「ゼロクリック率68%」をどう読む?日本の検索データ・Google決算・海外調査で検証【2026年10月】

「ゼロクリック率68%」をどう読む?日本の検索データ・Google決算・海外調査で検証【2026年10月】

この調査の要点

  • 日経クロストレンドが報じた「ゼロクリック率68%」は、ヴァリューズが約250万人規模のパネルの行動ログで測った、ブラウザでのGoogle検索のうちサイトに移らなかった割合です。アプリ内の検索は含まず、iPhoneは同社のブラウザアプリで検索した分が対象です。2025年9月の63.5%から、毎月0.5ポイント前後のペースで上がっています。7月の68.1%は、ヴァリューズの公式リリースでは確認できませんでした。
  • 同じヴァリューズの年次データでは、AI検索が始まる前の2021年にも、指名検索を除く検索の約47%はサイトに移っていませんでした。ただし、サイトに移る割合の下がり方は2023年以降に大きくなっていて、日本でも変化はすでに始まっています。
  • 一方で、購入を検討する検索では2025年も62.3%がサイトに移っています。検索広告は全世界で伸びていて、2026年4〜6月期の広告クリック数は前年同期比13%増でした(Alphabet決算、全世界)。

集計日:2026年10月18日/対象:日本のデータはヴァリューズの公表値(PC・スマホの行動ログ、Google検索のみ)。広告の数字はAlphabetの決算資料(全世界)。海外の調査は国・期間・定義を表に記載/元データ:記事末尾からCSVでダウンロードできます

日本経済新聞電子版に掲載された日経クロストレンドの会員限定記事(2026年10月18日2:00)は、「AI検索普及、ゼロクリック率68%に上昇 揺らぐサイト集客」と報じました。冒頭では、検索結果から外部サイトへ移らず情報収集を終える「ゼロクリック」の割合が、日本のヴァリューズの調査で2025年9月の63.5%から2026年7月の68.1%へ上昇したと紹介しています。AIによる要約・概要表示の普及を背景に、拡大傾向にあると説明しています。

68.1%はヴァリューズの調査に基づく数字です。ただし、その割合だけでは、AIによって減ったクリックの量までは分かりません。AB通信編集部は、数字の定義と推移、広告や海外調査との違いを整理しました。日経への言及は、見出しと無料で読める冒頭の段落に限ります。

目次

結論:「68%」は日本の行動ログにもとづく数字だが、対象は限られ、AIだけの数字でも流入の「量」の数字でもない

  • 日本でもGoogle検索からサイトに移る割合は下がっています。ヴァリューズの年次データでは、2023年以降は下がり方が大きくなっています。「日本ではまだ始まっていない」とは言えません。
  • 68.1%は、約250万人規模のパネルのモニターがブラウザで行ったGoogle検索の割合です。アプリ内の検索は含まず、日本のすべての検索の割合とは限りません。端末やアプリの扱いの補正方法は公表されていません。
  • 68.1%には、AI以前からあったゼロクリックも含まれます。AIだけの影響を切り分けた数字ではありません。2026年7月の値は日経の記事などで紹介されていますが、ヴァリューズの公式ニュースリリース一覧では確認できませんでした。
  • サイトに移る割合の低下と、流入回数の減少は別です。日本の公表値だけでは、流入回数の増減は計算できません。購入を検討する検索では、2025年も6割以上がサイトに移っています。
  • 全世界では検索広告の売上や広告クリック数が伸びています。ただし、日本単独の数字ではありません。日本ではAIによる概要の中の広告も未提供です。国の内訳が記載されていないSeer Interactiveの調査では、概要が出る情報収集系の検索語で広告のクリック率も低下しています。
  • 米国などの調査には、大きなクリック減少を示すものがあります。ただし、対象や測り方が違い、日本へそのまま当てはめられません。日本の生成AIの利用率と利用頻度は、米国より低い水準です。
  • 検討の範囲は、ヴァリューズの公表値、Alphabetの決算資料、Google公式発表、海外の公開調査、総務省、Googleトレンド、StatCounterの公開データです。日本のゼロクリックの数字は、ヴァリューズの公表値だけに依存しています。

