Meta、AIが変えた広告の責任は広告主に 11月20日から新規約

AIが変えた広告も責任は広告主に。Metaの新しい規約は11月20日から。広告文の生成・翻訳、画像のAI加工などの機能は一部がデフォルトでオン。エンハンスは広告ごとにオフにできる
平山 大樹(AB通信 運営責任者)

平山 大樹 AB通信 運営責任者

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この記事の要約

Metaは2026年11月20日から、商用利用規約とセルフサービス広告利用規約の新しい版を適用します。AIや自動化された機能が作ったり変えたりした広告について、そのリスクは広告主が単独で負うと明記されます。広告文の生成や画像の加工などを行うAdvantage+ クリエイティブのエンハンスには、デフォルトでオンのものもあり、広告マネージャでオフにできます。広告を出し続けると、新しい規約に同意したことになります。

出典:Metaの規約(日本語版のプレビュー)とビジネスヘルプセンター、Inc.・Adweekの報道(記事末の「出典」に一覧)

何が変わるのか:AI機能のリスクは広告主が負う

Metaのビジネスヘルプセンターの告知によると、2026年11月20日から商用利用規約とセルフサービス広告利用規約の改定版が適用されます。あわせて「商品カタログ利用規約」は商用利用規約に、「広告クリエイティブ生成AI利用規約」はセルフサービス広告利用規約に組み込まれます。

新しい商用利用規約(日本語版のプレビュー)に入る「AI機能」の条項は、次のとおりです。

AI機能: Metaは、人工知能や、機械学習、生成AI、その他の自動化された製品や機能を活用した製品または機能を使用もしくは提供することで、利用者がMeta社製品を理解して使用したり、コンテンツを最適化、改善、作成したりできるようにする場合があります。利用者は、AI機能が誤った結果を生成することがあり、常に正確、完全または適切な結果を生成するとは限らないことを認め、これに同意するものとします。利用者は、ビジネスまたは商業目的でのコンテンツの適合性の評価を含め、かかるAI機能およびそれによって生成されるコンテンツに関連するあらゆるリスクについて単独で責任を負い、これを引き受けるものとします。利用者は、コンテンツに関連してAIによって生成された透かしまたはコンテンツ認証メタデータを改ざんまたは削除してはなりません。

Meta商用利用規約(2026年11月20日から適用の版)

新しいセルフサービス広告利用規約にも、広告クリエイティブの「最適化、強化、作成」を支援するAI機能について、広告クリエイティブの適合性の評価を含めて、あらゆるリスクを広告主が単独で負うという条項が入ります。同じ規約には、広告クリエイティブのフォーマットや生成、選択などを支援する自動機能を使う場合でも、注文や広告クリエイティブ、ターゲット設定、配置について広告主が単独で責任を負うとも書かれています。

発効日は当初、2026年10月30日と予告されていました(クロール条項の修正を伝えた記事)。今は商用利用規約・セルフサービス広告利用規約とも、プレビューのページに「2026年11月20日より有効」と書かれています。Inc.によると、Metaは10月23日にロイターに延期を伝えました。延期は、別のクロール条項について規制当局への苦情が出たあとのことで、AI機能の条項は変わっていないとしています。

図解:今の広告クリエイティブ生成AI利用規約(2024年5月6日発効)は、生成AIを使うかは独自の裁量で選べるとし、使う・公開するアウトプットは広告主が確かめるとしている。11月20日からの商用利用規約とセルフサービス広告利用規約では、AI・機械学習・自動化された機能全般が対象になり、選べるという前置きなしに、あらゆるリスクを広告主が負う。広告を出し続けると新しい規約に同意したことになる
出典:広告クリエイティブ生成AI利用規約、Meta商用利用規約、セルフサービス広告利用規約(いずれも日本語版)をもとにAB通信が作成

