Google、順位計測ツールに『毒入り』検索結果か Semrushが声明

通常の検索結果と、中身が入れ替わった検索結果を比べるイラスト

2026年9月ごろから、Googleが順位計測ツールなどの自動アクセスに対し、本物そっくりで中身の違う検索結果を返しています。海外では「毒入りの検索結果(poisoned SERPs)」と呼ばれています。この問題について、大手SEOツールのSemrushが10月19日(米国時間)に声明を出しました。「夏の終わりから確認している」「ユーザーが計測している順位への影響は限定的」という内容です。Semrushの声明、計測会社Nozzleの調査、各ツールの対応、Google側の情報を、公式に確認できたことと未確認の情報に分けてまとめます。順位の急落が本物かどうか、Search Consoleで確かめる手順も紹介します。

この記事の要点

  • 【確認済み】Semrushは「夏の終わりから、Googleが不正確な結果を返す問題を確認している」と声明を出しました。チェックを追加して結果をふるい分けており、影響は限定的だとしています。ただし個別のケースは残っていて、多くは検索結果の2ページ目以降です。
  • 【確認済み】SE Ranking、Sistrix、AccuRanker、SerpApiも、自社サイトなどで問題と対応を公表しています。NozzleがGoogleの結果ページ1,780万件を調べたところ、8.0%が「毒入り」でした。普段の割合は0.17%です。
  • 【確認済み】Googleはこの件について公にコメントしていません。一方で、Googleのスパムポリシーは、許可のない順位チェック目的の自動アクセスを禁じています。
  • 【未確認】Googleの狙いがAIによる検索結果の収集を防ぐことだという見方は、各社や専門家の推測です。
  • ツール上で急落が見えても、すぐには信じず、まずSearch Consoleで同じ日付・クエリのデータと比べるのが確実です。
目次

何が起きているのか

順位計測ツールは、Googleで実際に検索し、結果のページ(SERP)を自動で集めて順位を出しています。2026年9月ごろから、こうした自動収集に対してGoogleが返す結果ページの一部が、見た目は通常どおりでも、並ぶサイトがまったく違うものになりました。いつも上位に出る有力サイトが消え、関係の薄いサイトに入れ替わるため、ツール上では「急に圏外へ落ちた」ように見えます。

この現象を数字で示したのが、順位計測ツールNozzleが10月10日に公開した調査「Poisoned Google SERPs」です。海外のSEO業界ではこれをきっかけに話題が広がりました。Search Engine Roundtable、Search Engine Journal、Search Engine Watchなどの専門メディアが相次いで取り上げ、各ツールに説明を求めています。

Semrushの声明:いつ、何を言ったか

Semrushの声明は、同社のブログやXアカウントではなく、記者やSEO専門家に送られる形で公開されました。確認できたのは次の2つの経路です。

  • Search Engine Roundtable(Barry Schwartz氏):10月12日公開の記事「Third-Party Google Rank Tracking Not Fully Working Now」に、19日の更新でSemrushの声明が追加されました。同氏はX投稿で、10月19日22時43分(日本時間)に「Semrushから声明が届いた」と紹介しています。
  • Nick LeRoy氏(SEOコンサルタント):10月19日23時39分(日本時間)、Semrushから受け取った「公式の回答」として、ほぼ同じ趣旨の文面をXに投稿しました。Search Engine Watchはこちらの文面をもとに報じています。

Search Engine Roundtableに載った声明の本文は次のとおりです。

We can confirm we’ve been seeing the “poisoned SERPs” issue with Google returning inaccurate results since late summer. As soon as we noticed it, our team put additional checks in place to filter and double-check the results we return, and we keep adjusting and extending them as Google’s behavior evolves. The impact on the rankings our users track has been limited, and we have seen no interruptions to the service. There can still be individual cases, most often beyond the first page of results, and we encourage users to report any inconsistencies to our support team so we can look into each one. Accurate data is our priority, and we’re making sure we adapt quickly as the search landscape changes.