「68%」は誰が、どう測った数字か

日本のGoogle検索のゼロクリック率の推移(2025年9月〜2026年7月)
出典:ヴァリューズ(2026年5月7日リリース、マナミナ2026年7月21日)、日本経済新聞(2026年10月18日)。日本/PC・スマホの行動ログ/Google検索のみ
対象月ゼロクリック率数字の出どころ
2025年9月63.5%ヴァリューズ公表値
2025年10月64.1%ヴァリューズ公表値
2025年11月64.3%ヴァリューズ公表値
2025年12月64.8%ヴァリューズ公表値
2026年1月65.4%ヴァリューズ公表値
2026年2月65.9%ヴァリューズ公表値
2026年3月65.9%ヴァリューズ公表値
2026年4月66.4%ヴァリューズ公表値
2026年5月66.6%ヴァリューズ公表値
2026年6月未公表—
2026年7月68.1%日経の記事で紹介(公式リリース未確認)
出典:ヴァリューズ(2026年5月7日リリース、マナミナ2026年7月21日)、日本経済新聞(2026年10月18日)。日本/PC・スマホの行動ログ/Google検索のみ

ヴァリューズの調査は、日本の約250万人の消費者パネルのウェブ行動ログに基づきます。対象はPCとスマートフォンのブラウザでのGoogle検索で、アプリ内の検索は含みません。2025年10月30日のリリースでは、Google上の検索セッション数に対するサイトへの流入セッション数の割合を除いた残りを、ゼロクリック率と定義しています。セッションは、行動をひとまとまりとして数える単位です。2025年9月の検索セッションは約61.8億回、サイトへの流入は22.6億回で36.5%、ゼロクリックは63.5%でした。

月次の公表値は、2025年9月63.5%、10月64.1%、11月64.3%、12月64.8%です。2026年は1月65.4%、2月65.9%、3月65.9%、4月66.4%と続きます。ここまでは2026年5月7日のリリースに掲載されています。5月の66.6%は、2026年7月21日のヴァリューズのマナミナ記事で示されました。

2026年6月の値は、公表を確認できませんでした。7月の68.1%は、2026年10月18日の日経の記事と、2026年9月29日の日経クロストレンドの記事で紹介された値です。2026年10月18日に確認したヴァリューズの公式ニュースリリース一覧では確認できませんでした。2025年9月から2026年7月までの上昇幅は、10か月で4.6ポイントです。

公表資料では分からないこと

ヴァリューズの公表資料では、集計方法について次の点を確認できませんでした。

  • 広告のクリックを、サイトへの流入に数えるか。
  • YouTubeやGoogleマップなど、Google自身のサービスへの移動をどう扱うか。
  • 検索結果を見た後の再検索をどう数えるか。

ヴァリューズのデータはどう集められているか

項目公開情報で確認できたこと公開情報では確かめられないこと
パネルの規模「明確な許諾を得た250万人規模」のモニターパネルゼロクリック率の計算に使った人数
モニターの集め方同社のポイントサービス「Uvoice」で、行動データの提供やアンケート回答にポイントを付与パネル全体に占めるUvoice経由の割合
端末PC(Chrome・Edgeの拡張機能)、Android(アプリ)、iPhone(同社の「Uvoiceブラウザ」で検索・閲覧した分)端末ごとの人数と、端末の構成の補正方法
対象の検索Google検索。ブラウザ上の検索のみで、アプリ内の検索は除外Googleアプリ・Yahoo!アプリなどでの検索の扱い(除外以外の補正の有無)
推計方法インターネット人口の構成比に合わせて「一票の重さ」を調整する拡大推計(性別・年代など)重み付けに使う項目と母集団の数字
ゼロクリックの定義Google上の検索セッションのうち、サイトへの流入セッションがなかった割合広告クリック、YouTubeなどGoogle自社サービス、再検索の扱い
比べられる期間月次は2025年9月から公表。「2024年から毎月約0.5%上昇」と説明2024年の月別の値、前年同月との比較
2026年7月の68.1%日経の記事で紹介ヴァリューズの公式リリースでの掲載
出典:ヴァリューズ(同社サイト、ニュースリリース、Uvoiceの案内、政府統計の総合窓口ビッグデータ・ポータルの掲載情報)、note pro(2026年3月18日)。確認日:2026年10月18日

