Webサイトからの申込み率を向上させ、離脱率を低下させるという目的で、非常に注目されている「Web接客ツール」。
運用しているWebサイトにタグを入れ込むだけで、簡単に設置できる便利さから、自社のWebサイトに導入する企業も増加しています。
しかし実際に「Web接客ツールを利用してみたい」とは思っているものの、具体的にどのようなツールなのか、メリットは何かなど分からないことが大半のはず。
結論から言うと、Web接客ツールはサイトに訪れたユーザーの離脱率を低下させ、申込み率を上げるために非常に有用なツールです。
この記事では、Web接客ツールとは何か、メリット、おすすめツールなどについて事例を交えながら具体的に解説していきます。
読み終えれば、あなたもどのWeb接客ツールを利用すれば良いのか分かるので、ぜひ参考にしてみてください。
Web接客ツールとは「Webサイト上で実店舗のような接客を行う」ツール
Web接客ツールとは、サイト上で各々のユーザーとチャットボットで会話したり、属性に見合った情報をポップアップで提供するツールのこと。
通常のWebサイトだと、情報提供・お問い合わせフォームなどを設置して、あとの行動はユーザーに任せるといった形式でした。
しかしWeb接客ツールを導入すれば、実店舗での接客のように、おすすめ商品を提案したり、疑問に答えたりすることもできます。
より顧客の満足度を高め、サイトから離脱してしまうリスクを防げるということもあり、主に購買意欲の高いECサイトで導入されることが多くありました。
現在では、自社のデータベースを元に、個々人に最適な情報を提供するケースも増えており、よりCX面での拡張が進んでいます。
Web接客ツールは「2種類」存在する
基本的にWeb接客ツールは大きく分けて2種類のタイプが存在します。
- ポップアップ型
- チャットボット型
どちらのタイプを利用するかも、サイトの価値を最大化する上では非常に重要なものなので、ぜひ参考にしてみてください。
ポップアップ型
ポップアップ型は、ユーザーの属性・閲覧履歴・デバイスなどを読み取った上で、ユーザーごとに最適化された情報をポップアップ表示する仕組みのこと。
予め設定した画像を表示するだけですが、ユーザーにとって必要な情報をすぐに提供できるので、CVRを大きく高められるの大きなメリットです。
新規で訪問したユーザーには会員登録案内を、既存ユーザーにはクーポン提示など属性ごとに異なるものを表示することが可能です。
チャットボット型
チャットボット型は、画面の右下にチャットボットを実装して、訪問したユーザーに接客を行うツールのこと。
SaaS系のシステム販売などを行っている企業に多いですが、訪問ユーザーが理解できないことが多く、途中で離脱してしまうことも少なくありません。
チャットボットを導入することによって、ユーザーの悩みに答えながら誘導できるので、離脱率を大幅に防ぐことが可能です。
ポップアップ型より設定する事項は多いので大変ですが、顧客体験満足度は大幅に上げられるのでおすすめです。
Web接客ツールを導入するメリット3つ
Web接客ツールを導入するメリットは主に3つ。
- 顧客のサイト離脱率の低下
- サポート業務の効率化
- CVRの向上
自社サイトに導入する上では、非常に有用な施策なので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
顧客のサイト離脱率の低下
新規で訪問したユーザーによる離脱率を下げられるということがWeb接客ツールを導入する上での大きなメリット。
訪問するユーザーは、サイトによく分からない情報が並んでいたりすると「自分には理解できない」と考えてすぐに離脱してしまいます。
Web接客ツールを利用し、ユーザーに情報提供を行うことで、サイトからの離脱を防ぎます。
特にチャットボット型のツールは会話形式で理解を深めていけるので、良質な顧客体験を届けられるという意味でも非常にお得なのです。
サポート業務の効率化
通常Webサイトからのお申込みの場合は、サービスに申し込んだユーザーに対して、電話やメールなどで問い合わせ対応を行わなければなりません。
しかしチャットボット型のWeb接客ツールを導入すれば、申し込みの時点で事前に情報を入手できるので非常に効率的。
