Amazon営業利益率13.9%で過去最高、AWSは+39% 広告は+12%

Amazon Q3 2026決算、営業利益率13.9パーセントで過去最高・AWSがプラス39パーセントのニュースのアイキャッチ

Amazonは2026年10月29日(現地)、2026年第3四半期(期末2026年9月30日)の決算を発表した。売上は2,019億ドル(約31.9兆円)(前年比+12%、為替影響を除くと+13%)、営業利益は281億ドル(約4.4兆円)で、営業利益率13.9%は同社として過去最高。AWSは+39%の460億ドル(約7.3兆円)で、プレスは「ほぼ5年ぶりの高い伸び」としている。広告売上は196億ドル(約3.1兆円)(為替影響を除き+12%)。本稿は公式IRの数字を軸に、検索/EC/広告/AI/AIエージェント/ハードウェアの観点で整理する。

円換算は執筆時点の日本銀行「外国為替市況」(2026年10月29日)の中心相場1ドル=157.97円を使用。四捨五入。1兆円以上は兆円表示で小数第1位、1兆円未満は億円表示で整数。前年比%には円換算を付けていない。

目次

要点(3行)

  • 利益:営業利益281億ドル(約4.4兆円)(前年174億ドル(約2.8兆円))、営業利益率13.9%で過去最高。純利益は207億ドル(約3.3兆円)・希薄化後1株利益1.89ドル(約299円)で、前年のAnthropic関連の評価益(税引前95億ドル(約1.5兆円))の反動で前年をやや下回った
  • AI/AWS:AWS売上460億ドル(約7.3兆円)(+39%)、年換算ランレート1,840億ドル(約29.1兆円)。一方、AI投資を主因に直近12か月のフリーキャッシュフローは424億ドル(約6.7兆円)の流出。2026年の設備投資は約2,200億ドル(約34.8兆円)の見通しを維持
  • 広告・EC:広告は+12%(為替除く)と前四半期の+26%から減速。Prime Dayの大半がQ2開催に移った影響で、会社は売上全体で約4ポイントの押し下げと説明。Q4の広告は前年比「high teens」(10%台後半)の伸びを見込む

全体の数字(公式IR)

単位は百万ドル。括弧内は円換算(レートは冒頭注記)。出典はAmazon Q3 2026 決算リリース(Consolidated Statements of Operations/Segment Information/Supplemental Financial Information)。

  • 売上合計:前年180,169百万ドル(約28.5兆円) → 201,944百万ドル(約31.9兆円)(+12%、為替除く+13%)
  • 営業利益:前年17,422百万ドル(約2.8兆円) → 28,076百万ドル(約4.4兆円)(+61%)。営業利益率は9.7% → 13.9%
  • 純利益:前年21,187百万ドル(約3.3兆円) → 20,685百万ドル(約3.3兆円)(-2%)。希薄化後1株利益は1.95ドル(約308円) → 1.89ドル(約299円)
  • 北米:売上112,852百万ドル(約17.8兆円)(+6%)、営業利益8,723百万ドル(約1.4兆円)(前年4,789百万ドル(約7,565億円))、営業利益率7.7%
  • 海外(International):売上43,108百万ドル(約6.8兆円)(+5%、為替除く+8%)、営業利益1,580百万ドル(約2,496億円)(前年1,199百万ドル(約1,894億円))
  • AWS:売上45,984百万ドル(約7.3兆円)(+39%)、営業利益17,773百万ドル(約2.8兆円)(前年11,434百万ドル(約1.8兆円))、営業利益率38.7%
  • 営業キャッシュフロー(直近12か月):168,300百万ドル(約26.6兆円)(+29%)
  • フリーキャッシュフロー(直近12か月):前年14,788百万ドル(約2.3兆円)の流入 → 42,357百万ドル(約6.7兆円)の流出
AmazonのQ3 2026決算ハイライト(Echo Show、Amazon Pharmacy、Amazon Ads、物流拠点、AWS、Amazon Now)の公式コラージュ画像
Q3 2026決算に合わせてAmazonが公開したハイライト画像。出典:Amazon公式「Amazon Q3 2026 earnings report: Read the release」