ヴァリューズは、同社サイト「データプラットフォーム」で、明確な許諾を得た国内最大250万人規模の消費者モニターパネルを持つと説明しています。モニターから届く毎日のウェブ検索・閲覧データを、独自の方法で拡大推計しています。政府統計の総合窓口のビッグデータ・ポータルにある同社の説明では、インターネット人口の構成比に合わせて「一票の重さ」を調整する方法です。属性には、性別・年代・居住地・未既婚・子どもの有無・世帯年収などがあります。250万人はパネルの規模です。ゼロクリック率の計算に実際に使ったモニターの人数は公表されていません。

行動データを集める方法の一つが、同社のポイントサービス「Uvoice(ユーボイス)」です。行動データの提供やアンケート回答でポイントが貯まります。Androidはアプリ、PCはChromeまたはMicrosoft Edgeの拡張機能を使います。同社の発表とApp Storeの説明によると、iPhoneでは2024年2月28日に出た「Uvoiceブラウザ」を使います。このブラウザアプリで検索・閲覧した分が対象です。

2026年3月18日のnote proの記事は、同社の齋藤ロベルト義晃氏の講演を紹介しています。ゼロクリック率はブラウザ上の検索行動だけが対象で、アプリ内の検索は除外すると説明されています。iPhoneの利用者については、SafariやChromeなど普段のブラウザやGoogleアプリでの検索は、公開情報を見る限り集計に入りません。ゼロクリック率は、パネルの人がブラウザで行ったGoogle検索の割合です。日本のすべての検索の割合とは限りません。

StatCounterでは、2026年9月の日本のスマートフォンのOSは、iOSが60.46%、Androidが39.53%です。ヴァリューズは性別・年代などによる重み付けを説明しています。ただし、iPhone・Android・PCという端末ごとの補正は、公表資料では確認できません。端末の構成やアプリの扱いをどう補正しているかは公表されていません。これは、数字が間違っているという意味ではありません。どの範囲の数字かを読むときの前提です。

AI以前から、半分近くの検索はサイトに移っていなかった

Google検索からサイトに移った割合(流入率)の推移:日本、2021〜2025年
出典:ヴァリューズ(2026年6月25日リリース)。日本/PC・スマホのブラウザログ/Google検索のみ/年単位
年流入率(検索一般)前年からの減少率流入率(コマーシャルクエリ)
2021年52.8%—73.8%
2022年52.1%−1.4%72.2%
2023年49.2%−5.5%69.9%
2024年45.6%−7.4%66.5%
2025年41.1%−9.7%62.3%
出典:ヴァリューズ(2026年6月25日リリース)。日本/PC・スマホのブラウザログ/Google検索のみ/年単位。検索一般は指名検索を除いた全体

日本の検索では、生成AIが普及する前から、サイトに移らない行動がありました。ヴァリューズの2026年6月25日のリリースによると、検索結果からサイトに移った割合である「流入率」は、2021年52.8%、2022年52.1%、2023年49.2%、2024年45.6%、2025年41.1%でした。対象は日本のGoogle検索で、PCとスマートフォンのブラウザログです。「検索一般」として、特定のサイトなどを目指す指名検索を除いています。

サイトに移らなかった割合に直すと、編集部計算で2021年47.2%、2025年58.9%です。AI以前から半分近くがサイトに移っていなかったことになります。ただし、この年次データは月次のゼロクリック率と集計単位や対象が違います。指名検索を除くかどうかも異なるため、数字を直接は比べられません。

一方、流入率の前年からの減少率は、2022年−1.4%、2023年−5.5%、2024年−7.4%、2025年−9.7%でした。2023年以降は下がり方が大きくなっています。ヴァリューズ自身も、流入率は2023年以前から減少していたと説明しています。その背景として、検索結果に情報をまとめて表示するナレッジパネルなどの影響を挙げています。

