クラウドサービスを業務効率化のために利用する企業が増えている中で、「SaaS」という単語を聞いたことのあるWeb担当者の方も多いのではないでしょうか。
SaaS(サース)は、ここ10年間で一気に耳にする機会が増加し、私たちの生活に強く結びつく存在となりました。
用語としては何となく理解しているものの、具体的にSaaSがどういったモノなのか理解できている方は少ないですよね。
この記事では、SaaSとはつまり何なのか、何が普通のソフトより優れているのか等について、初心者向けに解説しています。
記事を読み終えれば、あなたもSaaSとは何なのか理解できるようになるので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
SaaS(サース)は「Software as a Service」の略称
SaaSとは「Service as a Software」の頭文字を取った単語で、日本語では「サース」と発音されています。
直訳すると「サービスとしてのソフトウェア」ですが、この説明だけでは何のことなのかピンとこない方も多いです。
SaaSは簡単に言えば、クラウド上に作られているアプリやサービスを、インターネットを使って提供しているサービスのことを指しています。
例えば、ほとんどの方が利用した経験のあるGmailは、Googleがクラウド上にアップしているGmailというサービスを提供しています。
Gmailを利用する際に、PCに何かソフトウェアをインストールした経験のある方はいないですよね。
自分のデバイスではなくとも、インターネット環境さえあれば利用できるのがSaaSの特徴であるとも言えるでしょう。
SaaSが生まれた歴史・経緯
今でこそ私たちの生活に浸透しているSaaSですが、元々ソフトウェアの販売は今とは大きく異なるものでした。
SaaSが台頭する前の2000年頃までは、ソフトウェアはパッケージ製品としてライセンス販売されるのが一般的。
ソフトを使いたいユーザーは、わざわざパッケージ製品を店舗などで購入して、そのソフトを自分のコンピューターで稼働して利用していました。
導入〜環境構築〜管理なども自分で行う必要があり、新しいバージョンのソフトウェアが出たら、再度導入する必要があったのです。
しかし2005年〜2010年頃になると、クラウドコンピューティングなどの概念が普及し、SaaSは一般的なものになっていきました。
その証拠にAdobe、MicroSoft、オラクルなどの大手ベンダーのSaaS化は一気に加速。
SaaSのおかげで、いちいち店舗などでソフトウェアを購入しなくても、インターネット上で購入・更新が行えて、管理なども簡単に行えるようになっています。
現在はSaaSを専業にプロダクト開発する企業なども出現し、今後もますますSaaSは将来性のある分野として知られていくことでしょう。
SaaSを利用する上でのメリット3つ
SaaSを利用する上でのメリットは主に3つ。
- デバイスにソフトを落とさなくてもサービスが利用できる
- 複数人の作業をオンラインでシェアできる
- 導入・ランニングコストが安い
SaaSの導入が進んでいないと感じている方は、ぜひどんなメリットがあるのかについて理解しておきましょう。
デバイスにソフトウェアを落とさなくてもサービスが利用できる
従来型のソフトウェアサービスを利用する方法の場合、わざわざデバイスにソフトをインストールしなければなりませんでした。
しかしSaaSの場合は、購入・インストール・更新・管理などをすべてオンラインで行えるため、一切面倒な手間はかける必要がありません。
また実際にインストールした後の環境構築も、自分で行う必要がなく、かなり工数を少なくすることが可能です。
デバイスにソフトウェアを落とすことなく、サービスが利用できるのも、SaaSの大きな強みであると言えるでしょう。
複数人の作業をオンラインでシェアできる
SaaSが出来る前は、複数人で作業を行う際、それぞれ個別のデバイスで作業を行って、オフラインで集まった時にシェアするという形が一般的でした。
しかしSaaSが発達したことで、GoogleDriveやDropboxなど、複数人でひとつのファイルを作業するというのが当たり前になっていますよね。
複数人で行うべき作業をオンラインでシェアできるというのも、SaaSが強みとしている部分でしょう。
導入・ランニングコストが安い
SaaSはサービスを提供している事業者のクラウドサーバーを利用するため、環境を構築するために開発を行ったりする必要は一切ありません。
開発費用に加えて、導入までの準備期間を短くすることもでき、導入コストも大きく下げることができるのは大きなメリットです。
またバージョンアップやセキュリティ対策などの更新も、すべてサービス提供者が行ってくれるので、セキュリティの面でも非常に安心して利用できるのは嬉しいポイントでしょう。
【2021年】最新版!世界的にも有名なSaaS企業事例一覧
SaaSビジネスについてイメージしやすいように、今回は世界的に有名なSaaS企業5社について紹介しています。
- Zoom
- Adobe
- Shopify
- Slack
普段あなたが使っているサービスもSaaSのビジネスモデルに当てはまるので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
