Amazonでの出品形態には「セラー」と「ベンダー」の2種類があります。それぞれ店舗や商品によって向き・不向きが異なるため、理解して使い分けましょう。今回は、Amazonでのセラーとベンダーの違いや、メリット・デメリットを解説します。
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Amazonの「セラー」と「ベンダー」とは
セラー(Seller)・ベンダー(Vendor)は、ともに「売り手」という意味を持つ英語ですが、Amazonにおいては出品形態の違いを表しています。
「セラー」は出品者がお客様に直接商品を販売する形、「ベンダー」は出品者がAmazonに商品を卸し、Amazonがお客様に販売する形です。それぞれ商品の取り扱い方が違うため、詳しく見ていきましょう。
Amazonセラーとは
Amazonセラーは、ショップがお客様に直接商品を販売する出品形態で、商品ページの出荷元がショップ名になっている点で見分けられます。
セラーには利用条件がなく、どの事業者やメーカーも規模にかかわらずセラーからAmazon運用をはじめる形になります。セラーは、Amazonセラーセントラルという管理画面で、出品や商品登録などの操作が可能です。
Amazonベンダーとは
Amazonベンダーは、ショップがAmazonに商品を卸し、Amazonがお客様に販売する出品形態です。商品ページの販売元と出荷元が「Amazon.co.jp」となっている点でセラーと見分けられます。
Amazonベンダーは主にメーカーや卸売業者向けのもので、Amazonから招待されないと利用できません。
どういう条件をクリアしたらAmazonからベンダーへの招待が来るのかは公表されていません。世界に認知されている大手企業や有名ブランドであること、Amazonのカテゴリーランキングの上位商品を販売している企業であることが条件と考えられています。
Amazonの「セラー」と「ベンダー」の違い
Amazonのセラーとベンダーの違いは以下のとおりです。
出品形態 | 商品販売時にかかる費用 | 販売手数料 | |
---|---|---|---|
Amazonセラー | 自社がお客様に販売 | 小口出品者:1商品ごと100円 大口出品者:月額4,900円 | 購入者が支払った合計金額の6~45%、またはAmazon規定の最低販売手数料(商品カテゴリーごとに異なる) |
Amazonベンダー | Amazonに販売し、Amazonがお客様に販売 | なし | なし |
Amazonセラーでは、商品を販売する際に基本成約料または出品登録料と、販売手数料がかかります。
小口出品者は売れた商品1点ごとに基本成約料100円、大口出品者は販売数に関係なく出品登録料として月額4,900円が必要です。
販売手数料は、販売する商品のカテゴリーごとに異なりますが、小口出品者・大口出品者ともに購入者が支払った合計金額の6〜45%または、Amazon規定の最低販売手数料がかかります。
一方、Amazonベンダーでは、基本成約料や出品登録料、販売手数料などの費用はかかりません。ただし、小売価格の40〜60%の価格でAmazonに商品を卸す必要があります。
Amazonセラーの3つのメリット
Amazonセラーのメリットは、大きく次の3つがあげられます。
- 出品する商品や価格を出品者自身が決められる
- 配送方法を出品者出荷とFBAから選択できる
- 使える機能が多く売上アップにつなげやすい
メリットを理解したうえで、Amazonセラーのままでいるか、Amazonベンダーを利用するか検討しましょう。
出品する商品や価格を出品者自身が決められる
Amazonセラーでは、出品者自身が出品する商品や販売価格を決められます。
Amazonベンダーでは、Amazonが指定した商品のみを、Amazon指定の買取価格でしか売れません。売りたい商品を自由に売れるうえ、商品の売れ行き・商品原価・利益率から最適な価格を設定できるのは、Amazonセラーの大きなメリットです。
販売価格は、売上やカートボックスの獲得率に影響するため、慎重に決めましょう。また、出品ルールを守ること、イベント時期や需要にあわせた価格戦略も重要です。ノウハウが必要なため、難しいと感じる場合は運用代行会社への依頼を検討するのもよいでしょう。
配送方法を出品者出荷とFBAから選択できる
Amazonセラーでは、配送方法を出品者出荷とFBA(フルフィルメント by Amazon)から選択できます。
自分たちの手で発送したい場合や、懇意にしている宅配業者がいる場合などは「出品者出荷」を選ぶとよいでしょう。