「割合」が上がっても、「回数」が減ったとは限らない

サイトに移る割合が下がっても、検索全体の回数によって、サイトへの流入回数は変わります。日本のGoogle検索の月間利用者数は、2021年を100とする指数で、2022年104.0、2023年107.1、2024年112.2、2025年109.5でした。ただし、これはブラウザとアプリを合算した利用者数で、検索回数ではありません。公表されている検索セッション数は2025年9月の約61.8億回だけです。公表値から、サイトへの流入回数の増減は計算できません。

Google検索の責任者Liz Reid氏は、2025年8月6日の公式ブログで、国を限定せずに、Google検索からウェブサイトへのオーガニッククリック総数は前年比で比較的安定していると説明しました。オーガニッククリックは、広告を除く検索結果からのクリックです。すぐに検索へ戻らない質の高いクリックはわずかに増えたとしています。ただし、具体的な数字はなく、サイトによる増減もあると説明しています。日本の流入回数を示す発言ではありません。

AIによる概要が原因と言えるか

AIが検索結果に要約を表示する「AIによる概要」は、日本では2024年8月16日に日本語対応が発表され、数週間かけて段階的に展開されました。AIと対話しながら検索する「AIモード」の日本語提供は、2025年9月9日から順次始まりました。日本の月次ゼロクリック率は、2025年9月から10月に0.6ポイント上昇しています。この変化だけで、AIモードの提供を境に大きな段差が生じたとは判断できません。

ヴァリューズは、2024年1月から2026年5月のデータについて、2024年から平均で毎月約0.5%ずつ上昇したと説明しています。公表された月次推移を見る限り、AIモードの日本語提供前後で上昇ペースが大きく変わったとは読み取れません。ただし、2024年の月別の値は公表されていません。同社は、2025年3月のAIによる概要の表示拡大以降、一段階高まったとも説明しています。Googleが2025年3月5日に発表したのは、米国でのGemini 2.0導入やログインなしでの表示などです。日本向けに同じ時期に何が変わったかを示すGoogleの発表は、編集部では確認できませんでした。

AIによる概要の影響を調べるには、表示された検索と表示されなかった検索を比べる方法があります。Pew Research Centerの米国調査では、通常の検索結果のリンクをクリックした割合は、AIの要約が出た検索で8%、出なかった検索で15%でした。今回扱う公開データには、同様に表示の有無で比べた日本のデータがありません。日本の68.1%は、AIによる概要との因果関係を切り分けた数字ではありません。

10か月で4.6ポイントの上昇をどう読むか

10か月で4.6ポイントという上昇幅は、どう読めばよいでしょうか。公表されている月次の値は2025年9月からです。前年の同じ月との比較は公表されていません。そのため、年末年始や年度替わりなど、季節による検索内容の変化と分けられません。検索された言葉の構成や、端末の構成の変化と分けた分析も公表されていません。同社の講演では、ゼロクリック率が高かったのは「症状」「痛み」などの健康・医療の言葉や、「〇〇とは」のように意味を調べる言葉でした。「居酒屋」「マンション」などでは低かったとしています。AIモードの利用は、ブラウザ上の検索全体の約2%前後でした。

ヴァリューズは、2024年から平均で毎月約0.5%ずつ上がり、2025年3月を境に一段階上がったと説明しています。note proが紹介した同社の講演では、要因の候補を二つ挙げています。一つは、GoogleにログインしなくてもAIによる概要が表示されるようになったことです。同社の観測では、2025年3月9日前後の変化です。もう一つは、AIによる概要が出る検索の種類と頻度が増えたことです。同社は「要因は大きく2つあるのではないかと考えている」と述べています。同社自身も推定として説明しています。AIによる概要が上昇に関係している可能性はあります。ただし、公開情報からは、4.6ポイントのうちどれだけがAIによるものかは確かめられません。

購入を検討する検索では、まだ6割以上がサイトへ

購入を検討する検索では、日本でもサイトに移る割合が比較的高く残っています。ヴァリューズは、家電・自動車・コスメ・旅行・不動産などに「おすすめ」「比較」「レビュー」を掛け合わせた検索を、コマーシャルクエリとしています。その流入率は2021年73.8%、2022年72.2%、2023年69.9%、2024年66.5%、2025年62.3%でした。低下は続いていますが、2025年も6割以上がサイトに移っています。

