Amazonブランド登録は、自社ブランドの保護や売上アップに効果的です。転売・相乗り出品の対策はもちろん、広告出稿やストアページ作成など販売機会の最大化に役立つ機能が備わっています。本記事では、Amazonブランド登録のメリット・デメリット、登録手順を紹介します。
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Amazonブランド登録とは
Amazonブランド登録とは、自社の知的財産の保護や商品情報の管理などを行うために、Amazonに申請を行うことです。
Amazonブランド登録を行うと、ブランドの保護と構築が可能です。
ブランド保護では、自社ブランドの権利を侵害する不正な転売や相乗り出品からブランドを守る働きをしてくれます。知的財産権侵害の疑いを検出し、ブランドや購入者に影響を与える前に、違反を自動的に防げるのが特徴です。
ブランド保護が守りの役割だとすれば、ブランド構築は攻めの役割を担います。ブランド構築では、Amazonでの販売活動を促進するための機能が利用できます。ストアページの作成やスポンサーブランド広告の出稿など売上アップやブランド認知度の向上が
期待できる機能が利用可能です。レビューを効率的に獲得できるAmazon Vine 先取りプログラムにも参加できます。
Amazonブランド登録の10のメリット・できること
Amazonブランド登録には、10個のメリット・できることがあります。
- 不正な転売を対策できる
- 相乗り出品からブランドを保護できる
- 商品ページ(カタログ)の編集が優先される
- ストアページを作成できる
- スポンサーブランド広告を出稿できる
- スポンサーディスプレイ広告を出稿できる
- Amazonブランド分析を利用できる
- JANコード不要で商品を出品できる
- Amazon Vine 先取りプログラムに参加できる
- 「Brand Registryチーム」のサポートを利用できる
ブランドの保護や売上拡大の際に有効な機能ばかりのため、理解した上で効果的に活用しましょう。
不正な転売を対策できる
Amazonブランド登録が完了すると、専用の権利侵害申告用フォームが利用でき、不正な出品者に対して知的財産権の侵害を主張しやすくなります。知的財産権と転売の直接的な関係性はありませんが、フォームからの申告が可能です。
転売行為は自社の売上や顧客を横取りされるだけではなく、ブランド毀損にもつながる恐れがあります。転売商品に欠陥があると、顧客からは自社が不良品を提供したかのように認識されます。築き上げてきた顧客との信頼関係が崩れてしまい、企業の評判や信用が損なわれるため、ブランド登録によって事前に対策を講じることが重要です。
相乗り出品からブランドを保護できる
相乗り出品とは、商品ページに新たな出品者が商品を出品し、優先的に販売できる場所(カート)を奪い合い、購入者へよりよい条件(価格や配送クオリティ)を提示する方法です。その結果、出品者間の価格競争の激化や、ユーザーとの信頼関係が構築しにくくなります。
ブランド登録を行えば、固有財産と判断され、他の出品者が無断で販売した際には、商標権の侵害を権利侵害申告用フォームから申請できます。
さらに悪質な出品は、ブランド登録時の情報を用いて、Amazon側が自動プロテクションで商品を守ってくれるため、相乗り出品を防いでくれます。
商品ページ(カタログ)の編集が優先される
商品ページには、内容を編集するための編集権限があります。
相乗りされている商品がある場合は、他の出品者にも商品ページの編集権限があるため、商品名や画像を更新されることにより、正確な情報がユーザーに伝わりにくくなるおそれがあります。
ブランド登録を行うと、優先的に編集権限が与えられるため、商品情報や画像、価格を他の出品者の変更から防いでくれます。追加したい情報も編集できるので、商品の魅力を反映しやすく、売上の拡大にもつながります。
ストアページを作成できる
Amazonストアとは、ブランドの魅力を表現できるカスタムページです。通常の商品ページよりも自由度が高く、画像や動画を利用できます。
商品の仕様や比較情報、組み立て方法など豊富なコンテンツを用いて、ユーザーにブランドの魅力やこだわりを伝えられます。ストアページはブランディングの強化やブランドの認知拡大に最適です。
また、自社ブランドのURLが付与されるのもAmazonストアの魅力です。Amazonのスポンサーブランド広告だけではなく、リスティング広告やSNSなどの外部広告にもブランドURLを活用すれば、Amazon内の販売ページにユーザーを直接誘導できます。
ストアページ経由の売上金額や日別の訪問数などを測定・分析できるので、ユーザーの動向を可視化して、効果的な施策立案が可能です。
スポンサーブランド広告を出稿できる