FBAを利用すると、Amazonベンダーと同程度に発送作業が簡略化できます。さらに、Amazonプライム対象商品となるため、配送料無料やお急ぎ便・お急ぎ日時指定便などプライム会員限定のサービスを提供でき、売上増加につながる可能性が高まります。
自社のリソースや費用などを考慮し、自社にあった配送方法を選択してください。
使える機能が多く売上アップにつなげやすい
Amazonセラーは、Amazonベンダーでは使えない機能が多くあります。
売上だけではなく、セッション数やカート取得率、ビジネスレポートなど参考になるデータが多く、売上アップに取り組みやすい環境が整っています。
Amazonセラーで注意したい3つのデメリット
Amazonセラーで注意したいデメリットは、以下の3つがあげられます。
- 競合になる店舗が多い
- 月額料金が発生する
- 利益計算が難しい
デメリットをあらかじめ理解し、対策を講じておきましょう。
競合になる店舗が多い
Amazonからの招待を受けないと利用できないAmazonベンダーに対し、Amazonセラーはどんな店舗でも利用できます。そのため、競合相手が多く価格競争に巻き込まれやすい点がデメリットです。
商品内容や商品ページで差別化することが重要なため、ページ作成のノウハウや運用スキルが必要になるでしょう。
月額料金が発生する
Amazonセラーでは、販売時に費用が発生します。小口出品者では1商品ごとに基本成約料として100円、大口出品者では出品登録料として月額4,900円が必要です。
売上アップを目指す場合は、大口出品者の登録がほぼ必須といえるため、月額費用のことは頭に入れておきましょう。
また、販売手数料として、購入者が支払った合計金額の6〜45%または、Amazon規定の最低料金がかかります。Amazonベンダーでは、小売価格の40〜60%の価格でAmazonに商品を卸しますが、基本成約料や出品登録料、販売手数料はかかりません。
Amazonに卸す商品価格と月額や販売手数料を考慮して、出品形態を検討しましょう。
利益計算が難しい
Amazonに卸した際に利益が確定するAmazonベンダーとは違い、Amazonセラーでは利益計算に苦労するおそれがあります。
たとえば、商品カテゴリーごとに異なる販売手数料や送料などを、商品ごとに計算しなくてはいけません。商品を訴求するために自社で広告を利用した場合は、その費用も入れる必要があります。慣れないうちは難しいと考えておきましょう。
Amazonベンダーの3つのメリット
Amazonベンダーのメリットは、主に次の3つがあげられます。
- Amazonから販売されるため信頼性が上がる
- 自社のリソースを削減できる
- カートボックスを獲得しやすい
しっかり理解して、Amazonベンダーに招待された場合に備えておきましょう。
Amazonから販売されるため信頼性が上がる
Amazonベンダーを利用すると、商品ページの販売元・出荷元ともに「Amazon.co.jp」と表示されます。名前の知られていない店舗に比べ、Amazonが販売元というのは購入者の安心感を得やすいでしょう。AmazonセラーでFBAを利用する場合は、販売元が店舗名となるため大きな違いです。
また、自社出荷している場合とは違い、「Amazon.co.jpが発送する商品を3,500円以上注文すると通常配送無料」の条件に当てはまるようになるため、売上アップ効果も期待できます。
自社のリソースを削減できる
Amazonベンダーでは、商品価格の設定や広告運用、商品の梱包・発送、カスタマーサポートをAmazonが実施してくれます。
AmazonセラーでFBAを利用する場合でも、商品価格の設定や広告運用は自社で行うため、自社のリソース削減に効果的です。空いた分の人手を別の業務に回せば、より効率的に店舗運営ができるでしょう。
カートボックスを獲得しやすい
同じ商品を複数の出品者が販売している場合、1出品者のみが優先して表示されます。この優先された出品者の状態を「カートボックスを獲得する」と表現します。
カートボックスは、AmazonセラーよりもAmazonベンダーのほうが獲得しやすいといわれており、Amazonベンダーを利用する大きなメリットといえます。
「カートに入れる」ボタンを押すと表示されている出品者からの購入につながるため、カートボックスを獲得するのは売上アップに重要な要素です。ほかの出品者は「新品○件の出品」ボタンを押さないと表示されず、購入されにくい傾向があります。
Amazonベンダーが注意したい3つのデメリット
Amazonベンダーで注意したいデメリットは、以下の3つがあげられます。
