Amazonクーポンは、出品者が独自に値下げを行えるプログラムです。クーポンによってユーザーはお得感を感じるため、流入率や購入率の増加が期待でき、長期的にはAmazon SEOの改善にもつながります。本記事では、Amazonクーポン発行のやり方や、効率的な運用方法を詳しく解説します。
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Amazonのクーポンを発行できる条件
Amazonクーポンとは、出品者が独自に自社商品の割引を行えるプログラムです。「〇〇％OFF」や「〇〇円オフ」などの割引を提供できるので、ユーザーの商品購入のハードルを下げられます。
Amazonのクーポンを発行するには、発行する出品者に対する条件と、クーポンによる値引きの対象になる商品に対する条件の両方を満たしている必要があります。
出品者に対する条件
Amazonでクーポンを発行する出品者は、以下の条件を満たしている必要があります。
- 大口出品者である
- 出品者の評価が3.5以上である
- Amazonでの商品販売を開始して14日以上経過している
大口出品者かつ、3.5以上の高い評価を獲得している出品者がクーポンを発行できます。
ただし、まだユーザーから評価を受けていない出品者は、「出品者の評価が3.5以上である」の項目を満たしていなくてもクーポンの発行が可能です。
自分の出品者アカウントのステータスについては、セラーセントラルの「パフォーマンス」の中にある「評価管理」から確認できるので、随時チェックして高い評価を維持できるように努めましょう。
出品者の登録方法や、大口出品者のメリットについては、こちらの記事も参考にしてください。
商品に対する条件
Amazonにおけるクーポン発行対象商品の条件は、以下の通りです。
- レビューのない商品は対象です。
- レビューのある商品は、以下の基準を満たしている必要があります。
- レビューが1〜4件の商品の場合、評価の星の数が平均2.5以上である必要があります。
- レビューが5件以上の商品の場合、評価の星の数が平均3以上である必要があります。
- 商品は、出品者出荷、フルフィルメント by Amazon、またはマケプレプライムとすることができます。
- 商品は新品である必要があります。
まだレビューがついていない商品も、クーポンが発行できるため、販売実績がない新商品でも積極的に活用可能です。
また、上記のクーポン発行対象商品の条件を満たしていても、以下の条件にあてはまる商品の場合は、クーポンを発行できないため注意が必要です。
- 中古品、コレクター商品、認定再生品（整備済み品）
- 以下のGLに属するASIN
・gl_book
・gl_music
・gl_video_games
・gl_dvd
・gl_digital_software - 以下の種類の商品：
・本、ミュージック、ビデオ・DVD
・デジタルPCソフト - 不快感や嫌悪感を与えるような不適切なコンテンツが商品詳細ページに掲載されている商品
クーポンを発行する予定の商品が条件を満たしているか、発行前にしっかり確認しましょう。
Amazonクーポンを発行する5つのメリット
Amazonクーポンは、お得に商品を購入できるユーザーだけではなく、出品者にもメリットがあります。
Amazonクーポンを発行するメリットは、以下の5つです。
- ユーザーの流入数やクリック率（CTR）が増える
- 実質的な値下げで購入率（CVR）が高くなる
- 商品ページの露出機会を増やせる
- 高評価のレビューがつきやすくなる
- Amazon SEOの評価によい影響をもたらす
それぞれ詳しく説明します。
ユーザーの流入数やクリック率（CTR）が増える
クーポンを発行すると、商品ページへのユーザー流入数やクリック率が増加しやすくなります。
Amazonの商品の検索結果のページでは、クーポンが発行されている商品には、「10%OFF クーポンあり」といった表示がされるため、ユーザーに対して視覚的にアプローチできるのがメリットです。
クーポンの表示がつくことで、競合商品との差別化も図れるため、ほかの商品よりもユーザーの目に留まりやすくなり、クリックしてもらえる可能性が高くなります。
実質的な値下げで購入率（CVR）が高くなる
クーポンを発行することで、購入率（CVR）の増加が期待できます。
クーポンによって値引きされることで、ユーザーの購入に対するハードルを下げられるため、商品ページに流入してから実際に購入に至るまでの可能性が高まります。
