文章力が上がらないと悩む人の多くは、自分の文章のどこが悪いのか具体的に見えていません。文章力を上げるには、良い文章と悪文を見分けられる「目」を持つ必要があります。
ここでは、悪文に見られる4つの特徴と改善方法、論理的な文章構成のつくり方を詳しく解説していきます。文章力を一段上げたいという人は、ぜひ参考にしてください。
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文章力とは何か
「文章力」とは何か、人によって解釈はさまざまです。「難しいこともすんなり理解できる」「内容が面白い」「心に響く」、どれも間違いではありません。
では、良い文章とは何か。読み手の視点に立つと、以下の3つの要素を満たしているものといえます。
・読みやすい:つまずくことなく流れるように読み進められる
・分かりやすい:一度読んだだけで内容をスッと理解できる
・信頼を持てる:曖昧なところがなく納得感がある
3つのうち、どれか一つでも欠けると読み手は不満を感じ、「良い文章」と判断してくれません。したがって文章力は、必要不可欠な「基礎」部分と、読み手の満足度を高める「魅力化」の2段階に分けることができます。
スポーツを例に挙げると、上達するにはまず基礎となる「型」を覚える必要があります。次に勝つための戦略を磨くというように段階を踏みます。文章も同様で、基礎部分ができていなければ、魅力化のステップには進めません。
ここでは、文章力の基礎となる「型」が身につく方法を解説していきます。
良い文章と悪文の見分け方
文章力を上げるには、まず良い文章と悪文の違いは何か、見分けられる「目」を持つことが必要です。文章力が上がらず悩む人の多くは、何が良くて何が悪いのか、違いが具体的に見えていません。
しかし、読み手から見ると、悪文は明確に分かります。「だらだらと長い文が続いて読みにくい」「何を言いたいのか要点が分からない」「言っている意味が理解できない」。これらは、悪文の特徴です。
悪文になってしまう原因は、次の4つです。
①話の筋道が通っていない
②不要な文章が多い
③文法が間違っている
④文の要素に抜け落ちがある
一つずつ解説していきましょう。
悪文の特徴①話の筋道が通っていない
文章は、「○○だから、~です」というように、理由と結果を述べながら書き進めていきます。これを「論理展開」といいます。読み手が「理解しにくい」「納得感がない」と感じるのは、論理展開ができていない、つまり話の筋道が通っていないことが原因です。
論理展開には、「演繹法(えんえきほう)」と「帰納法」の2つの方法があります。人が何かを考えるときは、自然にどちらかの思考方法を用いています。言葉は難しいですが、普段の会話でもよく使われています。
- 演繹法:事実や一般論をつないで結論を出す方法
「AはBである。BはCである。つまり、AはCである」
例)
「レモンにはビタミンCが含まれている。ビタミンCには抗酸化作用がある。つまり、レモンには抗酸化作用がある」 - 帰納法:いくつかの事象から共通点を推測して結論を出す方法
「××という事象がある。△△という事象がある。つまり、○○は~といえる」
例)
「理想の上司像というアンケートを見ると、A社では『人として尊敬できる』が多い。B社では『人として信頼できる』が多い。つまり、部下は上司の人間性を重視しているといえる」
演繹法は事実や一般論を前提に、必然的な結論を導く方法。帰納法は複数の事象を前提に、そこから推測される結論を述べる方法です。文章を書くときは、この論理展開をうまく活用すると説得力や分かりやすさがアップします。
では、論理展開ができていない文章とは、どのような状態なのか。多く見られるのは、次の3つのケースです。
【ケース1】前提が正しくない
前提とする情報に正確性がないと、説得力のある結論につながりません。例を見てみましょう。
- NG例)
「残業時間が多いと離職率が高まる。A社は残業時間が多い。したがって、A社の離職者が多いのは残業が原因だ」
これは演繹法を用いているケースですが、「残業時間が多い=離職率が高まる」という前提に疑問が残ります。一般に、離職の理由はほかにも考えられるからです。そのため、結論にも納得感がありません。
このケースに陥る原因は、先入観をもとに結論を導き出していることです。偏った視点や思い込みで書いてしまわないよう注意しましょう。