サポート業務はつい煩雑化してしまいがちですが、効率化することでサポートにかかるコストを大きく削減できるのも大きな魅力であると言えるでしょう。
CVR(申し込み率・購買率)の向上
一般的にLPをリスティング広告などを出稿した場合の、コンバージョン率は業種・商材などにもよりますが2~5%と言われています。
サービス・商品に興味を持ってサイトを訪れても、実際に問い合わせまでに至るユーザーは100人中2~5人ほどという計算。
CVRは商材によっても左右されますが、Web接客ツールは確実にCVRの向上にいい影響を与えることができます。
ユーザーが「知りたい」と思うことを提供すれば、自然と離脱せずに購買意欲を高めることも可能になります。
せっかく訪問してくれたユーザーに、もっと興味を持ってもらうためにも、Web接客ツールは非常に有用なものだと言えるでしょう。
Web接客ツールの他社導入事例
Web接客ツールの導入している方がもっとも気になるのが「他社ではどのような成功事例があるのか」という点ですよね。
実際の成功事例を知っておくことで、自社で導入した場合、どのような成果が期待できるのかを想像することができます。
今回はWeb接客ツールを提供している3社による導入事例を紹介しています。
- Sprocket
- ecコンシェル
- KARTE
導入事例を理解して、具体的にどのような事例があるのかチェックしておきましょう。
新規獲得件数が10%増加(Sprocket)
クラウド会計ソフトを運営している株式会社弥生では、Web接客ツールSprocketを導入したことによって「やよいの青色申告」の新規獲得件数が10%も増加しました。
元々は別のWeb接客サービスを利用していましたが、コスト面での不安・自由度の高さなどの理由からSprocketの導入を決定。
SprocketのWeb接客ツールは複数のシナリオを細かく設定でき、調節なども行いやすいというのも、選ばれる理由だったとか。
Webページでの作り込みに加えて、Sprocketで複数のシナリオを考案し、実践して地道にA/Bテストを行っていったと言います。
すると新規獲得件数が10%も増加し、ユーザー体験を大きく向上させることができるようになりました。
今後は法人向けのサービスにも利用していくことを検討しており、ますますカスタマーとのコミュニケーションを図っていくことを考えているといいます。
CVRが98%も向上した(ecコンシェル)
レコード会社大手の「タワーレコード」では、NTTドコモとベンチャー企業の共同開発で生まれたWeb接客ツール「ecコンシェル」を導入。
名前の通り、元々はECサイト用に制作されたツールでしたが、現在では金融・保険・不動産など様々な業界で導入されています。
基本的にはポップアップ型のWeb接客ツールで、業種別のテンプレートの数が非常に多いということも選ばれる決め手だったようです。
実際にタワレコ限定商品に関するポップアップを出したところ、全体で98%もCVRが向上し、約2倍近い数字を出すことができました。
少ない運用コストで、大きな成果を得られるというのも、ecコンシェルのメリットであると言えるでしょう。
顧客の関心を細かくセグメント分け(KARTE)
プログラミングスクール「テックキャンプ」を運営する株式会社divでは、自社のオウンドメディアにてWeb接客ツール大手の「KARTE」を導入。
もともとサイト内の回遊率が低いという課題を抱えており、有用な情報を提供できていないと感じていたため、KARTEの導入に踏み切ったといいます。
特に商材単価が高いプログラミングスクールにおいては、顧客が検討する期間も非常に長く、より深く自社について理解して貰う必要があります。
コンテンツを制作して反応を見るとなると、制作にかかる時間・お金などのコストがかさんでしまうという懸念点がありました。
しかしKARTEのポップアップなら、少し設定するだけで簡単に反応を計測できるため、直帰率・CVRなどを計測するのに重宝しているとのこと。
顧客の関心を細かく理解し、よりニーズに沿った提案をしていくためにも、KARTEは非常に役立ったと言える良い事例でしょう。
Web接客ツールを選ぶ際のポイント
Web接客ツールを選ぶ際のポイントは主に3つ。
- 導入に適した接客ツールであるか
- 社内の人間にも簡単に操作ができるか
- テンプレート等の用意が整っているか