とくに、新発売の商品などでは品質がよいものであっても、一度ユーザーに使用してもらわなければよさが伝わりません。クーポン発行によって値下げを行うことで、ユーザーが試しに購入してもらうためのきっかけづくりとしても活用できるでしょう。
商品ページの露出機会を増やせる
Amazonでは、クーポンが発行されている商品だけを掲載した「クーポン特集」などのページが用意されています。
クーポンを発行することで、通常の商品ページだけではなく、特集ページにも自社商品を載せてもらえるため、ユーザーへの認知の機会が増加します。
さらに、特集ページでほかのクーポン対象商品とあわせて購入してもらう相乗効果も期待できるでしょう。
高評価のレビューがつきやすくなる
クーポンを発行することで、高評価レビューの増加が期待できます。
「どのくらいの価格で購入できたのか」という点は、ユーザーが商品を評価するうえで非常に重要なポイントです。
購入時にお得である印象を与えることで、商品や出品者に対するユーザーからの印象がよくくなり、高評価のレビューがつきやすくなるでしょう。
Amazon SEOの評価によい影響をもたらす
クーポンを発行することは、その商品のAmazon SEOの評価にポジティブな影響をもたらします。
Amazonの検索結果で表示される順位には、Amazonのアルゴリズムからの評価が大きく関係しており、アルゴリズムからよい評価を受けることで、ユーザーから目に留まりやすい位置に表示されやすくなります。
これまでにクーポン発行のメリットとして挙げた、「ユーザー流入率の増加」「購入率の増加」「高評価レビューの増加」は、Amazon SEOでも重要な評価基準の一部であるため、クーポンを発行することは最終的にAmazon SEOの向上につながります。
また、Amazon SEOの向上によって、以下のようなサイクルが生まれることも期待できます。
このようなサイクルが生まれれば、少ないコストで効率的に売上増加につながり、ショップの長期的な利益増加が期待できるでしょう。
Amazon SEOの詳しい評価基準については、こちらの記事を参考にしてください。
Amazonクーポンを発行する4つのデメリット
Amazonクーポンには、気をつけなければならないデメリットも存在するため、注意が必要です。
Amazonクーポンのデメリットは、以下の4つです。
- 引換手数料がかかる
- 最低でも5％の割引が必要になる
- 利益率が低くなる
- カートボックスの獲得率に反映されない
それぞれ詳しく解説します。
引換手数料がかかる
Amazonでクーポンを発行するときは、クーポンが使用されるたびに引換手数料が発生します。ユーザーがクーポンを使用する際に、クーポンの引換手数料が60円かかります。
ユーザーが購入時に使用する際に発生するため、発行時に費用はかかりませんが、運用にコストがかかることを理解しておきましょう。
最低でも5％の割引が必要になる
Amazonでクーポンを発行するためには、最低でも5%以上の割引を設定する必要があります。原価が高い商品や、すでに市場価格が低い商品などでは、5%の割引が難しいケースも考えられます。
クーポンを発行する場合は、クーポンを使用しても利益が生まれる商品に対して発行しましょう。
利益率が低くなる
Amazonでクーポンを発行することで、商品の利益率が低下する可能性があります。クーポンには5%以上の割引が必須となっており、クーポンの引換手数料が別途かかります。
たとえば、価格が3,000円の商品を、10%OFFのクーポンを発行して100個販売した場合の売上は、以下の計算式の通り264,000円となります。
クーポンを発行しなかった場合よりも、36,000円分売上が低下することになり、利益もその分低くなります。クーポンを発行してもしっかりと利益を確保できるのか、前もって確認しておくことが重要です。
また、クーポン発行でどれだけの効果が発生していたのか検証することも忘れないようにしましょう。
クーポンの発行枚数や割引率の検証を繰り返すことで、コストや利益率の低下を最小限に抑えつつ、クーポンの効果を最大限に高められます。
カートボックスの獲得率に反映されない
クーポンによる値下げは、カートの獲得につながらないことに注意する必要があります。
Amazonでは、「Amazon以外のECサイトとの競争力がある価格」を設定している出品者の商品が、カートボックスに選ばれやすい傾向にあります。
しかし、カートボックス獲得で評価される価格は、出品時の価格であり、クーポンによって値引きされた後の価格ではありません。
