【図解】GoogleのConnected Appsとは?検索・Geminiの中でアプリが動く仕組みと、企業・サイトに起きる変化

GoogleのConnected Apps Platform図解・解説のアイキャッチ(AB通信)

これまでは、何かをしたいときに「検索して、サイトやアプリを開いて、自分で操作する」のが当たり前だった。Googleが2026年10月28日にpreview(先行版)を始めたConnected Apps Platformは、この順番を逆にする仕組みだ。あなたがアプリに行くのではなく、アプリの機能がSearch(検索)やGeminiアプリの中に来る。本記事では、エンジニアでなくてもイメージできるよう、公式の動画・ドキュメントをもとに図解で整理する。発表の概要は速報記事「Google、Connected Apps Platform(preview)を発表」を参照してほしい。

目次

要点

  • ひとことで言うと:SearchのAI ModeやGeminiアプリで頼みごとをすると、連携したアプリの機能がその場で動き、結果が会話の中に出てくる
  • 使う側:最初に1回だけアプリのアカウントをGoogleアカウントにリンクすれば、以後は「@アプリ名」で呼び出せる。大事な操作の判断はユーザー側に残る
  • アプリ・サイト側:オープン標準のMCPで1回つなげば、SearchとGeminiの両方(または片方)に出せる。登録・審査・分析はGoogle Connected Consoleで行う
  • 日本では:SearchのConnected Appsは現時点で「米国・英語のみ」。Gemini側もアプリごとに国・言語の制限があり、多くは米国・英語のみ。開発者向けpreviewは段階的に開放中

何ができるようになるのか(具体例)

公式の動画・ヘルプで示されている例を3つ紹介する。いずれもGoogleが公式に挙げているものだ。

例1:眠れない夜に、Calmの瞑想をその場で探す(公式動画)

@GoogleDevsINが投稿した公式動画では、スマホのSearch(AI Mode)で「@Calm I’m having a hard time falling asleep. what should I do?」(眠れない、どうしたらいい?)と入力すると、画面に「Working with Calm…(Calmと連携中)」と表示される。

SearchのAI Modeで「@Calm」と入力して相談し、「Working with Calm…」と表示される公式動画の場面
SearchのAI Modeで「@Calm」と呼びかけると、Calmと連携して回答を作り始める。出典:Google for Developers India(@GoogleDevsIN)の公式投稿動画(2026年10月29日)。動画内に「画面は再現イメージ」との注記あり

回答には寝る前の過ごし方のアドバイスに続いて、Calmのアプリ画面そのもののようなカード(瞑想コンテンツの一覧)が表示される。タップすると、Calmで瞑想がそのまま再生される。

AI Modeの回答内にCalmの瞑想コンテンツが表示され、Calmで再生される公式動画の場面
AI Modeの回答内にCalmの瞑想リストがカードで表示され(左)、選ぶとCalmで再生される(右)。出典:Google for Developers India(@GoogleDevsIN)の公式投稿動画(2026年10月29日)

例2:レシピから、ネットスーパーのカートを作る(Searchの公式ヘルプ)

Searchのヘルプでは、AI Modeで「バナナブレッドの材料のカートを作って」と頼むと、Instacart(米国のネットスーパー)のカートが作られる例が紹介されている。注文の確定(チェックアウト)や配達の追跡は、Instacartに移って行うと明記されている。Googleの中で全部が終わるのではなく、最後の大事な手続きはアプリ側で行う流れだ。ほかにもYouTube Musicのプレイリスト作成、Canvaでのチラシ作成が例に挙がっている。

例3:レストランの予約(Geminiアプリ)

Geminiアプリのヘルプには、OpenTableの連携が「レストランを探す・予約する・予約を管理する」機能として掲載されている(英国・米国のみ、英語のみ)。たとえば次のような使い方になる。

  1. Geminiに「@OpenTable 土曜19時に2人で、近くのイタリアンを探して」と頼む
  2. OpenTableの空き状況をもとに候補が会話の中に出る
  3. 時間と店を選び、予約するかどうかを自分で確認する
  4. 予約完了。変更やキャンセルも同じ会話から頼める

※上の手順は、OpenTable連携の公式説明(探す・予約・管理)をもとにAB通信編集部が作ったイメージで、実際の画面や文言とは異なる場合がある。

仕組みの図解

裏側では何が起きているのか。登場人物は「あなた」「Google(SearchやGemini)」「アプリ」の3者だ。

Connected Appsの流れの図解。あなたが頼む→Googleがアプリを呼び出す→アプリの機能が動く→大事な操作はあなたが確認→完了
図:AB通信編集部作成(Google for Developers「Connected Apps Platform」、MCP server developer guide、Search公式ヘルプの説明をもとに作図)