【ケース2】前提を省略している
前提を省略してしまうと、読み手は「なぜその結論につながるの?」と疑問を持ちます。例を見てみましょう。
- NG例)
「女性はいつまでも若くありたいと願うものだ。ビタミン類には老化を防止する作用がある。サプリ市場は今後も伸び続けるだろう」
これは、論理が飛躍しているケースです。初めに提示された「女性はいつまでも若くありたい」「ビタミン類には老化防止作用がある」という前提は、一般に納得感があります。しかし、この2つの文章と「サプリ市場が伸び続ける」ことには関連がありません。そのため、読み手は分かりにくいと感じます。
おそらく書き手は、「毎日の食生活でビタミン類を十分に摂取するのは難しい」「現代の女性は忙しいため、手軽に摂取できるサプリのニーズが高い」といった前提で書いたのでしょう。しかし、書かれていなければ読み手は分かりません。
このケースが起きる原因は、読み手の視点を考えていないことです。人は何かを説明するとき、自分が当たり前と思っている前提を省略してしまいがちです。しかし、必ずしも読み手が自分と同じ前提を持っているわけではありません。
説得力のある文章をつくるには、読み手と前提を共有し、結論までの道筋をスムーズにつなげることが重要です。
【ケース3】前提と結論が結びついていない
前提と結論が結びついていないと、意味が分からなくなります。例を見てみましょう。
- NG例)
「コミュニケーションによって情報共有するためには、チームワークが大切だ。活発に交流することでお互いに刺激を受け、チーム全体のパフォーマンスが上がる。そのためには、個々の力をつけることも必要だ」
いっけんすると、つながりがありそうな単語が並んでいますが、前提と結論が入り混じっていて論理の道筋が分からなくなっています。例文を整理すると、次のようになります。
- OK例)
「コミュニケーションによって情報共有が促進されると、チームワークの向上につながる。活発に交流することでお互いに刺激を受けるため、個々の力が高まる。結果として、チーム全体のパフォーマンスが上がる」
このケースに陥る原因は、前提と結論の関係が整理できていないことです。迷ったときは、一度箇条書きにして、前提と結論がちゃんと結びついているか整理してみましょう。
悪文の特徴②不要な文章が多い
不要な文章が盛り込まれていると、「要点が分からない」「回りくどくて読みにくい」と感じます。つまり、「なくても分かる」あるいは「ないほうがすっきりする」ということです。例を見てみましょう。
- NG例)
「外国人を採用するメリットは2つあります。1つ目は、国籍を問わず人材を獲得できるため(①)、グローバル化への対応を強化している企業にとって即戦力となることです。海外戦略を進めるうえで、外国人の雇用が役立ちます(②)。2つ目は、多様な価値観を持つ人材を採用することで組織が活性化される点です。さまざまな価値観を持つ人材が集まることで組織力が向上します(③)」
NG例を見ると、不要な文章が目立ちます。下線①は、そもそも外国人を採用すること自体が「国籍を問わず人材を獲得すること」なので、なくても意味が通じます。下線②③はそれぞれ、手前の文章と同じ内容を、言葉を変えて繰り返しています。
- OK例)
(1)「外国人を採用するメリットは2つあります。1つ目は、グローバル化に対応する即戦力を獲得できること。2つ目は、多様な価値観がもたらされ組織が活性化すること」
(2)「外国人を採用するメリットは2つあります。1つ目は、海外進出する際の即戦力を得られること。2つ目は、さまざまな価値観を持つ人材が集まることで組織力向上につながる点です」
NG例と比較すると、すっきり分かりやすく整理されました。ポイントは、意味が重複している文章を削ることです。できるだけ簡潔な表現を心がけると、文章力が身につきます。
OK例(1)をより親切に分かりやすくしたい場合は、以下のように具体例を書いて肉付けする方法があります。
- 改善例)
「外国人を採用するメリットは2つあります。1つ目は、グローバル化に対応する即戦力を獲得できること。進出国の商習慣や文化を理解している人材を得られれば、事業展開のスピードが上がります。2つ目は、多様な価値観がもたらされ組織が活性化することです。日本と異なる文化を持つ外国人は、従来の組織になかった発想や視点を与えてくれます」