最低限、3点について理解しておかないと、導入を決めた後で、残念なことになりかねないので注意が必要です。
導入に適したツールであるか
Web接客ツールを導入する際には、現状のWebサイトにおける問題点に対して、きちんとアプローチできているツールであるかどうかは非常に重要な要素。
例えば、ポップアップ型のツールは、ユーザーに対してタイミングよくお得な情報を提供する、いわば後押し的なツールなので、CVRが低い場合に有効です。
またチャットボット型のツールは、商材の認知度・理解度が低く、ユーザーが途中で理解を諦めてしまい、離脱率が高くなっているサイトに適しています。
それぞれボトルネックになっている問題に適したツールを利用すれば、必ずユーザー満足度を高めて、良い結果が出せるはずです。
しかし問題点に対して適していないツールを導入してしまうと、思うように結果が出ないこともあるので注意しましょう。
社内でも簡単に操作できるか
Web接客はカスタマーサポートの質を向上してくれるツールですが、全てを自動でおこなってくれる訳ではありません。
特にチャットボット型の場合は、設定する項目が非常に多いため、社内の担当者がきちんと運用しやすいツールである必要があります。
いくら優秀なツールであっても、運用しにくければ、長期的に見て負担が非常に大きくなってしまいます。
運用体制をスムーズに行う上でも「社内でも簡単に操作できる」という部分は重要視しておくように心がけましょう。
テンプレートの用意が整っているか
当然ながら、Web接客ツールは業種別で利用方法が大きく異なります。
自社で特殊なビジネスを行っているという自覚がある方の場合「実際に利用してみたら、思っていたのと違った・・」となってしまいがち。
ツールとの相性が可視化しづらいのであれば、テンプレートの種類が豊富に整っているWeb接客ツールを選んだ方が無難でしょう。
【まずはお試し】無料で使えるWeb接客ツール3選
Web接客ツールは実際に使ってみないと想像できない部分も多いため、まずは無料の接客ツールから使ってみるのもひとつの方法です。
- ecコンシェル
- zendesk
- Conbeez
それぞれのWeb接客ツールが、どのような特徴を持っているのか理解した上で、前向きに導入を検討してみてください。
ecコンシェル
ビッグデータ活用に強いNTTドコモが、ディープラーニング技術に強いPKSHA Technologyと共同開発した「ecコンシェル」。
AIが接客効果を最大化してくれて、月100件までなら無料で配信できるということもあって、かなり人気のWeb接客ツールのひとつです。
ショップジャパン、タワーレコードなどの大手企業にも導入が進んでいるため、まずは無料版を一度利用してみるといいでしょう。
zendesk
北欧はデンマーク生まれのWeb接客ツール「Zendesk」は日本だけでなく、海外でも多数実績があるプラットフォーム。
もともとカスタマーサポートを全般的にカバーしてくれるツールとして制作されたこともあって、メール・SNSなどのとの連携も非常に豊富です。
パッケージでUIが統一されているので、使い勝手も非常に優れており、無料でのトライアルも行うことができるので、一度は利用してみる価値がありそうです。
Zoho Sales IQ
CRMサービスの大手であるZohoが提供している「Zoho Sales IQ」は、月間100件のチャットまで無料で利用することが可能です。
元々、CRMを運用しているため、Zohoとの連携が非常にスムーズであり、顧客の属性などから表示する内容を変更することも。
社内での情報管理に「Zoho」を利用しているのであれば、非常に利用がスムーズなので導入を検討してみてくださいね。
まとめ|Web接客ツールを使って顧客への提供価値を最大化しよう!
Web接客ツールは、サイトに訪れたユーザーの満足度を高める上で、大きく効果を発揮するツール。
「サイトへのPVはあるのに、なかなかお問い合わせが増えないな・・・」と感じている方にはピッタリなので、ぜひ検討してみると良いでしょう。
ただ昨今は様々なWeb接客ツールが存在するため、きちんと比較しないと、使いづらいものを選ばされてしまうことに繋がりかねません。
顧客への価値を最大化するためにも、Web接客ツールを利用して、価値を創出できるように心がけましょう。