Prime Dayは2025年は全面的にQ3開催だったが、2026年は主要国の大半でQ2に開催された。会社はこの移動を除けば、Q3の前年比成長は約400ベーシスポイント(約4ポイント)高かったと説明している。北米・広告・オンラインストアの伸びが前四半期から鈍って見えるのは、この比較要因を含む点に注意したい。

検索

AmazonアプリとWebのAmazon.comでAlexa for Shoppingを使う画面(公式画像)
Amazonアプリ・Webの検索バーから使うAlexa for Shopping。出典:Amazon公式「Alexa for Shopping adds 100+ new ways to shop on Amazon」
  • Amazonは検索クエリ数やその伸び率を開示していない。当該決算資料でも検索単独の数値は公式未言及
  • 検索まわりの公式な動きは、AIショッピングアシスタント「Alexa for Shopping」に集約されている。2026年5月にRufusとAlexa+を統合して始まり、Amazonのメイン検索バーに質問を入力すると回答する仕組み(Amazon公式ブログ)
  • 決算リリースでは、Alexa for Shoppingの利用者は直近12か月で4億人超、顧客とのやり取りは前年比+570%
  • 広告売上の定義には、スポンサー広告(検索結果などに出る広告)、ディスプレイ、動画が含まれる(リリース脚注)。検索連動広告の単独売上は分けて開示されていない
  • 法人向けでは、Amazon Bedrock上のOpenAIモデルに組み込みWeb検索を追加。最新情報に基づいた回答を、自前の検索パイプラインなしで返せるとしている

EC

  • オンラインストア:68,470百万ドル(約10.8兆円)(+2%、為替除く+2%)。前四半期は為替除く+15%
  • サードパーティ・セラーサービス(出品者向け手数料・配送など):46,492百万ドル(約7.3兆円)(+9%、為替除く+10%)
  • 実店舗:5,710百万ドル(約9,020億円)(+2%)、サブスクリプション(Prime会費など):14,006百万ドル(約2.2兆円)(+11%)
  • 販売個数(paid units)は前年比+12%、うち出品者による販売の比率は61%
  • 配送コスト:28,295百万ドル(約4.5兆円)(+11%)
  • リリースのハイライト:Prime会員向けにQ3として過去最速の配送で、15億点超が当日・翌日に到着。超高速配送「Amazon Now」は世界450超の都市で提供、注文点数は前年比10倍
  • 生鮮食品・日用品は他カテゴリーの約3倍の速さで伸び、Q3の販売個数の約半分を占めた
  • 出品者向けには、在庫補充や価格調整を常時こなす「Seller Assistant workflows」、Seller AssistantをAmazon QuickやAnthropicのClaudeから使えるプラグイン、Seller Centralでの複数チャネル管理を追加

広告

Amazon Ads Agentのキャンペーン作成画面。スポンサー広告、ディスプレイ・動画・オーディオ、Full-Funnel Campaignsを選べる(公式画像)
Amazon Ads Agentのキャンペーン作成画面。出典:Amazon Ads公式「Introducing Amazon Ads Agent, your AI-powered ad platform」(同ページにFull-Funnel Campaignsの設定デモ動画あり)
  • 広告売上(Advertising services):前年17,703百万ドル(約2.8兆円) → 19,637百万ドル(約3.1兆円)(+11%、為替除く+12%)
  • 直近の為替除く成長率は、2025年Q2〜2026年Q1が各+22%、2026年Q2が+26%、Q3が+12%。会社はQ3の伸びについて、主にPrime Dayに関連するタイミングのずれ(ほかにもいくつかのタイミング要因)が影響したと説明
  • Q4(2026年10〜12月)の広告売上は、前年比で「high teens」(10%台後半)の伸びを見込む(リリースのガイダンス欄)
  • 広告主向けに「Amazon Ads Agent」を導入。Amazonの広告商品を1つのAIファーストのプラットフォームにまとめ、分析・回答から広告主に代わる操作までを支援する
  • 米国の全広告主に「Full-Funnel Campaigns」を提供。スポンサー広告・ディスプレイ・動画・ストリーミングTV広告を1つのキャンペーンにまとめ、初期入力後はAIが計画・実行・最適化する
  • 広告在庫に関わる動画では、Prime VideoのThursday Night Footballが6試合平均1,770万人(Nielsen、過去最高のスタート)。NBA on Primeは200超の国・地域で配信