サイトに移った後の行動にも変化があります。同じ日本の年次資料では、流入後にほかのページへ進まず離れる割合である直帰率は、2021年63.3%から2025年58.2%へ下がりました。平均滞在時間は128.8秒から140.0秒へ延びています。ただし、2023年は120.9秒で、一貫して延びたわけではありません。流入の割合と、訪問後の行動は分けて見る必要があります。

検索広告は全世界で伸びている

Alphabetの検索広告:売上・クリック数・クリック単価の前年同期比(全世界)
出典:Alphabet 10-Q・10-K(2023〜2026年)。全世界/売上の前年比は編集部計算
期間検索などの売上広告のクリック数クリック単価
2023年4〜6月期+4.8%+8%−3%
2023年7〜9月期+11.3%+7%+4%
2024年1〜3月期+14.4%+5%+8%
2024年4〜6月期+13.8%+6%+7%
2024年7〜9月期+12.2%+4%+8%
2025年1〜3月期+9.8%+2%+7%
2025年4〜6月期+11.7%+4%+8%
2025年7〜9月期+14.5%+7%+7%
2026年1〜3月期+19.1%+13%+5%
2026年4〜6月期+16.8%+13%+3%
2023年通期+7.7%+7%+1%
2024年通期+13.2%+5%+7%
2025年通期+13.4%+6%+7%
出典:Alphabet 10-Q・10-K(2023〜2026年)。全世界/売上の前年比は編集部計算。第4四半期は10-Kに四半期の値がないため通期で掲載

Alphabetの決算では、全世界の「Google Search & other」売上は伸びています。2026年4〜6月期は632.71億ドルで、前年同期は541.90億ドルでした。前年同期比は編集部計算で16.8%増です。広告クリック数を表すpaid clicksは、2026年1〜3月期、4〜6月期とも前年同期比13%増でした。2024〜2025年の公表された四半期の伸びである2〜7%より大きい水準です。2026年4〜6月期のクリック単価は前年同期比3%増でした。

ただし、いずれも全世界の数字で、日本単独の数字は開示されていません。paid clicksには、Google検索のほか、Gmail、Googleマップ、Google Playなどの自社サービス上の広告クリックも含まれます。Alphabetは2026年4〜6月期の売上増について、モバイルでの利用拡大による検索クエリの増加、広告主の支出増、広告フォーマットと配信の改善を挙げています。また、2026年10月18日時点で、AIによる概要の中に広告を出す機能は日本では未提供です。概要の上や下に出る通常の広告とは区別が必要です。

広告へ移せばクリック減少を避けられる、とも限りません。Seer Interactiveの調査では、AIによる概要が出る情報収集系の検索語で、広告CTRは2024年6月から2025年9月に19.7%から6.34%へ下がりました。CTRは、表示されたうちクリックされた割合です。対象は同社の顧客42組織の検索語3119語で、国の内訳は記載されていません。日本の傾向としては扱えませんが、全世界の広告売上の増加と、特定の検索語でのクリック率低下は区別して読む必要があります。

