元GitHub CEOのThomas Dohmkeが率いるEntireは、2026年10月26日付のプレスリリースおよび公式ブログで、AIエージェントと人の共同開発向けGit forge「Entire」を公開した。プルリクエストに代わるTrails、分散Gitホスティング、セッションをリポジトリに同期するContinuous Memoryの3つを柱とする。開発者向けに本日(発表時点)から利用可能、と公式は案内している。
要点(3行)
- TrailsがPRの代わり。プッシュごとにエージェントがカスタム評価(evals)でスコアし、FindingsとGatesでマージ判断を支援
- 分散Gitホスティングは公式OSSベンチでプッシュ最大89倍(GitHub比)。リージョンはUS / EU / Australia / India
- Continuous Memory(entire-graph / entire-brain)でセッションとプロンプトをリポジトリに同期。entire-graphは公式テストで最大71%のトークン削減と記載
何が発表されたか
公式ブログ「The Git Forge for Agent-Human Collaboration」(Thomas Dohmke)は、エージェントと人が同じ基盤でホスト・レビュー・共同作業するためのGit forgeとしてEntireを紹介している。柱は次の3プリミティブだ。
- The Trail — 差分中心のPRではなく、プッシュごとの評価スコアを前面に出したレビュー単位
- Distributed Git hosting — Git互換の新サーバ。複数リージョンへのレプリケーションとデータレジデンシー
- Continuous Memory — エージェントセッションとプロンプトをGitリポジトリへ同期し、検索可能にする
オープンなエコシステムも掲げ、初日はBuildkiteとDepotをCIパートナーとして統合している。Newsroomのプレスリリース見出しは「Entire Launches an Independent Git Forge for Agent-Human Collaboration」(2026-10-26)。
Trails(PRに代わるレビュー単位)
公式は、PRのタイムラインがエージェント同士のやりとりで監査ログ化し、人がマージ判断しづらくなっている、と問題を整理する。Trailは評価スコアをページ上部に集め、「あと何ループ必要か/マージしてよいか」を判断しやすくする、という位置づけだ。
ライフサイクルは公式ブログで3ステップとして説明されている。
- Spinning Up a Trail — バグ報告・機能要望から、またはエージェントから開始。複数リポジトリにまたがるTrailも可
- Scoring with Evals — プッシュのたびにレビューエージェントがクラウドサンドボックスで独立評価。例としてSecurity / Slop / Human Review Required。直近5回+今回のスコアを表示
- Close Findings, Then Merge — 指摘(Findings)の対応または却下。Gatesで人の承認やCI合格などをマージ条件に設定可能
評価エージェントはプロジェクトにプリセットがあり、UIまたはリポジトリ内の.jsonで独自設定もできる。裏側ではClaude CodeとCodexを、Daytona / E2Bの隔離サンドボックス上で使う、と公式は記載している。
分散Gitホスティング
Entire上で新規ホスト、またはGitHubからのミラーが可能。新アーキテクチャ(分散オブジェクトストア+トランザクションなref DB、Git互換)により、公式のオープンソースベンチマークではプッシュがGitHub比最大89倍、Cursor Origin比6倍速い、と発表している。数値は次のとおり(公式表・pushes per second)。
| Forge | Pushes per second(公式) |
|---|---|
| Entire | 418 |
| Cursor | 65 |
| Pierre | 15 |
| GitLab | 10 |
| GitHub | 4.7 |
リージョンは発表時点でUS / EU / Australia / India。プロジェクト作成時にプライマリリージョンを選び、必要に応じて複製できる。GitHubを正本のままミラーし、その上でTrailsを使う運用も案内されている。障害時はリージョンミラーからclone/fetchを継続し、エージェントはentire/unmirrored/接頭辞のブランチへプッシュできる、と公式は説明している。完全移行はDetach、またはentire-migrateプラグインなど。
Continuous Memory
セッション終了で失われがちな判断・制約・試行錯誤をリポジトリ側に残し、次のエージェントがゼロから学び直さないようにする仕組み、と公式は位置づける。「CIがコードを集め、CDが届けるなら、Continuous Memoryは理解を前に運ぶ」との説明だ。
- entire-graph — リポジトリのマップ(検索・定義・呼び出し元・型・ルート・変更影響など)。tree-sitterによるローカル解析で、ネットワークやモデル呼び出しはしない、と記載。公式テストで最大71%のトークン削減
- entire-brain — エージェントセッションをインデックスし、グラフに紐づけて永続メモリ化。OSSかつlocal first。Entireバックエンド接続でチーム共有も可能
CI(Buildkite / Depot)
初日はBuildkiteとDepotのファーストクラス統合。CIはプロジェクト単位で設定し、プッシュ結果がTrail上のチェックとして表示され、失敗時はマージをブロックできる。Buildkite向けにはGitHub Actionsワークフローをbk pipeline convertで移行できる案内がある。Depotはdepot ci migrateで既存Actionsを取り込み、秒課金、と公式は説明する。
実務担当者・マーケター向けの読みどころ
- 「PRの代替」ではなく評価ループの可視化が売り。エージェントが増えた開発フローのレビュー負荷を説明する材料になる
- ホスティング速度の数字は公式ベンチ。提案時は自社ワークロードでの再計測が前提、と伝えるとよい
- Continuous Memoryはトークン削減と「なぜそう書いたか」の共有がセット。コストとナレッジの両面で触れやすい
- GitHubミラー併用が公式に用意されているため、「いきなり全面移行」以外の段階導入も説明できる
- CIはBuildkite / Depotが初日。GitHub Actions利用者向けの移行コマンドも案内されている
注意点・補足
- プッシュ速度(89x・表の数値)とトークン削減(最大71%)は公式のベンチ/テスト記載。第三者検証や全リポジトリでの保証ではない
- 評価エージェントの実体(Claude Code / Codex)やサンドボックス(Daytona / E2B)は公式ブログの記載に基づく。プラン別の利用条件はEntireの最新ドキュメントで確認すること
- 本記事は機能発表の整理であり、特定プランでの可用性や価格を保証するものではない
- 「今日から利用可能」は公式ブログの表現(発表時点)。サインアップ条件は公式サイトで確認
出典
- Entire Blog — The Git Forge for Agent-Human Collaboration(Thomas Dohmke・一次出典)
- Entire Newsroom — Entire Launches an Independent Git Forge for Agent-Human Collaboration(2026-10-26)
- X(@ashtom / Thomas Dohmke)— 告知投稿(参考)