メリットが具体的になり、納得感が増しました。無駄な文章を削り、読み手にとって有益な情報で構成するように意識すると、文章力はみるみる上がります。
悪文の特徴③文法が間違っている
文章力を上げるには、正しい日本語の使い方をマスターする必要があります。とはいえ、日本語の文法をすべて理解するのは、そう簡単なことではありません。ここでは、文章を分かりにくくしてしまう文法の間違いを4つ取り上げます。
【ケース1】主語と述語がねじれている
主語と述語が正しく対応していないのが、いわゆる「ねじれ文」です。例を見てみましょう。
- NG例)
「このプロジェクトの目的は、犬を飼う人と猫を飼う人のライフスタイルの違いである」
NG例は、下線部の主語と述語が対応していません。
- OK例)
①「このプロジェクトの目的は、犬を飼う人と猫を飼う人のライフスタイルの違いを明らかにすることである」
②「このプロジェクトは、犬を飼う人と猫を飼う人のライフスタイルの違いを明らかにするのが目的である」
③「このプロジェクトでは、犬を飼う人と猫を飼う人のライフスタイルの違いを明らかにする」
OK例の①は「目的」が主語、②は「プロジェクト」を主語にした場合の修正文です。③は主語を省略しているケースで、「ライフスタイルの違いを明らかにする」の主語となっているのは(私)です。
【ケース2】必要な主語が省略されている
日本語では、主語を省略することが多くあります。しかし、次に続く文の主語が変わる場合は、省略してはいけません。
- NG例)
「上司は利益を優先したいようだったが、品質が重要だと思った」 - OK例)
「上司は利益を優先したいようだったが、私は品質が重要だと思った」
【ケース3】主語(主体)が途中で入れ替わっている
主語(主体)が途中で入れ替わると、意味が分かりにくくなります。例を見てみましょう。
- NG例)
「友人の言葉に感銘を受け、背中を押してくれた」 - OK例)
「友人の言葉に感銘を受け、背中を押された」
NG例では、「(私は)感銘を受けた」と「(友人が)背中を押してくれた」の2つの主体から書かれています。主語を省略しているときに起きやすいので、注意が必要です。
迷ったときは、文章を分解して主語を確認してみましょう。例文を分解すると、「(私は)感銘を受けた」と「(私は)背中を押してくれた」となっており、おかしいことに気づきます。
【ケース4】修飾語の位置が不適切
修飾語とは、ほかの語句を説明している言葉のことです。説明される語句を被修飾語といいます。修飾語は、被修飾語の直前、もしくはなるべく近くに置きます。修飾語と被修飾語が離れていると、意味が変わってしまうので注意してください。
- 例)
・「非常に美しい仕上がりに満足した」
・「美しい仕上がりに非常に満足した」
上記の例を見ると、「非常に」という修飾語が、すぐ後ろの語句を説明しているのが分かります。では、NG例を見てみましょう。
- NG例)
「できるだけ、当社では多くの顧客に満足してもらえるよう努めています」
例文では、修飾語の「できるだけ」が何を説明しているのか分かりません。
- OK例)
①「当社では、できるだけ多くの顧客に満足してもらえるよう努めています」
②「当社では、多くの顧客にできるだけ満足してもらえるよう努めています」
悪文の特徴④文の要素に抜け落ちがある
文に必要な要素が抜け落ちていると、意味が曖昧になったり分かりにくくなったりします。文は、「誰が(何が)・何を・何に・いつ・どこで・どのように・どうする」の要素で構成されます。省略しても意味が通じるもの、書かれていないと意味が不明瞭になるものを見分ける必要があります。
例を2つ見てみましょう。
- NG例)
「確定申告をすると、税金が戻ってくる場合があります」
↓
OK例)
「確定申告をすると、納めすぎた税金が戻ってくる場合があります」 - NG例)
「権限を設定すると、閲覧できなくなるので注意してください」
↓
OK例)
「権限を設定すると、本人以外は閲覧できなくなるので注意してください」
人は、頭の中で理解している事柄を省略してしまうことがあります。読み手の視点に立って、疑問を感じる箇所がないか確認することが大切です。ただし、前後の文章で情報を補完している場合は、省略してかまいません。
論理的な文章構成のつくり方
「何から書いていいのか分からない」「うまくまとめられない」という人は、文章構成の「型」を知らないことが原因になっています。