海外の調査と並べると:条件がそろっていない

項目ヴァリューズSparkToro/Similarweb(2026年)SparkToro/Datos(2024年)
地域・期間日本/2025年9月〜2026年7月米国/2026年1〜4月米国・EU/2022年9月〜2024年5月
データ約250万人規模のパネルの行動ログ(拡大推計)Similarwebのパネル(PC・モバイルのウェブ)Datosのパネル(PC・モバイルのウェブ)
アプリ内の検索含まない含まない(Googleアプリは対象外)含まない(iPhoneのデータは少ない)
広告のクリック公表なしクリックに数える(比率は外部の値で推計)クリックに数える
Google自社サービスへの移動公表なしクリックに数えるクリックに数える
再検索公表なしゼロクリックに含むゼロクリックに含む
ゼロクリック率63.5%→68.1%68.01%米国58.5%、EU59.7%
出典:ヴァリューズ、SparkToro(2026年・2024年の調査)。確認日:2026年10月18日
調査(地域・期間)データと測ったもの主な数字
ヴァリューズ(月次)
日本/2025年9月〜2026年7月
PC・スマホの行動ログ(約250万人)。Google検索のセッションのうちサイトに移らなかった割合63.5%→68.1%(7月値は日経の記事で紹介)
ヴァリューズ(年次)
日本/2021〜2025年
PC・スマホのブラウザログ。指名検索を除く検索でサイトに移った割合52.8%→41.1%
Pew Research Center
米国/2025年3月
成人900人の閲覧ログ。AIの要約が出た検索/出ない検索で結果のリンクをクリックした割合8%/15%
SparkToro/Similarweb
米国/2026年1〜4月
PC・モバイルのウェブのパネル。どこもクリックせず終了・再検索した割合(広告・Google自社サービスへのクリックは「クリックあり」)68.01%
SparkToro/Datos
米国・EU/2022年9月〜2024年5月
PC・モバイルのウェブのパネル。どの結果もクリックせず終了・再検索した割合米国58.5%、EU59.7%
Seer Interactive
記載なし(顧客42組織)/2024年6月〜2025年9月
Search Console・Google広告。情報収集系3119語のCTR(AIによる概要あり)オーガニック1.76%→0.61%、広告19.7%→6.34%
Ahrefs
記載なし/2023年12月と2025年12月
PCのSearch Console集計。AIによる概要がある語の1位のクリック率への影響(推計)−58%
Chartbeat(Reuters Institute)
全世界・米国/2024年11月→2025年11月
ニュースサイト2500以上の計測。Googleのオーガニック検索からの流入全世界−33%、米国−38%
Google(公式ブログ)
国の限定なし/2025年8月時点の前年比
非公開。ウェブサイトへのオーガニックのクリック総数「比較的安定」(数字は非公表)
出典:各社の公表資料(記事末尾の出典一覧を参照)。確認日:2026年10月18日

SparkToroがSimilarwebのパネルで集計した2026年の調査では、米国の2026年1〜4月のGoogle検索の68.01%がクリックなしで終わりました。日経の68%とほぼ同じ数字ですが、別の調査です。この調査では、広告やYouTube・GoogleマップなどGoogle自身のサービスへのクリックも「クリックあり」に数えます。再検索は「クリックなし」に入ります。モバイルはブラウザの検索だけが対象で、Googleアプリは含みません。モバイルでは10秒操作がなければ検索の終わりとみなします。端末の割合はモバイル3分の2、PC3分の1と置いて計算しています。ヴァリューズは、広告やGoogle自身のサービスの扱いを公表していません。そのため、二つの68%が同じものを測っているかは分かりません。数字が近いことを根拠に、日本も米国と同じ水準とは言えません。

海外調査の数字は、対象と測り方をそろえて読む必要があります。Pew Research Centerは米国の成人900人の2025年3月の閲覧ログを調べています。SparkToro/Datosのゼロクリック率は米国58.5%、EU59.7%ですが、再検索も含む定義で、AIによる概要の影響を切り分けたものではありません。日本のヴァリューズの数字と、そのまま大小を比べることはできません。

Ahrefsの−58%は、PCで検索結果の1位にあるページのクリック率への影響を推計した値です。国の内訳は記載されていません。Chartbeatのデータはニュースサイト2500以上への流入が対象です。2024年11月から2025年11月に、Googleのオーガニック検索からの流入は全世界で33%減、米国で38%減でした。ただし、AIによる概要の影響がどれだけかは明らかでないとしています。クリック率、ゼロクリック率、サイトへの流入回数は、それぞれ別の指標です。