(訳:Googleが不正確な結果を返す「poisoned SERPs」の問題は、夏の終わりから確認しています。気づいてすぐに、チームが追加のチェックを導入し、お届けする結果をふるい分けて二重に確認しています。Googleの挙動の変化に合わせて、チェックの調整と拡張も続けています。ユーザーが計測している順位への影響は限定的で、サービスの中断も起きていません。それでも個別のケースは起こりえます。多くは検索結果の1ページ目より後です。不整合があればサポートに報告してください。1件ずつ確認します。正確なデータを最優先に、検索の変化にすばやく対応していきます。)

Search Engine Roundtableに掲載されたSemrushの声明

声明からわかるのは次の4点です。

  • 時期:問題に気づいたのは「夏の終わり(late summer)」です。具体的な日付は示していません。
  • 影響:ユーザーが計測している順位への影響は「限定的」で、サービスは止まっていないとしています。
  • 出やすい場所:個別のケースは「1ページ目より後」、つまり11位以下の順位に多いとしています。
  • 対応:追加のチェックで結果をふるい分けています。おかしな順位はサポートに報告するよう求めています。

どの機能が影響を受けたのか、声明では機能名を挙げていません。影響が出た割合や件数も示していません。

Nozzleの調査:8%の結果ページが「毒入り」

Nozzleは9月13日から10月9日までに集めた2,750万件のGoogle検索結果を調べました。このうち判定できた1,780万件を分析しています。主な数字は次のとおりです。

項目Nozzleの調査結果
毒入りだった結果ページの割合8.0%(普段は0.17%)
始まった時期9月13日にリクエストの失敗が始まり、9月20日に毒入りのページが初めて出た
ピーク9月27〜29日に24.9〜27.0%。10月1日以降は1日5〜11%
国別米国8.5%、日本6.8%、英国3.0%(49か国を調査)
普段の上位サイトが残る割合20.7%(普段は88.5%)
計測中のサイトがトップ10から消えた割合58.6%(普段は2.7%)
続いた期間77.9%が3日以内に正常に戻った。8割は1回の取得だけで終わった
そのほかの変化AIによる概要の表示率が54.2%から34.9%に下がった。トップ10に入るRedditの割合は20.8%から28.8%に上がった

日本も6.8%と、米国に近い水準です。日本語のキーワードを計測している人も無関係ではありません。また、毒入りの状態の多くは1回の取得や数日で終わっています。そのため、「ある日だけ急に圏外へ落ち、数日で戻る」という形でツールに表れやすくなります。

各ツールの発表と対応

自社のサイトやXで問題を公表しているツールを、ツールごとにまとめました(2026年10月20日時点)。

項目SemrushSE RankingSistrix
発表の場所・日付報道機関などへの声明(10月19日・米国時間)ステータスページ(10月2日〜)、公式X(10月17日・日本時間)サポートページ(10月7日更新)
いつから夏の終わりから9月から(ステータスページの障害は9月23日付)2026年9月から
影響の説明計測順位への影響は限定的。個別のケースは2ページ目以降に多い一部のキーワードが急落・圏外に見えた。10月15日時点で計測結果の約2%に影響が残っていたトップ10と可視性指数(Visibility Index)は信頼できる。一部のキーワードは更新頻度が下がる
対応追加のチェックでふるい分け。不整合はサポートへ不確かな結果ページを検出して除外。影響を受けた日付のデータを修正し、10月20日(日本時間)に「解決」とした複数のチェックに通った結果だけを公開。オンデマンド更新を9月から停止
項目AccuRankerNozzleSerpApi
発表の場所・日付公式ブログ(10月19日)調査レポート(10月10日)ステータスページ(10月7日〜)
いつから9月24日夜から急増9月13日から失敗、9月20日から毒入りGoogle系APIの性能低下を10月7日から表示
影響の説明ピーク時はデスクトップ30.2%、モバイル25.7%。10月15日に再び増えたが、17日には1%未満に戻った結果ページの8.0%が毒入り(普段は0.17%)Google検索APIなど多くのAPIで性能が低下。10月19日時点で完全には復旧していない
対応1ページ目を最近の結果と比べ、一致するサイトが半分未満なら別のセッションで取り直す毒入りのページを判定して分析から除外修正を順次展開中

SE Rankingは、10月2日(米国時間)のステータスページの更新では、原因を「Googleの最近のスパムアップデート」と説明していました。その後の公式Xでは「Googleが業界全体の順位計測ツールに、不完全または不確かな結果を返している」と説明を改めています。

Ahrefs、Moz(STAT)、Similarweb、DataForSEOについては、各社の公式サイトやXで、この問題についての声明を確認できませんでした(10月20日時点)。報道や第三者のまとめでの言及は、後の「未確認の情報」に分けて載せています。

Googleの立場

Search Engine RoundtableやSearch Engine Watchによると、Googleは毒入りの結果について公にコメントしていません。Google検索の広報担当であるSearch LiaisonやGoogle Search Centralからも、10月20日時点でこの件についての発信は見つかりませんでした。

一方で、Googleのスパムポリシーは、順位チェックのための自動アクセスをはっきり禁じています。

Machine-generated traffic (also called automated traffic) refers to the practice of sending automated queries to Google. This includes scraping results for rank-checking purposes or other types of automated access to Google Search conducted without express permission.