過去6四半期の推移(公式)

AWSと広告の売上・前年比、キャッシュフローの推移。数値はいずれもQ3 2026決算リリースのSupplemental Financial Information(各四半期の公式値)から取っている。

AmazonのAWS売上と前年比の推移(公式・直近6四半期)
出典:Amazon Q3 2026 決算リリース(Supplemental Financial Information)。前年比は為替影響を除く
Amazonの広告売上と前年比の推移(公式・直近6四半期)
出典:Amazon Q3 2026 決算リリース(Supplemental Financial Information)。2026年はPrime Dayの大半がQ2開催
  • AWSは2025年Q2の+17%から6四半期連続で伸び率が上がり、Q3は+39%
  • 広告は2026年Q2の+26%に対しQ3は+12%。Prime Dayの移動でQ2が押し上げられ、Q3が押し下げられた形で、2四半期を合わせて見るのが実態に近い

AI

  • AWS売上460億ドル(約7.3兆円)(+39%)、年換算ランレートは1,840億ドル(約29.1兆円)
  • CEO Andy Jassy:AWSの売上成長率は2027年・2028年とも40%超を見込むとコメント(プレスリリース)
  • Amazon Bedrock(AWSの推論サービス):Fortune 500企業の支出は前年比約7倍、総トークン量は前年比約17倍
  • Bedrockに追加したモデル:OpenAIのGPT-6系(Astra/Sol/Luna、GPT-6.1 Sol)、AnthropicのClaude(Fable 5.1、Opus 5.5、Sonnet 5.5、Haiku 5.5)、Moonshot AIのKimi K3、SpaceXAIのGrok 4.7、Z.aiのGLM 5.3など
  • 自社AIチップTrainiumで、既存のPyTorchコードを書き換えずに動かせる「TorchNeuron」を提供
  • 新規・拡大のAWS契約先として、Meta、NVIDIA、OpenAI、Salesforce、Oracleなどを列挙
  • 設備投資(有形固定資産の購入)はQ3単独で773億ドル(約12.2兆円)。直近12か月の純額は2,107億ドル(約33.3兆円)で前年比+82%。リリースは「主にAIへの投資」と説明
  • 2026年通年の現金ベース設備投資は約2,200億ドル(約34.8兆円)の見通しを維持
Amazonの営業キャッシュフロー・設備投資・フリーキャッシュフローの推移(直近12か月、公式)
出典:Amazon Q3 2026 決算リリース(Supplemental Financial Information)。設備投資は売却・インセンティブ控除後

AIエージェント

  • Amazon Bedrock AgentCore(エージェントの構築・接続・運用のマネージドサービス)は数万社が利用。Q3に顧客がデプロイしたエージェント数は、それ以前の3四半期合計の2倍
  • 「Bedrock Managed Agents」をパブリックプレビューで公開。OpenAIの技術を使い、企業が本番向けのAIエージェントを早く構築・展開できるとしている
  • オープンソースのエージェント基盤「Strands harness」を公開。同じモデルを使う他のハーネスと比べ、トークン効率によりエージェントのタスクコストを32%下げつつ、精度は同等以上とする。エージェントの行動とアクセスにルールを課すサンドボックス「Strands Box」もプレビュー公開
  • 開発者向けに、複数エージェントを並行・長時間動かせる作業環境「Kiro Crew」をオープンソース化
  • 脆弱性の発見から修正までをAIで自動化する「AWS Continuum」を一般提供。AnthropicのClaude Code、OpenAIのCodex、AWSのKiroにも組み込む
  • 業務用AIアシスタント「Amazon Quick」をOutlook・Word・PowerPoint・Excelに拡大。ノートPCを閉じても処理を続けられるようになった
  • 消費者側ではAlexa for Shoppingに100超の機能を追加。ギフトリスト作成、定期おトク便の変更、支払い・会員情報の管理、配送先追加などを会話で完結できる。Amazon公式ブログによると、エージェント機能の利用者は年初から8倍超
  • 広告主側のAmazon Ads Agent、出品者側のSeller Assistant workflowsも、利用者に代わって操作する「エージェント型」の機能として位置づけられている
  • エージェント関連の売上単独の数値は当該資料では公式未言及(AWS等に含まれる)

