Anthropicは2026年10月28日、Claude Enterprise向けに管理者・チーム責任者向けの3機能「スマートレポート(Smart reports)」「アプリ内アンケート(In-app surveys)」「グループ共有予算(Pooled group budgets)」を一般提供(GA)にした。チームがClaudeで何をしているか・いくらかかっているかを可視化し、現場の声を集め、チーム単位で月額予算を共有できるようにするものだ。

要点(3行)
- スマートレポート:チームの会話記録のサンプルをClaudeが分析し、業務の流れ(ワークストリーム)ごとの費用・成果物・つまずき・スキル化すべき反復作業を一覧化。組織あたり月10本まで追加料金なし
- アプリ内アンケート:チャット・Cowork・Claude Codeの作業の切れ目に短いカードで質問。回答は約90秒、結果は集計表示とCSV出力に対応
- グループ共有予算:グループ全体で1つの月額予算を共有。個人の上限と併用でき、50%・75%・95%・100%到達でメール通知
何が発表されたか
一次情報はClaude公式のProduct announcements「Smart reports, surveys, and pooled group budgets for Claude Enterprise」(2026年10月28日)。公式は、多くの組織でClaudeが生む独自の仕事が見つかり始めており、次の段階はそれを全チームに広げることだと説明する。スマートレポートは「どんな仕事がどこで起きているか」、アンケートは「Claudeで新しい仕事ができているかという利用者の声」、共有予算は「チームごとに1つの予算」を担う。3機能ともClaude Enterpriseで同日から一般提供となった。
スマートレポート:チームの使い方と費用を可視化
- 対象チーム・期間(直近28日以内)・製品(チャット、Claude Code、Claude Cowork、チャットとCoworkの統合体験)を選ぶと、Claudeが会話記録のサンプルを読み、ワークストリームと成果物の種類に分類して費用をひも付ける(ヘルプセンター)
- 主なセクションは、ワークストリーム(セッション数と費用)、成果物の種類、成果物の種類別のセッション単価、タスクの結果、よくあるつまずき(未設定のコネクター、ツール呼び出しの失敗など)、複雑で自律的な仕事、費用の大きいセッションなど
- 提案(Recommendations)は1つのリストにまとまり、スキル化すべき反復作業やコードリポジトリに追加すべきルールを示す。発見はアーティファクトとして関係者に共有できる
- モデルの使い方や費用についての独自の質問を設定でき、質問はテンプレートとして保存・再利用できる。支出上限で作業が止まっている人がいれば、請求権限を持つ管理者がレポートから上限を引き上げられる
- オーナーは、管理者ではないチーム責任者に自部署のレポート作成を任せられる
- レポートはドリルダウン付きのHTMLとしてダウンロードできる(ヘルプセンター)

提供条件はヘルプセンターに記載がある。Claude Enterpriseプランで利用でき、初期設定はオフ(オーナーが組織設定の「Capabilities」で有効化)。組織あたり月10本まで追加料金なしで、上限は毎月1日にリセットされる。顧客管理の暗号鍵(CMEK)、HIPAA構成、推論を自社クラウドで動かすハイブリッド構成の組織は使えない。Claude Codeでゼロデータ保持を使う組織は、チャットとCoworkのみが対象になる。
アプリ内アンケート:利用者の声を集める

- 既定の質問は4つ。「最近Claudeでやった最も価値のあること」「その仕事にかかる時間がどう変わったか」「同僚がまねすべき使い方」「明日Claudeが使えなくなったら最初に何が止まるか」。追加・削除・編集ができる
- 対象(全メンバーまたはグループ単位)、実施期間、表示先(チャット、Cowork、Claude Code)を選べる。回答者には返信の後やタスクの合間などに短いカードで表示され、実行中のタスクを中断することはない(ヘルプセンター)
- カードには組織名が表示され、回答はAnthropicではなく組織の管理者に届くと明示される。1人につき同じアンケートは1回、所要時間は約90秒
- 結果は回答が届くたびに集計表示され、CSVで出力できる(回答日時・メールアドレス・グループ・回答した場所・質問ごとの列)
- CMEKを使う組織でも有効化できるようになった。一方、HIPAA構成の組織は対象外(ヘルプセンター)
グループ共有予算:チームで月額予算を分け合う
- グループに1つの月額予算を設定し、メンバー全員がそこから使う。よく使う人が月初に個人上限に達し、ほかの人の予算が余る、という状態を減らす狙い
- 個人の月額上限は、1人の極端な利用を防ぐ安全装置として残る。リクエストは個人上限と共有予算の両方に計上され、先に尽きた方で止まる
- 上限に達した人はClaudeの中から追加を申請でき、申請は管理者の審査に回る
- 設定画面は直近の利用実績から金額を提案する。ヘルプセンターは、目安として前月のグループ支出の約3倍を共有予算に、最も使った人の約3倍を個人上限にする例を示している
- 予算の50%・75%・95%・100%到達時に、請求権限を持つ人へメール通知が届く
- 対象は従量課金のEnterpriseプランと、利用クレジットを有効にしたStandard/Premiumシートのプラン。設定は組織設定の「Usage」から(ヘルプセンター)
実務担当者・マーケター向けの読みどころ
- AI活用の棚卸し:スマートレポートは「どの業務に、いくら使い、何が成果になったか」を業務単位で出す。生成AIの投資対効果を社内で説明する材料に使いやすい
- 横展開の起点:反復作業をスキル化する提案や、つまずきの多いコネクターの指摘が出るため、マーケティング部門のレポート作成や原稿チェックなど定型業務の標準化に役立つ
- 定性データの回収:アンケートは作業の流れの中で聞けるので、別途の社内調査より回答を集めやすい。既定の質問は「時間がどう変わったか」など効果測定に直結する内容
- 予算運用:キャンペーン期など繁忙期に利用が偏るチームは、共有予算で個人上限による作業停止を減らせる
- 公式は、スマートレポートを個人の評価や人事判断に使うべきではないと明記している。社内に導入する際は、目的を利用状況の把握と投資計画に限定して説明しておきたい
注意点・補足
- 3機能ともClaude Enterprise向け。利用可否はHIPAA構成やCMEKの有無などの構成で変わる、と公式は注記している
- スマートレポートの作成・閲覧はプライマリーオーナー、オーナー、管理者、または分析閲覧権限を持つカスタムロール。個人的な会話など制限対象の話題は集計にのみ使われ、要約は表示されない(ヘルプセンター)
- グループ共有予算は組織設定からのみ管理でき、現時点ではAdmin APIには対応していない(ヘルプセンター)
- 日本語での表示や日本の組織向けの個別条件は、公式発表には記載がない
出典
- Claude公式 — Smart reports, surveys, and pooled group budgets for Claude Enterprise(2026-10-28)
- Claude Help Center — Get started with smart reports
- Claude Help Center — Create surveys for your organization
- Claude Help Center — Manage pooled group budgets on Enterprise plans


