AIの透かし、主要5社を比較 OpenAI・Google・Anthropic・xAI・Metaの対象と確かめ方【2026年11月】

OpenAI・Google・Anthropic・xAI・MetaのAIの透かしを比較する調査レポートのアイキャッチ画像

AIが作った画像や文章に、目に見えない「透かし(ウォーターマーク)」を入れる動きが一気に広がっています。Anthropicは旧モデルの文章にも透かしを広げる作業を進めており、xAIは11月7日からGrok APIの文章に透かしを入れます。OpenAI、Google、Metaもそれぞれのやり方で対応を進めています。この記事では、主要5社の公式発表とヘルプを2026年11月2日に確かめ、透かしが入る対象、確かめ方、始まった時期を比べました。

目次

この記事の要約

画像・動画・音声の透かしは、OpenAIとGoogleがだれでも使える確認ツールを公開しており、確かめやすくなってきました。文章の透かしは、OpenAI(EUのChatGPTなど)、Google(Geminiアプリ・ウェブ)、Anthropic(8月2日以降に出たモデル)、xAI(11月7日からAPIで既定でオン)が入れていますが、Metaについては公式発表を確認できませんでした。文章の透かしを確かめる道具は5社とも一般には公開しておらず、オフにできるかどうかも会社によって違います。

主要5社の比較

図解:OpenAI・Google・Anthropic・xAI・Metaの5社について、画像・動画・音声の透かし、文章の透かし、確かめられる人を比べた表
2026年11月2日時点の各社の公式情報をもとにAB通信が作成。出典は記事末尾にまとめています。

まず、透かしなどの「出どころを示すしるし」が、どの種類のコンテンツに入るかを比べます。

会社画像・動画・音声文章始まった時期(公式)
OpenAI画像:C2PA(Content Credentials)とSynthID
音声:SynthID
動画:C2PA(Soraは提供終了)
EUのChatGPT・Codex:独自の透かし「textGrain」
API:全世界で希望した場合だけ(既定はオフ)
画像のC2PA:2024年〜
画像のSynthID:2026年5月19日発表
音声:2026年7月31日
文章:2026年10月5日発表(EUは数週間かけて導入)
GoogleSynthID(画像・動画・音声)SynthID(Geminiアプリとウェブで作った文章)SynthID:2023年〜
文章の開始日は公式ページに記載なし
AnthropicClaudeが作った画像などのファイルにC2PA2026年8月2日以降に出たモデルの文章
それより前のモデルへ拡大中
2026年8月2日以降のモデルは公開時から
xAI公式ドキュメントに説明は見つからずGrok APIの文章(構造化出力・ツール呼び出しの引数を含む)2026年11月7日から既定でオン
MetaMeta AIの写実的な画像:見える表示、見えない透かし、IPTCメタデータ
Muse Imageの画像:Content Seal
公式発表は見つからず見える表示などは2024年2月に説明
Content Seal:2026年7月7日
出典:各社の公式ブログ・ヘルプ・ドキュメント(記事末尾の出典を参照)。2026年11月2日に確認

次に、だれがどうやって確かめられるかを比べます。

会社だれでも使える確認方法文章の透かしの検出利用者がオフにできるか
OpenAIopenai.com/verify(画像・音声)
Content Provenance API(画像・音声)
承認された研究者・専門組織のみAPIの文章は既定でオフ(オンは任意)
EUのChatGPTでの扱いは記載なし
GoogleSynthID Detector(画像・動画・音声、英語、全世界)
Geminiアプリ・検索・Chromeに組み込み
一般向けの検出手段の案内なし公式ページに記載なし
AnthropicClaude Content Checker(ファイルのC2PA、無料)限られた組織への非公開プレビュー(申し込みフォームあり)公式ヘルプに記載なし
xAIレスポンスの x-watermark ヘッダーで、自分の出力に透かしが入ったかは分かる申し込み制チームの管理者がモデルごとにオフにできる(条件あり)
MetaContent Sealの検出ツールをプレビュー公開――
出典:各社の公式ブログ・ヘルプ・ドキュメント(記事末尾の出典を参照)。2026年11月2日に確認

会社ごとの詳細

OpenAI:画像はC2PAとSynthIDの二重、文章はEUから

  • 公式ヘルプ「Provenance signals in OpenAI-generated content」によると、ChatGPT、Codex、APIで作った画像には、C2PA(Content Credentials)とSynthIDの両方が入ります。音声にはSynthIDが入ります。動画はC2PAで、Soraは提供を終えています。
  • OpenAIは2024年にDALL·E 3の画像へC2PAを付け始め、2026年5月19日にGoogleのSynthIDを取り入れると発表しました。7月31日には音声にもSynthIDを入れ、確認ツールとAPIを広げています。
  • 文章には、独自の透かし「textGrain」を使います。10月5日の発表では、APIでは全世界で希望した場合だけ入れられる(既定はオフ)とし、EUではChatGPTとCodexの文章に数週間かけて透かしを入れるとしました。当初は、世界共通の既定にはしないとしています。
  • 確かめ方は、openai.com/verifyとContent Provenance APIで、対象は画像と音声です。文章の検出は、承認された研究者や専門組織に限って提供しています。
  • APIのうち、gpt-image-1、gpt-image-1.5、sora-2など、近く提供を終えるモデルの出力は対象外です。