- 高い利益を得にくい可能性がある
- 成果によってはAmazonからの発注が止まるリスクがある
- 活用できるデータや機能が限られている
デメリットを考慮して、Amazonからの招待を受けるか検討しましょう。
高い利益を得にくい可能性がある
Amazonへ商品を販売する際は、Amazonが指定した価格で卸します。取引条件は公開されていませんが、卸値は小売価格の40〜60%といわれており、マーケット状況によってAmazonが卸価格の値下げを要求することもあります。
Amazonベンダーでは販売価格もAmazonが決めるため、出品者の希望価格が反映されず値崩れを起こす可能性も否定できません。ブランドのイメージが変わってしまう場合があることを覚えておきましょう。
成果によってはAmazonからの発注が止まるリスクがある
Amazonに卸した商品は、売上が悪いとAmazonから発注されなくなる場合があります。発注がなくなると自社で余分な在庫を抱えることになりかねません。
そのためAmazonに卸して終わりではなく、商品ページの改善や広告運用など売上を落とさない工夫をすることが必要です。
活用できるデータや機能が限られている
AmazonベンダーはAmazonセラーに比べて使用できる機能が少なめです。
活用できるデータも限られるため、自社で分析して改善していくなどの主体的な運用は難しいといえます。
Amazonでは「セラー」と「ベンダー」どちらで出品すべき?
Amazonからベンダーへの招待があった出品者は、セラーを継続すべきか、ベンダーに変更すべきか迷っている方もいるのではないでしょうか。
ここでは、セラーとベンダーそれぞれに向いている出品者の特徴を解説します。
Amazonセラーに向いている出品者
Amazonセラーに向いている出品者は、以下の3つが考えられます。
- 自分で考えて運用したいショップ
- リソースに余裕のあるショップ
- 小売業者を抱えているショップ
販売する商品や価格が決められ、活用できる機能も豊富なAmazonセラーは、自分で考えて運用したいショップに向いています。また、運用のノウハウが必要となるため、勉強にリソースを割けるショップでないと難しいかもしれません。
小売業者に商品を卸している場合、自社がAmazonベンダーを利用して商品価格を安く販売すると、小売業者の販売している商品が売れなくなるおそれがあります。結果的に小売業者からの発注がなくなることも考えられるため、慎重に検討しましょう。
Amazonベンダーに向いている出品者
Amazonベンダーに向いている出品者は、以下の3者が考えられます。
- 運用の手間を抑えたいショップ
- 認知度をアップさせたいショップ
- 薄利多売を狙うショップ
Amazonベンダーを利用すると、FBAで代行してもらえる商品の梱包や発送だけではなく、商品価格の設定や広告運用などもAmazonに任せられます。そのため、自社のリソースをほかの業務に回すことができます。
カートボックスを獲得しやすくなり露出の機会が増えるため、ショップの認知度を上げる効果も期待できるでしょう。
AmazonはAmazonベンダーから卸してもらった商品を、一般の小売価格より安価でお客様に販売する可能性があります。利益率は下がっても沢山売れるほうを選ぶショップは、ベンダーに向いているでしょう。
Amazonの「セラー」と「ベンダー」は併用できる
同一商品をAmazonセラーとベンダーの両方で出品することは可能です。ベンダーで販売している商品に相乗りの形でセラー出品しましょう。
Amazonベンダーのみで出品している場合、Amazonが持っている在庫が切れると販売チャンスを失います。セラー出品もしておくと在庫切れのリスクを減らせるでしょう。
セラーとベンダーのメリット・デメリットを理解して、自社にあった販売方法を選択しよう
Amazonのセラーとベンダーは、かかる費用や運用方式などそれぞれ特徴が異なります。
ベンダーはAmazonから招待が必須のため希望通りになれるわけではありませんが、招待を受けた際に困らないよう、メリット・デメリットをしっかり把握しておくことをおすすめします。
Amazonベンダーを利用したいと考えているものの社内リソースの余裕がない場合は、運用代行会社を利用するのも方法のひとつです。いろいろな手段を組み合わせてみましょう。
Amazonベンダーの招待が来たら条件をしっかり確認し、セラーと比較したうえで自社にとってよりよい出品形態を選択してください。
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