ポイントになるMCP(Model Context Protocol)は、ひとことで言えば「AIとアプリをつなぐための共通のコンセント」だ。公式サイトは「AIアプリにとってのUSB-Cポート」と例えている。アプリごとに専用の接続方法を作らなくても、この共通規格に合わせておけば、GoogleのAIからアプリの機能を呼び出せる。

図の各ステップを、公式ドキュメントの記述と対応させると次のとおり。

  • ①頼む:「@アプリ名」で指名するか、文中でアプリ名に触れると、そのアプリが呼び出される。呼び出したアプリは、同じ会話の中では引き続き使われる(MCP server developer guide)
  • ②③アプリの機能が動く:アプリ側は、インターネット上に「MCPサーバー」を用意し、できること(検索・予約など)を登録しておく。Android端末の中で動かしたい場合は「AppFunctions」という別の経路もある
  • 結果の見せ方:アプリ独自のデザインのカード(例1のCalmのリストのようなもの)を会話の中に表示できる。公式は「MCP Apps」と呼んでいる
  • ④確認する:アプリ側は、各機能に「見るだけ」なのか「データを変える操作」なのかの印を付ける。確認が必要な操作も、管理画面で指定できる
  • ⑤完了:会話の中で終わる場合もあれば、決済などはアプリに移って仕上げる場合もある(例2のInstacart)

なお、Googleがアプリのアカウントに触れるための認可は、「OAuth 2.1」という業界標準の方式が推奨されている。パスワードをGoogleに渡すのではなく、アプリ側が許可した範囲だけを使わせる方式だ。

ユーザーから見た流れ

これまで(検索→サイト・アプリを開く→自分で操作→完了)とConnected Apps(Search・Geminiに頼む→その場でアプリの機能が動く→大事な操作だけ確認→完了)の比較図
図:AB通信編集部作成(Google公式ブログ、Search公式ヘルプの説明をもとに作図)
これまでConnected Apps
始め方検索して、サイトやアプリを探して開くSearchのAI ModeやGeminiに話しかける(@アプリ名でも可)
操作アプリの画面で自分で探し、入力するアプリの機能がその場で動き、結果が会話の中に出る
大事な操作自分でボタンを押して確定ユーザーが確認して決める。決済などはアプリに移って確定することも
事前準備アプリごとにログイン最初の1回だけ、アプリのアカウントをGoogleアカウントにリンク
やめたいときアプリを使わないGoogleアカウントの「接続」設定(myaccount.google.com/connections)からいつでも解除
表:これまでとConnected Appsの違い(Search公式ヘルプほかをもとにAB通信編集部作成)

Searchのヘルプによると、アプリがまだ連携されていなければ「リンク」の案内が出て、AI Modeの中でリンク手続きを進められる。すでにリンク済みなら「続ける」を選ぶだけだ。同じ種類の作業では、前回使ったアプリが既定で選ばれることがあるが、アプリ名を書けばいつでも切り替えられる。

企業・サイト側に何が変わるか

公式が説明していること(事実)

  • 一度の連携で2か所に出せる:MCPサーバーを1つ用意すれば、Search・Geminiアプリ・両方のどれに出すかを審査前に選べる(公式ブログ)
  • ブランドは自社のまま:検証済みのロゴや、ユーザーが自社アカウントでログインした状態を保てる。結果の表示も自社デザインのカードにできる
  • 数字が見られる:公開後は、Google Connected Consoleで利用状況(トラフィック)・応答速度・エラー率を追える
  • Web・iOS・Androidに対応:MCPサーバー方式は「Android・iOS・Webに広く届く標準の道」とされている。既存のWeb APIを活用することもできる
  • 広告は禁止:連携の中で第三者の広告や販促物を配信してはいけない(自社ブランドの表示は可)。低品質・重複アプリの量産やエラーが多いアプリも禁止で、違反すると却下・停止される(ポリシー)
  • 既存の連携先:SearchとGeminiで50以上のConnected Appsが公開済み。Adobe・Experian・Localiza・PelotonはGeminiで提供中で、数週間以内にSearchにも広がる。Calmは両方で新たに始まる

AB通信の見方(編集部の分析)