ハードウェア

Amazonの2026年新製品のEcho Show 16、Alexa Photo Frame、Echo Dot、Echo Time、Echo Studio(公式画像)
2026年の新しいEchoシリーズ(左からEcho Show 16、Alexa Photo Frame、Echo Dot、Echo Time、Echo Studio)。出典:Amazon公式「Amazon unveils its newest lineup of Alexa devices」
  • Echo、Kindle、Amazon Alexa Tablets、Fire TV、Ring、Blink、Beeの各シリーズで新製品34機種を投入し、「過去最強のラインナップ」で初期需要は好調とした
  • Alexa+をオーストラリア、インド、日本に拡大。米国では対応Fire TV端末のユーザーに無料提供を開始
  • 端末単独の売上や販売台数は公式未言及(デバイス販売はオンラインストア等に含まれる)
  • 低軌道衛星通信「Amazon Leo」は年内の初期サービス開始に向け予定どおりとし、AT&Tと戦略的契約を締結。自動運転のZooxはラスベガスで有料乗車を開始し、米国12都市で運行
  • ガイダンスの注意事項には、メモリチップを含む資源・供給の変動がリスク要因として明記されている

Q4の見通しと設備投資(公式)

  • 売上:2,400億ドル(約37.9兆円)〜2,470億ドル(約39.0兆円)(前年比+12〜16%)。為替は約60ベーシスポイントのマイナス影響を想定
  • 営業利益:285億ドル(約4.5兆円)〜335億ドル(約5.3兆円)(前年Q4は250億ドル(約3.9兆円))
  • 広告売上:前年比「high teens」(10%台後半)の伸び
  • 2026年の現金ベース設備投資:約2,200億ドル(約34.8兆円)

実務担当者・マーケター向けの読みどころ

  • 広告:Q3の+12%は、Prime Day移動の影響を受けた数字。Q4の「high teens」見通しとあわせて、年末商戦の出稿計画では2四半期をならして見るのが妥当
  • 広告運用のAI化:Amazon Ads AgentとFull-Funnel Campaignsで、スポンサー広告からストリーミングTVまでをAIがまとめて運用する方向が明確になった。米国の全広告主が対象で、日本での提供時期はリリースに記載がない
  • 検索・EC:検索バーがAIアシスタントの入口になり、利用者は4億人超。商品ページの情報やレビューがAIの回答・比較に使われる前提で、商品情報を整える重要性が増す
  • AIエージェント:AgentCoreのデプロイ数やBedrockのトークン量など、企業のエージェント活用が数字で示された。AWS上でエージェントを検討する場合、Strands harness/Box などオープンソースの選択肢も増えている
  • 日本:Alexa+の日本提供開始が決算ハイライトに含まれた。日本単独の売上・広告数値は当該資料にない
  • 本記事は公式発表の整理であり、個別の広告アカウントや出品の成果を保証するものではない

注意点・補足

  • 事実関係はAmazonのQ3 2026決算リリースと、Amazon公式ブログ(aboutamazon.com)に基づく
  • 発表は米時間2026年10月29日。決算説明会は同日14:00 PT(日本時間10月30日6:00)開始
  • Prime Dayの開催時期の違いにより、Q2・Q3の前年比は単純比較しにくい
  • 純利益は、前年Q3に含まれていたAnthropic投資の評価益(税引前95億ドル(約1.5兆円))の反動で減少している。本業の利益は営業利益で見るのが適切
  • 決算リリースの前年比%は会社発表値(四捨五入)。日本市場単独の数値は当該資料にはない

関連記事

出典

目次