- Search Consoleで、自社サイトの表示回数とクリック数を確認します。Search Consoleは、Google検索での自社サイトの実績を確認するサービスです。比較は同じ日数で行います。たとえば、10月22日までのデータがそろったあとに、9月11〜24日と10月9〜22日を比べます。
- 順位ツールで順位が落ちた検索語は、実際にログインせずに検索します。上位にどのページが出るかを見ます。
- 特定のサイトに絞る「site:検索」の件数は概数です。順位の代わりにはなりません。Googleも、登録済みのすべてのURLを返すわけではないと説明しています。検索語を加えないsite:検索では、結果を順位付けしないとも説明しています。
- Googleのサービス上にある商用ページも、安易にクリックしないようにします。Googleのサービスで公開されていることだけを、信用の根拠にしないでください。
- スパムだと思ったら、Googleの「スパムレポート」や、ページ下の「不正行為を報告」から報告します。
出典:Google 検索セントラル「site: 検索演算子」
よくある質問
Google Sitesで作ったページは検索に出ないのですか?
検索に出ることはあります。Googleのジョン・ミューラー氏は2023年9月、Google Sitesで作ったサイトはインデックスされうると述べました。ただし、「SEO目的には理想的ではない」とも説明しています。検索の対象になることと、上位に表示されることは別です。
Google自身のサービスなら評価が高いのですか?
Googleは、自社サービスだから検索での評価が高いとは説明していません。スパムポリシーは、自社サービスにも適用すると明記しています。実際に今秋は、公開NotebookLMの共有ノートブックのページが検索結果から削除されました。
9月のスパムアップデートはGoogle Sitesを優遇したのですか?
Googleは、更新で対象とした手法を公表していません。Google Sitesへの言及もなく、優遇を示す公式情報はありません。更新と推定値の増加の時期が重なっても、それだけでは優遇したとは言えません。
まとめ
「2,100万→8,000万」は、Ahrefsによる自然検索からの推定クリック数です。実際の訪問数ではなく、8,000万はピーク時の値でした。同じ時期には順位ツールのデータの乱れも報告されています。今の根拠では、Google Sitesの上位表示が急増したとも、すべてツールの誤差だったとも断定できません。
Googleの別のサービスには、上位表示や検索結果からの削除の記録があります。ただし、それをGoogle Sitesや日本語の検索結果にそのまま当てはめることはできません。この記事の調査範囲は2026年10月18日時点の公開情報で、日本語の検索結果の独自データは未収録です。
出典
- Paul Vengeons氏のX投稿(2026年10月18日)
- Jesper Nissen氏のX投稿(2026年10月16日)
- Jesper Nissen氏のブログ(2026年10月13日)
- Jesper Nissen氏のX投稿(2026年10月14日)
- Ahrefsヘルプ「What is Organic Traffic in Ahrefs and how do we calculate it?」
- Nozzle「Poisoned Google SERPs」(2026年10月10日)
- Bonfire Digital(Ahrefsの9月29日の告知を掲載)
- Google Search Status Dashboard「September 2026 spam update」
- Search Engine Roundtable(2026年9月24日)
- Google 検索セントラル「Google ウェブ検索のスパムに関するポリシー」
- Google公式ブログ「Defending Search users from “Parasite SEO” spam」(2025年11月13日)
- Google ドキュメント エディタ ヘルプ「不正使用に関するプログラム ポリシーと違反措置」
- Google 検索セントラル「site: 検索演算子」
- Search Engine Roundtable「Google Notebook Pages Spamming Google Search」(2026年9月22日)
- Mole「Spammers Are Using Google Apps Script To Rank In Google Search」(2026年10月6日更新)
- Search Engine Journal(2023年9月7日)