日本の状況:米国より遅れて始まり、AIの利用もまだ少ない

項目日本米国出典
AIによる概要の提供開始2024年8月(日本語)2024年5月Google公式ブログ
AIモードの提供開始2025年9月9日(日本語)2025年5月Google公式ブログ
AIによる概要の中の広告未提供提供中(英語)Google広告ヘルプ(2026年10月18日確認)
生成AIを使ったことがある人(15歳以上)58.8%75.6%総務省 情報通信白書(2025年度調査)
利用者のうち「ほぼ毎日」使う人29.9%47.9%総務省 情報通信白書(2025年度調査)
「ChatGPT」÷「Amazon」の検索人気度(2026年1〜9月平均)0.2630.423Googleトレンド(編集部集計、参考値)
検索エンジン流入に占めるGoogleの割合(2026年9月)スマホ85.1%全端末85.19%StatCounter
出典:Google、総務省、Googleトレンド、StatCounter。確認日:2026年10月18日
Googleで「ChatGPT」と調べる人の多さ(「Amazon」との比):日本と米国
出典:Googleトレンド(日本・米国、2022年11月〜2026年9月、国ごとに取得した相対値)。編集部集計
日本の検索エンジン別シェア(サイトへの流入ベース)
出典:StatCounter Global Stats。日本/計測タグがあるサイトへの、検索エンジンからのページビューの割合
端末:検索エンジン2021年平均2025年平均2026年9月
スマホ:Google75.4%85.0%85.1%
スマホ:Yahoo!24.1%12.2%11.8%
PC:Google75.8%73.2%41.9%
PC:Bing9.3%19.0%52.1%
PC:Yahoo!14.4%6.1%4.7%
出典:StatCounter Global Stats。日本/計測タグがあるサイトへの、検索エンジンからのページビューの割合

日本と米国では、機能の提供時期にも差があります。AIによる概要は米国で2024年5月に始まり、日本では2024年8月に展開が始まりました。AIモードは米国で2025年5月に英語で一般提供され、日本語は2025年9月9日から順次提供されました。総務省の2025年度調査では、15歳以上で生成AIサービスを使ったことがある人は日本58.8%、米国75.6%です。利用者のうち「ほぼ毎日」使う人は、日本29.9%、米国47.9%でした。

Googleトレンドでも、日本と米国の動きは異なります。編集部は、国ごとに取得した「ChatGPT」の検索人気度を「Amazon」の検索人気度で割り、週次の値を年平均にしました。日本は2023年0.115、2024年0.113、2025年0.223、2026年1〜9月0.263です。米国は同じ順に0.094、0.150、0.410、0.423でした。これは利用者数ではなく、Googleで「ChatGPT」と調べる多さの目安です。比べる語である「Amazon」の人気度も国によって違うため、参考値として扱います。

StatCounterは、計測タグのあるサイトへの検索エンジン経由の流入ページビューの割合を示します。日本のスマートフォンでは、Googleの割合は2021年平均75.4%から2025年平均85.0%となり、2026年9月は85.1%でした。一方、日本のPCでは2025年秋からBingの割合が急に上がっています。2026年9月はBing52.08%、Google41.93%でした。理由は編集部では確認できていないため、この急変を結論の根拠には使いません。いずれも検索回数そのものの割合ではありません。

実務での読み方

  • 流入の割合と回数を分けて確認します。 68.1%から、自社サイトのアクセス減少幅は分かりません。検索結果での表示、クリック率、実際の流入回数を分けて見ることが必要です。
  • 検索の目的ごとに見ます。 日本のコマーシャルクエリでは、2025年も62.3%がサイトに移っています。情報収集と購入検討をまとめて判断せず、どの検索からの流入が変化したかを確かめます。
  • 訪問後の行動も確認します。 日本の年次データでは、2021年と比べて2025年の直帰率は低く、平均滞在時間は長くなっています。自社でも流入回数に加え、訪問後の行動を見ます。
  • 広告への配分は、自社の結果で判断します。 全世界の広告売上が伸びても、個々の検索語のクリック率が上がるとは限りません。広告のクリック率や費用、流入後の行動を確かめます。
  • 地域と計測条件をそろえます。 米国の調査結果を日本へそのまま当てはめず、端末、検索語、AIによる概要の表示の有無を確認します。公開データで分からない点は、分からないまま区別して扱います。