Amazonスポンサーブランド広告とは、検索結果ページや商品詳細ページに表示される検索連動型の広告です。検索結果の上部や下部、検索結果内に掲載されるため、ユーザーの目に触れやすく、ブランドや商品の認知度を高め、購入促進やユーザーとの関係構築に役立ちます。リンク先には商品詳細ページページやストアページを設定できます。
広告費は必要ですが、Amazonブランド登録の出品者しか出稿できないため、競合が少ないのが特徴です。商標権を持つブランド限定の広告のため、効果的な集客が期待できます。
ただし、ブランド認知の向上に重視した広告のため、広告出稿者がカート未取得でも広告が表示されるので注意してください。広告の目的をブランド認知を高めることに限定する、またはカートを取得できるタイミングで広告を出稿しましょう。
スポンサーディスプレイ広告を出稿できる
Amazonスポンサーディスプレイ広告は、Amazonのトップページや商品詳細ページ、外部サイトへ広告を表示できるため、広範囲に商品やブランドをアピールできます。
セール中の商品を一目で伝えられ、割引施策の効果を高められる点も魅力のひとつです。
リターゲティング効果が高く、過去に商品を購入したユーザーや類似商品を閲覧したユーザーに表示される広告であり、リピーターの獲得に効果を発揮します。
Amazonブランド分析を利用できる
Amazonブランド分析とは、Amazonブランド登録者のみが利用できる分析ツールです。
自社商品が上位表示されている検索キーワードやコンバージョン率、リピート購入に関するデータなど、ユーザーの購入プロセスを確認できるため、販売戦略が練りやすくなります。
「リピート購入行動」でリピート商品の共通点を探すなど、さまざまな切り口から分析が可能なため、商品の売上改善はもちろん、ブランドイメージの方向づけや新商品開発、広告戦略にも役立ちます。
JANコード不要で商品を出品できる
通常、Amazonへの出品の際には、JANコードなど製品コードが必要です。
JANコードなしで出品するためには、JANコードの免除申請をAmazon側に依頼しなければいけませんが、Amazonブランド登録が完了していると、審査落ちする可能性が下がります。
JANコードの免除申請が通れば、JANコードがなくても出品することが可能です。
JANコードなしで販売できるため、JANコードの未取得の商品とのセット販売もしやすくなるのがメリットです。
Amazon Vine 先取りプログラムに参加できる
Amazonブランド登録は、出品商品へのレビュー獲得に役立つ「AmazonVine先取りプログラム」を利用できます。
AmazonVine先取りプログラムは、出品者が商品を無料で提供して、Amazon側が選別・招待した信頼性の高いレビュアーから商品に対するレビューや評価が得られるプログラムです。
ユーザーが購入を検討する際の判断材料として役立ち、検索順位アップも期待できるため、商品の販売促進につなげやすくなります。
「Brand Registryチーム」のサポートを利用できる
Amazonブランド登録が完了した出品者は、「Brand Registryチーム」と呼ばれる専門スタッフによるサポートを受けられます。
Brand Registryチームとは、Amazon内でのブランド保護を担当するサポート窓口であり、知的財産の保護に関して詳しい質問が可能です。
Amazonブランド登録の5つのデメリット・注意点
Amazonブランド登録には、メリットだけではなく、デメリット・注意点もあります。
Amazonブランド登録のデメリット・注意点は、以下の5つです。
- 商標なしでは登録できない
- 画像のみの商標では登録できない
- 商標名とブランド名は完全に一致しなければいけない
- 登録したデザインは変更できない
- 申請してから登録までに日数・期間がかかる
デメリット・注意点も把握して、円滑にブランド登録を行いましょう。
商標なしでは登録できない
Amazonブランド登録には、商標登録が必須です。まだ商標を取得していない場合は、特許庁に自社のブランド名での商標出願が必要になります。
また、類似する商標がすでに登録されている場合は、商標を却下されることもあるので、ブランド名が商標登録されていないかを「特許情報プラットフォーム」で確認してからの申請をおすすめします。
登録完了していなくても、出願中で「申請番号」を取得した状態であれば、ブランド登録は可能です。
画像のみの商標では登録できない
Amazonブランド登録は、画像のみでの商標には対応していません。
Amazonブランド登録の申請で認められているのは、テキスト形式のマーク(文字商標)か、画像形式のマーク(デザイン商標)のどちらかになります。再申請は、時間がかかるため注意が必要です。
なお、文字を含まないデザインのみのマークやロゴは、ブランド登録完了後に追加申請できます。
商標名とブランド名は完全に一致しなければいけない
Amazonで登録を目指すブランド名と登録済みの商標名は、完全に一致している必要があります。