今の規約との違い

今の広告クリエイティブ生成AI利用規約(2024年5月6日発効)は、利用者が「自身の独自の裁量で広告クリエイティブAIを利用することを選択できる」ことを前提に、アウトプットを使用・公開する場合に、その正確さや適切さを判断する責任を利用者が負うとしています。対象も、セルフサービス広告インターフェースとマーケティングAPIで提供する生成AIの機能です。

新しい商用利用規約の条項は、生成AIに限らず、機械学習や「その他の自動化された製品や機能」まで含み、利用者が選んだかどうかという前置きはありません。Adweekは、Metaが自動でオンにする機能も含めて広告主の責任になると報じています。Metaの広報担当者は、自分でオンにしていない機能も広告主の責任になるのかには直接答えず、Advantage+の個々の機能は広告マネージャでいつでもオフにできると説明したということです。

対象になる主なAI機能

「Advantage+ クリエイティブについて」のヘルプでは、Advantage+ クリエイティブのエンハンスのうち、生成AIを使うもの(使う選択肢があるもの)に「AI」のラベルを付けています。ヘルプは、エンハンスはキャンペーンの核となるメッセージを維持しようとするものの、アップロードしたメディアやテキストが調整されることがあり、一部はデフォルトでオンになることがあるとしています。元の投稿が挙げた4つの機能を、ヘルプの名前に当てはめると次のとおりです。

投稿で挙げられた機能Metaのヘルプでの主な名前
広告文の自動生成・翻訳テキスト生成(AI)、テキストの改善(AI)、翻訳(AI)、メディアテキストを強化(AI)、ダイナミック説明
画像のAI加工画像生成(AI)、背景生成(AI)、画像のタッチアップ(AI)、ビジュアルのタッチアップ(AI)、明るさとコントラストを調整
サイトリンクの自動追加サイトリンク(広告ソースに入れたウェブサイトから、おすすめのリンクを自動で取得)
クリエイティブの自動最適化Advantage+ クリエイティブのエンハンス全般(オーバーレイ、音楽、アニメーション、動画のタッチアップ、CTAエンハンスなど)
出典:Advantage+ クリエイティブについて、サイトリンクを利用して広告を作成する(Metaビジネスヘルプセンター)

ただし、規約の条項はこの一覧に限らず、AIや自動化された機能全般を対象にしています。また、Metaの生成AIツールで画像や動画を作ったり大きく編集したりすると、広告に「AI情報」のラベルが自動で付くことがあります(Metaのヘルプ)。新しい規約は、AIが付けた透かしやコンテンツ認証メタデータを消したり改ざんしたりすることも禁じています。

日本の広告主にも適用されるか

商用利用規約は、広告やマーケティングメッセージの利用、ページの管理、広告マネージャやMeta Business Suiteの利用など、Metaの製品を事業・商用目的で使う場合に適用されると定めています。日本語版の規約にも同じAI機能の条項と「2026年11月20日から適用」の日付が載っており、Metaのヘルプの告知も日本語で出ています。米国外に住む利用者や米国外の事業者向けには、Meta Platforms Ireland Limitedとの間の請求はアイルランドの法律と裁判所で扱うといった規定もあります。

規約には、更新の通知後も事業目的で製品を使い続けると新しい規約に同意したことになり、同意しない場合は事業目的での利用をやめることができる、と書かれています。規約には、新しい規約に同意せずに事業目的の利用を続ける方法は書かれていません。代理店などが第三者のために使う場合は、その第三者に規約を守らせる権限があることを表明・保証するとされています。運用を代理店に任せている場合は、誰がAIの生成物を確認するのかを決めておくとよいでしょう。

デフォルトでオンのエンハンスを確かめ、オフにする方法

Metaのヘルプは、エンハンスによって広告クリエイティブが自動で変わらないようにしたい場合は、公開前にどのエンハンスがデフォルトでオンになっているかを確認するよう案内しています。手順は次のとおりです(画面の名前はヘルプの日本語表記にそろえています)。