  • 「検索→サイト訪問」を経ない接点が増える:ユーザーが会話の中で用事を済ませると、サイトへの流入は減る一方、「頼まれた時にアプリとして呼ばれるか」が新しい競争軸になる。SEOに加えて、AIから呼ばれるための準備が必要になりそうだ
  • ECは「カート作成まで」が会話の中に入る:Instacartの例のように、商品選びとカート作成はGoogle側、決済は自社側という分担が想定される。在庫・価格をAIに正しく渡せる仕組みが売上に直結しやすい
  • メディアは「読まれ方」が変わる可能性:記事やコンテンツをMCP経由で提供するかどうかは、自社サイトへの送客とのバランスを見て判断する必要がある
  • アプリ名が「呼ばれる名前」になる:「@アプリ名」で呼び出す仕組みのため、覚えやすく、ほかと紛れない名前やブランドの価値が上がると考えられる

参加方法・条件

開発者向けのpreviewは申し込み制で、Googleは「段階的に開放し、今後数か月で開発者・市場・Google製品を増やす」としている。公式ドキュメントから、主な条件を整理する。

項目内容(公式ドキュメントより)
申し込みpreview申し込みフォームから(developers.google.com/connected-appsに案内あり)
連携方法①インターネット上のMCPサーバー(推奨)、②AndroidアプリのAppFunctions(端末内で動かす)
サーバーHTTPSで公開されたMCPサーバー。エンドポイントは世界で1つ(国別の場合はその国限定の公開時のみ)
ドメイン確認自社ドメインの所定の場所(/.well-known/google-connected-apps)に確認用ファイルを置く
ログイン連携OAuth 2.1(PKCE付き)を推奨
掲載情報アプリ名、30語以内の説明、512×512pxのアイコン、できること3つ以上、質問例3つ以上、利用規約とプライバシーポリシーのURL
カテゴリアプリのカテゴリは一度選ぶと変更できない
テストと審査Gemini Developer Modeで試し、Google Connected Consoleでテスター公開→審査に提出
費用公式ドキュメント・ブログに料金の記載はない(10月29日時点)
表:参加の主な条件(Prerequisites、MCP server developer guide、OAuth 2.1 implementation guideより)

Android Dev Summit 2026のセッションでも、AndroidアプリをGeminiにつなぐ方法とConnected Apps Platformへの登録の流れが解説されている(英語、19:44ごろから)。

出典:Android Developers公式YouTube「Integrate your app with the Android intelligence system」(Android Dev Summit 2026)

日本での提供

  • Search:ヘルプに「現在、AI Modeで米国・英語のみ提供」と明記されている。日本では使えない
  • Geminiアプリ:提供範囲は「国・言語・端末・アプリごとに異なる」とされている。今回の例に出たOpenTable(英国・米国)、Instacart・Peloton(米国)はいずれも英語のみで、日本では使えない。Adobeは国の制限はないが英語のみ。SpotifyやYouTube Musicのように、Geminiモバイルアプリの対応国・言語に合わせて使える連携もある
  • 開発者向けpreview:「市場を段階的に追加する」とされているが、日本での開始時期は公表されていない(10月29日時点)

注意点

  • previewの段階であり、機能・条件・対象国は今後変わる可能性がある。実装前に最新のドキュメントを確認したい
  • 公式動画には「流れは短縮しており、画面は再現イメージ」との注記がある
  • AIの回答には誤りが含まれる可能性があるとGoogleは注意を促している。予約や購入の内容は、確定前に必ず自分で確かめたい
  • アプリを連携すると、そのアプリとGoogleアカウントの間でデータがやりとりされる。不要になった連携はGoogleアカウントの設定から解除できる
  • Calm・OpenTable・Instacartなどの例は、連携できるアプリの一部であり、提供状況は国・言語によって異なる

つまりGoogleは何を目指しているのか

ここからはAB通信編集部の見方だ。公式の言葉では、Connected Apps Platformは「一度有効にすれば、Google全体で動く(enable once and run Google-wide)」仕組みを目指している。ユーザーの側から見れば、SearchやGeminiが「調べる場所」から「用事を済ませる場所」に変わっていく流れだと言える。

そのためにGoogleは、独自規格ではなく、他社のAIでも使われている共通規格のMCPを入り口に選んだ。アプリ側にとっては参加のハードルが下がり、Googleにとっては連携アプリを一気に増やせる。一方で、確認が必要な操作や決済はユーザーとアプリ側に残し、ブランドもアプリ側が保つ設計にしている。「AIが勝手に何でもやる」のではなく、Googleの画面を入り口に、アプリとユーザーが主導権を分け合う形を作ろうとしている、と編集部は見ている。日本での提供はまだ先だが、サイトやアプリを持つ企業は「AIから呼ばれる準備」を今から考えておく価値がありそうだ。

出典

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