(訳:機械生成トラフィック(自動トラフィック)とは、Googleに自動でクエリを送ることを指します。これには、順位チェック目的での検索結果のスクレイピングや、明示的な許可なしに行われるGoogle検索へのその他の自動アクセスが含まれます。)

Google 検索セントラル「Google ウェブ検索のスパムに関するポリシー」

多くの順位計測ツールは、Googleの許可を得ずに検索結果を集めています。もともとGoogleが認めていないやり方であり、Googleには対策をする理由があります。

ここまでの流れ:2025年から続くデータ収集への対策

Googleは2025年から、検索結果を自動で集めにくくする変更を重ねてきました。今回の毒入りの結果も、その延長にあると見られています。

時期出来事
2025年1月Google検索を使うのにJavaScriptが必須になった。Googleは目的を「ボットや、形を変え続ける不正利用・スパムからサービスを守るため」と説明(TechCrunchへの回答)。多くのSEOツールで一時的にデータが取れなくなった
2025年9月1回の検索で100件の結果を表示する「num=100」パラメータが使えなくなった。Googleは「このパラメータは正式にサポートしているものではない」とSearch Engine Landに回答した。Search Consoleの表示回数が減り、平均掲載順位が上がるサイトも相次いだ
2025年12月19日GoogleがSerpApiを提訴した。Googleは、SerpApiがセキュリティ対策をくぐり抜け、検索結果に載るコンテンツを不正に集めていると主張している
2026年6月ごろ検索結果のリンクが「/goto」という中継URLを通るようになり、URLだけでは行き先がわからなくなった(Sistrixによる)
2026年9月〜自動アクセスに対し、本物と違う「毒入り」の結果ページが返されるようになった

9月には「2026年9月スパムアップデート」も展開されました。そのため、同じ時期の順位の動きが、アップデートの影響なのか、計測の問題なのかを見分けにくくなっています。アップデートの期間や内容は「Googleの「2026年9月スパムアップデート」が展開完了|期間・対象・サイト運営者が確かめること」にまとめています。

海外SEO界の反響

Xでの反応は、SEOの専門家どうしの間で広がっています。主な投稿の数字は、10月20日8時ごろ(日本時間)に確認したものです。

投稿内容いいね表示回数
@aleyda(Aleyda Solis氏)Nozzleの調査を紹介。「最近順位がおかしいと感じていたなら、これが裏付けだ」(10月15日)88約7,000
@brodieseo(Brodie Clark氏)「順位計測は今壊れている。ほぼすべてのデータ提供元が影響を受けた」(10月16日)67約5,200
@rustybrick(Barry Schwartz氏)Semrushから声明が届いたと紹介(10月19日)36約8,500
@glenngabe(Glenn Gabe氏)Semrushの声明を受け、確実にわかっている順位の上昇・下落と照らし合わせて精度を確かめるよう提案(10月19日)37約4,400
@SERanking(公式)顧客向けに状況と対応を説明(10月17日)8約1,600
@NickLeRoy(Nick LeRoy氏)Semrushの「公式の回答」を共有(10月19日)14943

日付は日本時間です。数字は一般向けのバズに比べれば小さめです。ただ、Aleyda Solis氏の投稿にはブックマーク52件、Brodie Clark氏の投稿には返信27件がついています。業務で順位を報告している人たちが、自分ごととして注目していることがうかがえます。

公式に確認できたこと・未確認の情報

公式に確認できたこと

  • Semrushが「夏の終わりから不正確な結果を確認している。影響は限定的」とする声明を出した。Search Engine RoundtableとNick LeRoy氏が、Semrushから受け取った文面として公開している。
  • SE Ranking、Sistrix、AccuRanker、SerpApiが、自社のステータスページ、サポートページ、ブログで、Googleからのデータ取得の問題と対応を公表している。
  • Googleのスパムポリシーは、許可のない順位チェック目的の自動アクセスを禁じている。
  • Googleは2025年12月にSerpApiを提訴している。num=100については「正式にサポートしていない」と回答している。