広告を作るとき

  • 広告マネージャで[+ 作成]をクリックし、[広告設定]まで進める
  • [広告クリエイティブ]の[クリエイティブを設定]から[エンハンス]に進み、エンハンスを個別にオフにするか、カスタマイズする
  • 広告プレビューの[拡大]から[詳細プレビュー]を開き、[Advantage+ クリエイティブ]タブでもオン・オフを確かめる。一部のエンハンスは[詳細プレビュー]でしかオフにできないため、両方を確認する

公開済みの広告

  • 広告マネージャの[広告]タブで広告を選び[編集]をクリック。[Advantage+ クリエイティブ]のセクションに、オンになっているエンハンスの数が出る
  • [編集]からエンハンスを個別にオフにし、[詳細プレビュー]も確かめてから[公開する]
  • 同じフォーマットの広告をまとめて直すなら、[編集]横のメニューから[Advantage+ クリエイティブ]を選び、[選択したすべての広告を編集]で一括でオン・オフできる(一括編集のヘルプ)

このほか、[広告設定]→[クリエイティブ機能]の[新しいクリエイティブ機能をテスト]にチェックが入っていると、テスト中のエンハンスなどが対象のキャンペーンに適用されることがあります。対象の広告主だけが選べる設定で、表示されない場合もあります(Metaのヘルプ)。サイトリンクは、ウェブサイトから自動で取得されたおすすめのリンクを削除して、手動で追加し直すこともできます(Metaのヘルプ)。

薬機法など表現の規制が厳しい商材での注意

新しいセルフサービス広告利用規約は、広告と広告クリエイティブが、適用されるすべての法律や規制、ガイドラインとMetaの広告規定に従う必要があるとしています。日本では、医薬品や化粧品などの広告は薬機法や医薬品等適正広告基準の対象になり(厚生労働省)、商品やサービスの効果を実際より優れているように見せる表示は景品表示法で禁じられています(消費者庁)。AIが作ったり書き換えたりした表現も、広告として配信されれば広告主の広告です。実務では、次のような点を確かめておくと安心です。

  • 効能・効果、価格、割引、「No.1」などの表現が入る広告では、テキスト生成・テキストの改善・翻訳のエンハンスをオフにするか、配信前にすべてのバリエーションを確認する
  • 画像のタッチアップや背景生成で、商品の見た目や使用前後の印象が変わらないかを詳細プレビューで確かめる
  • サイトリンクで、広告に出したくないページ(審査の済んでいないページや別の商品のページなど)が自動で選ばれていないかを確かめる
  • 自社で用意した元のクリエイティブと、配信前に確認・承認した記録を残しておく
  • 代理店に運用を任せている場合は、AIのエンハンスを使うかどうかと、確認の担当を取り決めておく

Metaのヘルプには、金融サービスや製薬・健康などの業種や特定の国では、一部のAI機能がすぐには使えない場合があるとの記載もあります。ただし、使えない機能を一覧にしたものではないため、自社の広告アカウントの画面で、どのエンハンスがオンになっているかを確かめることが大切です。どの表現が規制に当たるかは個別に判断されるため、迷う場合は専門家や行政の相談窓口に確認してください。

発端となった投稿

この変更は、Meta広告の運用を手がける合同会社FUNLY代表のなつきさん(@natsukiy_funly)が11月3日にXで取り上げ、「一部のAI機能はデフォルトで有効」「薬機法や広告表現の規制が厳しい商材では注意が必要」と指摘していました。投稿では米Inc.の記事を紹介しています。

なつきさん(@natsukiy_funly)が、Metaの広告関連規約が11月20日から変わり、AIによる広告クリエイティブの自動変更について広告主が責任を負うと伝えたX投稿のスクリーンショット
なつきさん(@natsukiy_funly)のX投稿(2026年11月3日17時37分)。出典:@natsukiy_funlyのX投稿

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  • 2026年11月3日:初版

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