ここでは、押さえておきたい2つのフレームと、全体構成をつくるときの基本的な手順を説明していきます。
文章構成の2つのフレーム
同じ内容が書かれていても、どの順番で話を展開するかによって、読み手が受ける印象は大きく変わります。文章構成を考えるときは、初めに「読み手にどのような読後感を与えたいか」を決める必要があります。
読後感と構成方法の組み合わせには、次の2つがあります。
・説得力や納得感を高めたい→要点を分かりやすく伝える「PREP法」
・共感を得たい→ストーリーの魅力を伝える「起承転結」
PREP法と起承転結の2つのフレームを押さえておけば、いろいろな文章作成に活用できます。一つずつ説明していきましょう。
PREP法~説得力・納得感を高める構成方法
PREP法は、結論から書き始める構成方法です。要点を先に伝え、これを裏づける理由と具体例を示し、最後にもう一度結論を述べるという順に話を展開します。
以下の4つのパートで構成します。
- Point(結論):結論は、○○です。
- Reason(理由):なぜなら、○○だからです。
- Example(具体例):たとえば、○○があります。
- Point(結論):したがって、○○です。
構成例を見てみましょう。
- 例)
(P)記憶力を上げるには、覚えたいことを繰り返しインプットすることが有効です。
(R)なぜなら、脳は繰り返し入ってくる情報は重要性が高いと判断し、長期記憶を司る側頭葉に保存するからです。
(E)たとえば、単語の暗記テストをすると、復習を繰り返した単語は長く記憶される率が高くなっています。
(P)したがって、反復学習は記憶力を高める効果があります。
PREP法は、読み手の思考を先回りして、知りたい答えを提示していく構成方法です。PREPの順番で書いた場合、読み手の思考は次の流れになっています。
<PREP法→読み手の心理>
- 「結論は○○です」→(なぜそうなるの?)
- 「なぜなら○○だからです」→(本当にそうなの?)
- 「たとえば○○があります」→(なるほど)
- 「したがって○○です」→(納得できた!)
このように、読み手と対話するように書き進めることが、論理的な文章構成の重要ポイントです。
PREP法で書くと良いのは、要点がすぐに伝わることが重視されるものです。次のような文章に向いています。
- ビジネス文書
- プレゼン資料
- ノウハウや知識系のブログ記事
PREP法については、下記の記事で例文などを交えて詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
起承転結~共感を得る構成方法
起承転結は、物事の始まりから終わりまでの経緯を順に説明していく構成方法です。
次の4つのパートに分かれています。
- 起:物事の前提を説明する(導入)
- 承:物事の始まり・何が起きたか
- 転:物事が転換する事柄や場面
- 結:その結果、どうなったのか
構成例を見てみましょう。
- 例)
(起)主婦が備忘録として始めた料理ブログ『2人分で1日500円の料理レシピ』が出版されるまで。
(承)世帯年収350万円。節約術をあれこれ模索した。
(転)500円で作った「もてなし料理」が夫の同僚に大好評。おしゃれで美味しい節約レシピを追求したところ、出版社の目に留まった。
(結)がんばろうと思っちゃダメ。楽しく節約すれば家族も笑顔に。
このように、構成を見ただけで話の展開が分かるように整理するのが起承転結のポイントです。とくに「転」のところで、読み手の興味・関心を惹きつけられると、文章が生き生きします。
起承転結のメリットは、読み手の感情に訴える力が強く、読了後も印象に残りやすいことです。ストーリーへの共感を得られれば、読み手との間に強いつながりを持つことができます。
以下のような文章を書くときは、起承転結の構成が向いています。
- インタビュー記事
- ブランドストーリー
- 企業ストーリー
ただし、ビジネス文書やノウハウ・知識系のブログ記事の場合は、要点を初めに伝えないと「分かりにくい」と判断されてしまうため、この書き方は不向きです。PREP法とうまく使い分けましょう。
全体構成をつくる手順
論理的で無駄のない文章を書ける人は、まず全体構成をしっかり練っています。全体構成をつくらずに書き始めるのは、設計図がない状態で建物を造るのと同じで、むしろ難しい作業になってしまいます。