世界最大の検索エンジンプラットフォームを持ち、広告収益を主軸に様々な事業を展開しているGoogle。
IT業界の巨人とも言われるGoogleですが、
- Google Cloud
- Google Workspace
- Google Apps
など様々なSaaSを手掛けています。
広告事業での大きな収益軸を元に、これからも様々な事業を展開していくことが予想されており、この先も目が離せない企業のひとつです。
Zoom
コロナ禍で大きく業績を伸ばしたSaaS系企業といえば、Zoomが挙げられるでしょう。
リモート会議を支援している、ビデオチャットツールは、リモートでの会議が必須となった現在において大きな存在感を示しています。
今後もまだまだリモートワークが続いていくことが見込まれており、私たちの生活になくてはならないモノとなっていくことでしょう。
Adobe
1982年の設立からクリエイティブ系ソフトウェアの業界を牽引してきたAdobeも世界的なSaaS企業です。
元々ソフトウェア企業として知られており、
- illustrator
- Photoshop
- Acrobat(PDF)
など今やデザイン業界ではインフラとも呼ばれるようなツールを多数開発しています。
2012年からはパッケージ売りを中止し、Adobe Creative Cloudとして月額課金制の形を取り、サブスクリプションに拍車をかけました。
これからも多数のデザイン系サービスを開発しているAdobeに目が離せません。
Shopify
カナダ発のShopifyは、誰でも高機能なネットショップを作成できる世界最大のECプラットフォーム。
2006年にサービスがリリースされてから、主に英語圏を中心にサービスを展開しており、現在では、世界175カ国60万以上のネットショップで活用されています。
日本での代引き、郵便番号などの決済方法が特殊であることから、あまり普及が進んでいませんでした。
しかし近年は日本カスタマー向けにサービスが充実したことで、より店舗側からの信頼を勝ち取り、急激に実績が増えていく結果となったのです。
今後は日本でもますます普及していくことが予想され、非常に注目されているECショップツールでもあると言えるでしょう。
Slack
BtoB専用のチャットツールとしてシェアを伸ばしたSlack。
SaaS企業の中では代表格とも言える成長を見せたSlackは、今や世界150カ国以上で利用されており、日間1,200万人のユーザーに利用されています。
最近ではMicrosoft Teams、Chatworkなど社内用コミュニケーションツールが様々ありますが、まだまだツールとして人気は衰えることを知りません。
その他最近流行っている「◯aaS」3選
最近はSaaS以外にも「◯aaS」のように、「〇〇 as a Service」のフォーマットを利用してカテゴライズするような単語が増えています。
今回は特に最近ニュースなどで耳にする単語を3つ紹介しているので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
MaaS
MaaSとは「Mobility as a Service」の略称で、主に交通システムをインターネット上で提供しているサービスのことを指しています。
最近では米国の「Uber」や中国の「DiDi」など、モビリティを軸にしたサービスが増えており、私たちはますます交通の選択肢が増えました。
海外ではライドシェアや、シェアサイクルなどの仕組みが活発化してきており、日本でもより交通をサービス化する動きが高まっています。
IaaS
IaaS(イアース)とは「Infrastructure as a Service」の略称で、ネットシステムなどのインフラシステムをサービス上で提供することを指します。
最近では、Amazon Elastic Compute Cloud(Amazon EC2)やMicrosoft Azureなどが有名で、日本でも普及が進んでいます。
これまで業者に任せるしかなかったインフラ周りの運用を、ベンダーにほぼ任せることができるというのが大きなメリットです。
PaaS
PaaS(パース)とは「Plattform as a Service」の頭文字を取った略語のことを指していて、プラットフォーム自体をインターネット上で提供することです。
ソフトウェアをネット上で提供するSaaSの考え方をさらに深めたもので、大規模なデータセンターなどを提供することが可能に。
開発者側は、プラットフォームを利用してシステム開発ができるので、コストを抑えて迅速に開発することができます。
Google App Engineや、AWS(Amazon Web Service)などが例として挙げられます。
まとめ|SaaSを利用して業務を効率的に行っていこう
昨今「◯aaS」といった単語が使われる機会は非常に多いですが、それぞれの意味をきちんと理解できている方は多くありません。
Web担当者になるなら、社外の人と話した時に認識の齟齬が無いよう、しっかり理解しておくように心がけましょう。
SaaSは今後も私たち生活の中で沢山利用されていくことが予想されています。
業務を効率的に行うためにも、社内でSaaSを積極的に利用して効率化を図っていくことが非常に重要。
社内でのSaaSの使い方を見直して、ぜひ効率的に業務を改善していきましょう。