よくある質問

Q. 68%は間違い?

A. 68.1%はヴァリューズの調査に基づき、日経などが紹介した数字です。本記事は、その数字自体を否定していません。ただし、AI以前からのゼロクリックも含み、AIだけの影響を表すものではありません。2026年7月の値は、ヴァリューズの公式ニュースリリース一覧では確認できませんでした。

Q. 日本のサイトへのアクセスは減っている?

A. 日本のGoogle検索からサイトに移る割合は、ヴァリューズのデータで低下しています。ただし、流入回数の増減は、公表された検索セッション数だけでは計算できません。日本のサイト全体のアクセスがどれだけ減ったかを、68.1%から判断することはできません。

Q. 広告に移すべき?

A. 公開データだけで、一律に広告への移行を勧めることはできません。全世界では広告売上や広告クリック数が伸びていますが、日本単独の数字ではありません。国の内訳が記載されていないSeer Interactiveの調査では、広告のクリック率も下がっています。自社の検索語ごとに、クリック率、費用、流入後の行動を確かめて判断する必要があります。

読むときの注意点

  • 日本のゼロクリック率の数字は、ヴァリューズの公表値だけに基づいています。対象はパネルのモニターがブラウザで行ったGoogle検索で、アプリ内の検索は含みません。ほかに、同じ条件で日本のゼロクリック率を継続して公表している調査は、今回は見つかりませんでした。
  • ヴァリューズの月次の「ゼロクリック率」と、年次の「流入率」は、集計の単位や対象(指名検索を除くかどうか)が違います。数字どうしを直接比べないでください。
  • Alphabetの広告の数字は全世界のものです。日本だけの数字は開示されていません。
  • 海外の調査は、国・端末・期間・定義がそれぞれ違います。日本の数字と横に並べて大小を比べることはできません。
  • Googleトレンドの値は、国ごとに別々に取得した相対値です。利用者数や利用回数ではありません。
  • StatCounterのPCの数字は、2025年秋からBingの割合が急に大きくなっています。理由を確認できていないため、結論には使っていません。

調査の方法

  • 日経の記事:2026年10月18日に日本経済新聞電子版に掲載された日経クロストレンドの記事のうち、会員でなくても読める見出しと冒頭の段落を対象にしました。有料部分は扱っていません。
  • ゼロクリック率:ヴァリューズのニュースリリース(2025年10月30日、2026年5月7日、2026年6月25日)と、同社のマナミナの記事(2026年7月21日)に掲載された数字を使いました。図の数字は、リリースのグラフに書かれた値を読み取っています。
  • 検索広告:Alphabetが米国証券取引委員会(SEC)に提出した2023年4〜6月期以降の四半期報告書(10-Q)と年次報告書(10-K)から、「Google Search & other」の売上、paid clicks、cost-per-clickの前年比を集めました。売上の伸び率は、報告書の売上額から編集部が計算しました。
  • Googleトレンド:日本と米国で、「ChatGPT」と「Amazon」を同時に比べた検索人気度(2022年1月〜2026年10月17日、週次)を取得しました。月平均を出し、「ChatGPT」÷「Amazon」で比べています。2026年10月は月の途中のため使っていません。
  • StatCounter:日本の検索エンジン別シェア(スマホ、PC)と米国(全端末)の月次データ(2021年1月〜2026年9月)を使いました。
  • ヴァリューズのデータの集め方:同社のサイト、ニュースリリース、ポイントサービス「Uvoice」の案内、政府統計の総合窓口(e-Stat)のビッグデータ・ポータルにある同社の掲載情報、同社社員の講演を紹介した記事を確認しました。
  • 海外の調査:各社が公開している調査の本文と方法の説明を確認し、対象地域・データ・期間・定義を表にまとめました。

出典

確認日:いずれも2026年10月18日

元データ

ゼロクリック率の月次推移(ヴァリューズ公表値ほか、CSV)をダウンロード

Google検索からの流入率の年次推移(ヴァリューズ公表値、CSV)をダウンロード

Alphabetの検索広告の指標(10-Q・10-K、CSV)をダウンロード

検索エンジン別シェア(StatCounter、日本・米国、CSV)をダウンロード

Googleトレンド「ChatGPT」「Amazon」(日本・米国、CSV)をダウンロード

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