大文字や小文字の違いはもちろん、画像商標ではフォントやデザインを調整しただけでは申請が通らない場合もあります。商標通りの申請を徹底しましょう。
登録したデザインは変更できない
商標登録のデザインを変更できないように制約が設けられています。商標登録したデザインを変更した場合には、新しいデザインで再度ブランド登録の申請を行わなければいけません。
デザイン変更後にブランド登録の情報を更新していない場合、Amazonから登録取り消しなどのペナルティが課せられる恐れがあります。
Amazonブランドの再登録の手間を省くためにも、商標登録する際にはデザインをよく考えて、変更が必要ない状態で申請しましょう。
申請してから登録までに日数・期間がかかる
Amazonブランド登録には、商標の登録が必要ですが、商標の取得には時間と費用がかかります。
商標登録には半年から1年の期間を要し、内容に懸念があればそれ以上かかるケースもあります。Amazonブランド登録における審査についても、具体的な日数は公表されていませんが、一定の時間がかかる点に注意が必要です。
また、商標を取得しても過去にアカウントの停止や規約違反が原因で、ブランド登録できない場合もあるため注意してください。
Amazonブランド登録に欠かせない商標登録とは
Amazonブランド登録を行うためには、商標を取得しなければいけません。
ここでは、商標登録にかかる費用と時間、早期審査制度の活用について紹介します。
商標とは
商標とは、事業者が自社の商品・サービスを他社と区別するために使用するマークです。
もし、商標を勝手に他人に使用されてしまうと、築き上げてきたブランドイメージが崩れたり、売上を奪われたりするなど損害が発生します。自社の利益を守るためには、商標登録を行う必要があります。
商標登録にかかる費用と時間
商標登録には費用と時間がかかります。
商標の出願には、商品やサービスを分野別に分類した区分が1類から45類まであり、費用が異なります。出品商品が何類に属するかは「類似商品・役務審査基準」から確認してください。
出願料と登録料は、以下の通りです。
出願料(商標の審査にかかる費用) | 3,400円+(8,600円×区分数) |
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登録料(審査合格後の商標登録にかかる費用) | 32,900円×区分数(10年分 一括納付)17,200円×区分数(5年分 分割納付) |
商標権の存続期間は10年間で、それ以降は更新料を納めれば存続期間を更新できます。
商標登録には、約1年の期間が必要です。少しでも早く登録したい場合には、次に紹介する「早期審査制度」を活用して、少しでも審査期間を短くできないか検討しましょう。
早期審査制度の活用
早期審査制度とは、出願商標の使用など審査要件を満たしていれば、約2ヶ月に審査期間を短縮できる制度です。通常の審査と比べて、審査期間を大幅に短縮できます。早期審査の申請には、早期審査に関する事情説明書の提出が必要です。
事情説明書では、書誌事項、早期審査の申請理由、先行技術文献の開示や対比説明を記載しなければいけません。例外もあるため、詳細については、「早期審査・早期審理ガイドライン」を確認してください。
通常の審査請求料はかかりますが、特許庁への手続き費用は無料です。
Amazonブランド登録のやり方・手順
ここでは、Amazonブランド登録のやり方・手順を紹介します。Amazonブランド登録は、以下のステップで簡単に申請が可能です。
- 商標登録番号を取得・確認する
- 商品画像を用意する
- ブランドレジストリアカウントを作成する
- ブランドの情報を登録する
各ステップを着実に行い、Amazonブランド登録を進めましょう。
1.商標登録番号を取得・確認する
まずは、Amazonに保護を申請したいブランドに関する商標の確認です。特許庁から付与された商標登録番号、または商標登録を申請中の場合は、申請番号を用意してください。
Amazonブランド登録では、以下の商標のみ認められています。
- 文字商標
- 文字を含む図形商標
- デザイン文字/結合商標
また、ブランド名と登録商標名が一致していなければいけない点も注意してください。
2.商品画像を用意する
Amazonブランド登録時には、商品画像を提出する必要があるので、ブランド名やロゴが記載された商品画像を用意してください。
また、提出画像の条件は以下の通りです。
- Amazonで販売中の商品、または販売予定の商品であること
- ブランド名・ロゴが商品やパッケージに記載されていること
- ブランド名、ロゴ、その他の識別マークがはっきりと表示されていること
- コンピューターで作成した画像ではないこと
- jpg、png、gifのいずれかの拡張子であること
- 画像サイズが5MB以下であること
3.ブランドレジストリアカウントを作成する