Google:SynthIDを画像・動画・音声・文章に

  • Google DeepMindのSynthIDの公式ページによると、SynthIDは画像・音声・文章・動画に見えない透かしを入れる技術です。文章は「Geminiアプリとウェブで作った文章」に入れていると説明しています。
  • 2026年10月7日の公式ブログで、確認ツール「SynthID Detector」をだれでも使えるようにしました(英語、全世界)。画像・動画・音声が、GoogleやOpenAI、NVIDIA、Kakao、Appleなどのパートナーのものかを確かめられます。
  • Geminiアプリ、検索、Chromeにも確認機能が入っています。ただしGeminiアプリのヘルプによると、Gemini内で認識できるのは現時点ではGoogleのAIで作ったものだけです。
  • 文章の透かしを確かめる一般向けの手段は、公式ページでは案内されていません。Gemini APIで作った文章に透かしが入るかどうかも、公式ドキュメントでははっきり確認できませんでした。

Anthropic:新しいモデルの文章とファイル、旧モデルにも拡大中

  • 公式ヘルプ「How Claude marks AI-generated content」によると、2026年8月2日以降に出たモデルは、公開した時点から文章に透かしを入れ、作ったファイルにはC2PAを付けています。アプリ、API、Claude Codeなど、使う場所を問わず適用します。
  • 11月2日時点のヘルプの表で文章の透かしが付いているのは、Fable 5.1、Fable 5、Mythos 5.1、Opus 5.5、Opus 5、Opus 4.8、Sonnet 5.5、Sonnet 5、Haiku 5.5の9モデルです。Mythos 5、Opus 4.7、Opus 4.6などは、まだファイルのC2PAだけです。
  • 「11月3日からMythos 5、Opus 4.7、Opus 4.6、Sonnet 4.6にも入る」という話は、API利用企業へのメールとして報道されたもので、公式ヘルプでは11月2日時点でまだ確認できません(詳しくはこちらの記事)。
  • ファイルのC2PAは、無料の「Claude Content Checker」で確かめられます。文章の透かしの検出は、規制当局や報道機関など限られた組織への非公開プレビューです。

xAI:11月7日からGrok APIで既定でオン

  • xAIの公式ドキュメントによると、11月7日から、grok-4.7、4.6、4.5、4.3、4.20系の文章の出力に透かしが入ります。普通の文章のほか、構造化出力やツール呼び出しの引数も対象です。
  • レスポンスの x-watermark ヘッダーが true なら、透かしが入っています。検出の仕組みは申し込み制です。
  • チームの管理者は、モデルごとにオフにできます。ただし、法令上の例外に当たることを自分で確かめる必要があり、一部のモデルはオンで固定されている場合があります(詳しくはこちらの記事)。
  • Grokのアプリや、画像・動画の生成での透かしについては、このドキュメントでは説明されていません。

Meta:画像にContent Seal、文章は発表なし

  • Metaは2024年2月の公式発表で、Meta AIで作った写実的な画像に、見える表示と、見えない透かし、IPTCのメタデータを入れていると説明しました。
  • 2026年7月7日のMuse Imageの発表では、Meta AIアプリとmeta.aiで作った画像に、見えない透かし「Content Seal」を入れるとしました。切り抜きや圧縮、スクリーンショットでも残るよう作られているといいます。動画にも近く広げる予定で、検出ツールをプレビューとして公開しています。
  • Metaは7月28日に、EU AI法の「AI生成コンテンツの透明性に関する行動規範」に署名すると発表しました。ただし、Meta AIの文章に透かしを入れるという公式発表は、11月2日時点で見つかりませんでした。

「見えない透かし」と「C2PA」の違い

各社が使うしるしは、大きく2種類に分かれます。

  • 見えない透かし(SynthID、textGrain、Content Sealなど):画像の画素や文章の言葉の選び方そのものに、目に見えない信号を織り込みます。スクリーンショットや軽い編集では残りやすい一方、大きな編集や言い換え、翻訳では見つからなくなることがあります。
  • C2PA(Content Credentials):ファイルに「どのツールでいつ作ったか」などの情報を、署名つきで付けます。情報は多いものの、スクリーンショットや形式の変換で消えることがあります。

OpenAIは公式ヘルプで、この2つを組み合わせることで、片方が消えても出どころをたどりやすくしていると説明しています。

仕事でAIを使う人への影響

ライター・編集者・代理店

ChatGPT(EU)、Gemini、Claude、Grok APIで作った文章には、透かしが入っている可能性があります。いまは一般の人が文章の透かしを確かめる道具はありませんが、検出を使える組織は今後広がる可能性があります。各社とも、透かしは「AIが関わったかもしれない」という手がかりにすぎず、どこまで人が書いたかは分からないとしています。AIの使用を取引先にどう伝えるかは、透かしとは別に決めておくのが確実です。

マーケター・広報

AIで作った広告画像や記事の画像には、OpenAI、Google、Metaなどの透かしやC2PAが入ります。SNSや他社のサイトに載せると、AIで作ったと表示されることがあります。画像は、openai.com/verifyやSynthID Detectorで、OpenAIやGoogleなどのAIで作ったものかを事前に確かめられます。

AIを組み込んだサービスを作る開発者

APIの扱いは会社によって違います。OpenAIは「希望した場合だけオン」、xAIは「既定でオン、管理者がオフにできる」です。EUの利用者向けにサービスを出している場合は、EU AI法でどんな表示が求められるかを法務の担当者と確認しておきたいところです。

調査方法・注意点

  • 調査日:2026年11月2日。各社の公式ブログ、ヘルプセンター、開発者向けドキュメントを確認しました。
  • 報道だけが出どころの情報(Anthropicの11月3日の開始日など)は、公式で確認できたことと分けて書いています。
  • 「見つからず」「記載なし」は、11月2日時点で公式ページに説明が見つからなかったという意味です。実施していないとは限りません。
  • 各社の対応は短い間隔で変わっています。対象のモデルや開始日は、使う前に公式ページで確かめてください。

出典

あわせて読みたい

目次