事前に完成予想図を作成し、何を書くべきかイメージできるようにするのが、このステップの目的です。全体構成をつくる基本の手順は、次のとおりです。
【手順1】文章のゴールを決める~「誰に」「どんな状態になってほしいのか」
まずは、文章のゴールを決めます。ゴール設定では、「誰に」「どんな状態になってほしいのか」、文章の目的を言語化します。
例を見ていきましょう。
- 誰に:
「文章力を上げたいと考えている人に」 - どんな状態になってほしいのか:
「文章力を上げる具体的な方法を知ってもらう」
このように、その文章がどんなゴールを目指すのかを明確にすると、書くべき内容がイメージできるようになります。
【手順2】ゴールにたどり着くために必要な内容を整理する
次に、ゴールにたどり着くにはどんな情報が必要かを整理します。以下の順に考えていきます。
ステップ | 例 |
1.文章のゴールは何か | ・誰に: 文章力を上げたいと考えている人に ・どんな状態になってほしいのか: 文章力を上げる具体的な方法を知ってもらう |
2. 読み手の課題になっていることは何か(ゴールにたどりつけない原因や理由) | ・そもそも文章力とは何かが分からない ・自分の文章の何が悪いのか具体的に分からない ・うまくまとめる方法が分からない |
3. 課題を解決するために必要な情報は何か(文章に盛り込む内容) | ・文章力とは何かを説明する ・良い文章と悪文の違いを説明する ・文章の基本となる構成方法を説明する |
3の内容は、1で決めたゴールを達成できるものになっていなければなりません。矛盾がないか、確認しましょう。
【手順3】見出しをつくる
手順2で決めた内容をもとに、見出しをつくります。見出しは文章の骨組み部分になるため、この段階で失敗すると、分かりにくい文章構成になってしまいます。作成するときのポイントは、2つあります。
階層を分けて整理する
「大見出し」「中見出し」「小見出し」に階層を分けて、項目を整理します。本記事の見出しを例に挙げてみましょう。
階層を分けるときに注意したいのは、各階層と内容の粒度が合っているかという点です。例の見出しを図にすると、以下のような構造になっています。
大きいくくりから小さい項目へと、各階層がきれいに揃っているのが分かります。見出しをつくるときは、階層に違和感がないか、しっかり確認しましょう。
読み手が分かりやすい順番にする
見出しの順番は、読み手が理解しやすい流れにすることが基本ルールです。文章に応じて、次の順番で構成します。
- 大きな項目→小さな項目
- 概論→各論
- 概要→詳細→補足情報
- 時間の流れが先→後
例を2つ、見てみましょう。
- 例)概論→各論
大見出し:PREP法とは
・中見出し:PREP法のメリット
・中見出し:PREP法と起承転結の違い
大見出し:PREP法の書き方例
・中見出し:自己PRの事例
・中見出し:プレゼンの事例 - 例)概要→詳細→補足情報
大見出し:人に伝わりやすい話し方には法則がある
・中見出し:要点が伝わりやすい「PREP法」
・中見出し:全体像をつかみやすい「ホールパート法」
大見出し:ビジネスシーンによって使い分ける
以上のポイントを踏まえて、自然に理解が深まる見出しになっているか何度も見直すことが大切です。
文章力を上げるには基本の「型」を覚えることが不可欠
日本人はそもそも、微妙なニュアンスを言葉で伝えることが得意です。しかし、これが裏目に出ると、「曖昧で分かりにくい表現」ととられてしまうわけです。
たとえば、「分からないでもない」という表現は、二重否定となっており、文法的には赤ランプがつきます。これを肯定文に修正すると「~なので分かるだろう」となりますが、文脈によっては「分からないでもない」のほうがしっくりくることがあります。ただし、これは文章を自在にコントロールできる上級者のテクニックです。
日本には、「守破離」という修業の過程を表現している言葉があります。型通りにできるようになることから始め、型を破って型から離れ、新たな境地に至るプロセスです。型ができていない人が基本を逸脱することを「かたなし」、基本ができている上で独自の表現をとる人は「型破り」と表現されます。
文章力を上げるには、まず基本の「型」を身につけることが大切です。本記事がお役に立てば幸いです。