次に、ブランドレジストリと呼ばれるAmazonブランド登録用のアカウントを作成します。
ブランドレジストリアカウントの作成手順は以下の通りです。
- セラーセントラルにログインする
- Amazonブランド登録ページを開いて、「今すぐ登録する」を選ぶ
- 「ブランド登録先の国のマーケットプレイスを選択します。」の画面から日本を選ぶ
- ログインアカウントとブランドレジストリの紐づけに同意する
4.ブランドの情報を登録する
最後に、Amazonブランド登録を進めていきます。
- ブランドレジストリアカウントの管理画面を開く
- 画面左側の「管理」>「ブランドを登録する」>画面左側の「ブランドを登録する」を開く
- ブランド名、登録商標機関(日本)、商標登録番号(または申請番号)を入力する
- 申請するブランドのカテゴリを選び、最も売れている商品のASINを入力する
- 商品情報(ブランドの公式Webサイトなど)を入力する
- 商品画像をアップロードし、「次へ」を開く
- 「出品者」と「ベンダー」と「どちらでもない」の選択から「出品者」を選ぶ
- 流通情報(ほかの小売業者へのライセンス供与の有無など)を入力・送信する
申請後は入力情報をもとに、特許庁への商標登録者にAmazonから確認コードが送付されます。Amazonに確認コードを送信すると、登録完了に向けた審査が進められます。
Amazonブランド登録に必要な費用・料金
Amazonブランド登録には費用はかかりませんが、商標登録には前述した以下の費用が必要です。
出願料(商標の審査にかかる費用) | 3,400円+(8,600円×区分数) |
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登録料(審査合格後の商標登録にかかる費用) | 32,900円×区分数(10年分 一括納付)17,200円×区分数(5年分 分割納付) |
また、自社では申請が難しく、弁理士に商標登録の代行を依頼する場合は、数万円~10万円が依頼料の目安になります。
Amazonブランド登録ができない場合の原因と対処方法
場合によっては、Amazonブランド登録の審査に通過しないこともあるかもしれません。
Amazonブランド登録ができない場合に考えられる原因と対処法は3つあります。
- 商標が商品に印字されていない
- 商標登録が反映されていない
- ブランド名と商標名が一致していない
審査に通過しない場合は、原因を探し出し対策してから再申請を行いましょう。
商標が商品に印字されていない
商品に商標が印字されていなかったり、印字が見にくかったりするために審査で却下される場合もあります。
申請時には、商品やパッケージへの商標表示を再度、確認してください。
商標登録が反映されていない
商標登録の出願後、すぐにAmazonブランド登録を申請した場合には、情報が反映されていない可能性があり、商標登録なしと判断され審査で落とされるリスクがあります。
J-Plat Patで「経過情報」「出願・登録情報」に情報が反映されていないにも関わらず、ブランド登録を申請した際には、申請が却下されます。
商標登録の反映を待ってから申請を行いましょう。対応する法律事務所やサービスによって異なりますが、出願後約1ヶ月でJ-Plat Patに出願情報が公開されます。
更新をチェックした上で、Amazonブランド登録を行い、申請項目に商標の現在ステータスを選択する箇所があるので、選択してください。
ブランド名と商標名が一致していない
Amazon側は、J-Plat Patに掲載されている商標名を見て確認するため、ブランド名と違う場合は却下されます。
対処法として、登録商標名でブランド登録を行うか、図形商標に不備がある場合は文字商標で再度申請を行いましょう。
Amazonブランド登録でブランドの保護や売上アップを実現しよう
Amazonブランド登録では、ブランド保護や集客の観点から10個のメリットがあります。
- 不正な転売を対策できる
- 相乗り出品からブランドを保護できる
- 商品ページ(カタログ)の編集が優先される
- ストアページを作成できる
- スポンサーブランド広告を出稿できる
- スポンサーディスプレイ広告を出稿できる
- Amazonブランド分析を利用できる
- JANコード不要で商品を出品できる
- Amazon Vine 先取りプログラムに参加できる
- 「Brand Registryチーム」のサポートを利用できる
Amazonブランド登録を完了するには、計画的な準備が必要です。特に商標登録には約1年かかるため、すぐに開始できる訳ではありません。Amazonブランド登録完了日を決定して、完了日から逆算して準備を進めることが大切です。
Amazonブランド登録を活用して、自社ブランドの保護・構築や売上アップを目指しましょう。
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