未確認の情報(誰が言っているか)

  • Googleが意図的に偽の結果を混ぜているか、その狙いは何か:Nozzleは「AIによるスクレイピングへのGoogleの対応」と見ています。Sistrixは「ChatGPTのような新しい競合や、オープンウェイトのAIモデルの学習に検索結果を使わせないこと」が主な狙いで、分析ツールは巻き込まれているだけだと考えています。Googleはどちらにもコメントしていません。
  • NozzleのDerek Perkins氏が説明するGoogleの手口:Search Engine Roundtableに対し、「住宅用プロキシを狙った広いIPブロック」「CAPTCHAの増加」「偽データの注入」の3つが組み合わさっていると説明しています。Googleによる確認はありません。
  • Ahrefsのデータの精度:Ahrefsは声明を出していません。Glenn Gabe氏は、確実にわかっている順位の下落をAhrefsは捉えていた一方、SemrushやSistrixでは反映が遅れたり捉えられなかったりしたとXに投稿しています。一方、Brodie Clark氏は、Ahrefsのデータが「完全に不正確」だったケースがあると指摘しています(Search Engine Watchによる)。いずれも個人の観察です。
  • Moz(STAT)の告知:ドイツのSEOブログseo-kreativは、STATが10月1日付で「地域やドメインが合わない結果を検出し、本物が取れるまで取り直している」と告知したと紹介しています。STATの告知そのものは確認できませんでした。
  • DataForSEOの告知:Search Engine Roundtableは、DataForSEOがステータスページで告知したと伝えています。一方、seo-kreativは、ステータスページには10月8日付の外部要因の障害しか載っていないとしています。情報が食い違っています。
  • ほかのツールの割合:DemandSphereは10月7日に約11%(Search Engine Watchによる)、SEOmonitorは約8%(seo-kreativによる)と伝えられています。各社の計測方法が違うため、単純には比べられません。
  • 「ログインしていれば毒入りにならない」:Charles Floate氏がXの返信で述べています。裏付けはありません。

サイト運営者が今できること

順位計測ツールで急落が見えても、すぐに対策を始める前に、本物の変化かどうかを確かめましょう。

  1. Search Consoleを基準にする:Search Consoleの「検索パフォーマンス」は、Googleが自社の検索データから出している数字です。自動収集の影響を受けません。急落したキーワードを、同じ日付・国・デバイスに絞って、表示回数・クリック数・平均掲載順位を比べます。ここで変化がなければ、計測側の問題の可能性が高いです。なお、Search Consoleの平均掲載順位は表示されたときの順位の平均で、ツールの順位とは計算方法が違います。数字が完全に一致しなくても問題ありません。
  2. 「1日だけの急落」を疑う:Nozzleの調査では毒入りの状態の77.9%が3日以内に戻り、AccuRankerでも9割超が1日で終わっていました。翌日に元に戻るような急落は、計測の問題の可能性があります。SE Rankingも、顧客への報告前に前日の結果と比べるよう勧めています。
  3. 結果ページの中身を見る:多くのツールでは、計測したときの検索結果を保存して見られます。普段の上位サイトがなく、関係の薄いサイトが並んでいれば、毒入りの結果を疑えます。
  4. 更新日を確かめる:Sistrixのように、確認がとれるまで更新を遅らせるツールもあります。表示されている順位がいつのデータかを確認しましょう。
  5. 2ページ目以降の数字は割り引いて見る:Semrushは個別のケースが2ページ目以降に多いとしています。Sistrixも、トップ100のキーワード数のような指標は揺れやすいとしています。当面はトップ10の動きを中心に見るのが安全です。
  6. おかしな順位はツールに報告する:SemrushもSE Rankingも、プロジェクト・キーワード・日付を添えてサポートに報告するよう求めています。

Search Console以外にも、Bing Webmaster ToolsやMicrosoft Clarityなど、自分のサイトのデータを公式に確認できるツールがあります。違いは「AIの引用・流入は何で測れる?Search Console・Bing・Clarity・GA4など公式ツール6つを比較」で比べています。

2026年10月20日時点の公式情報をもとにしています。各ツールの対応やGoogleの挙動は変わる可能性があるため、最新の情報は各社の発表をご確認ください。

参考資料

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