平山 大樹 AB通信 運営責任者
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この記事の要約
英国の競争・市場庁(CMA)は2026年6月、Googleに対し、英国で表示されるAI OverviewやAIモードについて、サイトごとの表示回数・クリック数・クリック率を、通常の検索と分けて提供するよう求めるルールを課しました。期限は2026年12月3日です。いまのSearch Consoleの「生成AIパフォーマンスレポート」は表示回数だけで、AI機能からのクリックは通常の検索のクリックに含まれています。
出典:CMAの通知・解釈ノート・概要資料、Search Consoleヘルプ(2026年11月3日に確認)
英国の競争・市場庁(CMA)は2026年6月3日、Googleの一般検索サービスに「パブリッシャー向けの行為要件(Publisher Conduct Requirement)」を課しました。2024年にできた英国のデジタル市場の法律(DMCC法)にもとづくもので、CMAが2025年10月10日にGoogleの一般検索を「戦略的市場地位(SMS)」に指定してから、初めて課した行為要件です。
中身は大きく3つです。サイト運営者(CMAは「ウェブにコンテンツを公開するすべての人」をパブリッシャーと呼んでいます)が、自分のコンテンツをAIの学習やAI検索の回答の根拠に使わせない設定、AI機能での使われ方を示す数字と説明、AI機能の中での出典表示です。ほとんどの義務は12月3日までに守る必要があります。
いつまでに、何を

CMAの通知では、この行為要件は「通知の日から6か月後」に効力を持ち、ページ単位の設定(4.b)だけは「9か月後」としています。CMAの概要資料も「Googleは2026年12月3日までに対応する必要があり、ページ単位の設定の開発と展開にはさらに3か月ある」と書いています。対象は、英国にいる利用者に表示されるAI機能の出力です。
| 項目 | CMAが求めること(要約) |
|---|---|
| 設定(コントロール) | AIの学習と、AI検索の回答の根拠(グラウンディング)に、検索用に集めたコンテンツを使わせない設定。AI Overview・AIモードなどの検索内の機能と、Gemini AI AssistantやVertex AI APIなど検索の外のサービスの両方が対象。検索内の機能はディレクトリ単位とページ単位で選べること |
| 不利に扱わない | 設定を使ったサイトを、通常の検索で順位を下げるなどして不利に扱わない |
| 説明の公開 | コンテンツが学習や回答の根拠にどう使われるか、設定で何が変わるかを、わかりやすく公開する |
| 数字の提供 | AI機能でのコンテンツへのユーザーの反応について、明確で詳しい数字を出す |
| 出典表示 | AI機能の中で、コンテンツの出典を明確・正確に示し、利用者が元のページに行けるようにする |
「クリック数」はどう求められているか
数字について、通知そのものは「明確で詳しい指標」とだけ書いています。中身は、通知と一緒に出た解釈ノート(Interpretative Notes)で示されています。CMAが含めることを期待しているのは次の3つです。
- 表示回数:AI機能の回答の中で、そのサイトのコンテンツが表示された回数。回答の中のどこに出典として出たかも含む
- クリック数:AI機能のリンクからサイトへのクリック。サイト側でそのクリックを見分けて、流入の「質」を確かめられる方法も含む
- クリック率:AI機能でコンテンツが表示されたときに、リンクがクリックされた割合
提供のしかたは「サイトごとに」「通常の検索結果(ウェブ・画像・動画)やほかの検索機能とは完全に分けて」「Search Consoleのような、だれでも使える場所で」とされています。CMAの概要資料では、AI OverviewやAIモードなどをまとめた形での数字と、AI機能からの流入の質を確かめられる参照元のデータ、と書かれています。
ただし解釈ノートはCMAの考え方を示したもので、Googleは、別のやり方でも要件を満たすとCMAに示せれば、その方法をとることができます。Search Consoleに新しい項目ができると決まったわけではありません。
いまのSearch Consoleで見られるもの

Search Consoleには、2026年8月31日から世界中のサイトで使えるようになった「生成AIパフォーマンスレポート(検索)」があります。ヘルプによると、このレポートに含まれるのはAI OverviewとAIモードでの表示回数で、ページ・国・デバイス・日付ごとに見られます。クリック数やクリック率の項目はありません。
AI機能からのクリックそのものは、すでに数えられています。Search Consoleヘルプの「表示回数、掲載順位、クリック数とは」では、AI OverviewやAIモードの中の外部ページへのリンクをクリックすると1クリックと数える、と説明されています。ただしそれは通常の検索パフォーマンスのクリックに含まれていて、AI機能の分だけを取り出す方法はヘルプには書かれていません。CMAが求めているのは、この部分を分けて見せることです。
同じ8月31日には、AI検索にサイトを使わせるかどうかを選ぶ「検索の生成 AI 設定」も世界中のサイトで使えるようになりました。CMAも概要資料で、Googleはすでに設定と透明性の一部を展開しはじめている、としています。
日本のサイト運営者への影響
CMAのルールの対象は、英国にいる利用者に表示されるAI機能です。日本向けの検索で同じ数字が出るかどうかは、決まっていません。ただ、Googleがこれまでの「生成AIパフォーマンスレポート」や「検索の生成 AI 設定」を世界中のサイトに同時に出してきたことを考えると、12月3日前後のSearch Consoleの変化は、日本のサイトでも確かめておく価値があります。
- Search Consoleの「生成AIパフォーマンスレポート」で、AI Overview・AIモードでの表示回数を、いまのうちに記録しておく
- 12月3日前後に、Search Consoleのレポートやヘルプに、AI機能のクリック数やクリック率の項目が加わるかを確かめる
- 英国からの流入があるサイトは、国のフィルタで英国の数字を分けて見られるようにしておく
今後の見どころ
Googleは、CMAに定期的に対応状況を報告する必要があります。報告に関する通知では、最初の2回は6か月ごと、その後は12か月ごとの報告とされています。この行為要件は、指定の期間が終わる2030年10月10日まで続きます。
2026年11月3日時点で、GoogleがAI機能のクリック数の提供について発表した公式の資料は、確認できませんでした。新しい発表があれば、この記事に追記します。
出典
- Google search publisher conduct requirement(GOV.UK、CMA)
- CMA secures fairer deal for publishers and improves Google search services in UK(GOV.UK、2026年6月3日)
- Publisher CR Notice(CMAの通知、2026年6月3日)
- Publisher CR Interpretative Notes(CMAの解釈ノート)
- The publisher conduct requirement(CMAの概要資料、2026年8月)
- Publisher CR Final Decision(CMAの最終決定)
- Publisher CR Compliance Reporting Notice(CMAの報告に関する通知)
- 生成 AI パフォーマンス レポート(検索)(Search Consoleヘルプ)
- 表示回数、掲載順位、クリック数とは(Search Consoleヘルプ)
- 検索の生成 AI 設定(Search Consoleヘルプ)
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更新履歴
- 2026年11月3日:初版