たとえば、カートボックスの獲得を狙いたい場合は、「5,000円の商品を10%OFFのクーポンを発行して出品する」のではなく、「5,000円の商品を4,500円で出品する」ことをおすすめします。
Amazonのカートボックスを獲得する詳細な条件などは、こちらの記事を参考にしてください。
Amazonのクーポンを発行する方法｜7ステップ
Amazonのクーポン発行のやり方は、以下の7ステップです。
- クーポンの対象の商品を選択する
- スケジュールを設定する
- クーポンの割引率・割引金額を設定する
- クーポンの使用可能回数を設定する
- 予算を設定する
- クーポン名を入力する
- ターゲットを設定する
流れに沿って、ステップのポイントをそれぞれ詳しく解説します。
1.クーポンの対象の商品を選択する
最初に、セラーセントラルにログインし、「広告」の中にある「クーポン」の項目をクリックします。
クーポンページを開いたら、画面右上に表示されている「クーポンを作成する」と書かれているボタンをクリックしましょう。
「対象となる商品」のページが表示されるので、対象にしたい商品のSKUまたはASINを入力して検索し、「クーポンに追加」をクリックして追加します。ひとつのクーポンに追加できる商品の上限は200個です。
追加したい商品を選択し終えたら、「次のステップに進む」をクリックします。
2.スケジュールを設定する
クーポンの詳細設定画面が表示されたら、スケジュールを設定しましょう。
クーポンのスケジュールでは、クーポンを利用できる期間を設定できます。スケジュールは、最短2日～最長90日の間で設定でき、開始2日前まで登録の編集が可能です。
クーポンには審査があり、申請してから最短で6時間ほどで有効になるため、当日中のクーポン発行を行う場合は、審査時間を考慮しましょう。
なお、クーポンが有効になった後は、期間の延長と予算の増額しか設定を変更できなくなるため、慎重に設定することが大切です。
3.クーポンの割引率・割引金額を設定する
続いて、クーポンの割引率・割引金額を設定します。
商品の値段のパーセンテージから設定する割引率と、割引する金額を日本円で設定する割引金額の2つの選択肢の中から設定方法を選択できます。
クーポンで設定できる割引率は、発行する商品の過去30日間に販売されていたAmazonでの最低価格に対して最低5%〜最大50%と決められているため、この範囲内で設定することになります。
同時に開催されるタイムセールなどの割引は、クーポンとは別に適用されるため、最大50%に設定していてもそれ以上に割引されてしまう可能性がある点に注意しましょう。
4.クーポンの使用可能回数を設定する
クーポンの割引率・割引金額を設定したら、クーポンの使用可能回数を設定します。デフォルトでは、複数回使用可能に設定されています。
ひとり1回までに利用を制限することもできますが、リピーターなどの需要も予想されるため、基本的には複数回使用可能に設定しておくことをおすすめします。
5.予算を設定する
次に、クーポンの予算を設定します。
予算は「引換手数料と割引額の合計」で設定する必要があります。たとえば、1,000円の商品を10%OFFのクーポンを発行して100個販売する予定の場合は、以下の計算式で予算を計算しましょう。
予算を超過するケースもあるため、ある程度余裕をもって予算を設定することをおすすめします。
6.クーポン名を入力する
予算を設定したら、クーポン名を入力しましょう。
以下の条件にあてはまるクーポン名は設定できないため注意しましょう。
- Amazonのイベントに関連する語句を含むもの（プライムデーなど）
- 割引率を示す数字が含まれるもの
- 不快感を与えるもの
クーポン名は、管理しやすいように、100文字以内で対象の商品名やブランド名を含めるとよいでしょう。
7.ターゲットを設定する
最後に、クーポンのターゲティングを設定します。
以下2つの項目から、クーポンを発行する対象のユーザーを選択します。
- すべての購入者
- Amazonプライム会員
基本的には、「すべての購入者」を選択しましょう。選択が完了したら、「送信」をクリックしてクーポンの設定は終了です。
専用テンプレートから一括作成する場合
クーポンの設定は、エクセルなどで編集した「.xls形式ファイル」のアップロードでも可能です。
セラーセントラルにログイン後、「広告」をクリックし、「クーポン」を選択します。クーポンのページを開いたら、「一括作成する」をクリックします。
「テンプレートをダウンロード」の文字が表示されるので、そちらをクリックし、専用テンプレートをダウンロードしましょう。
各列に必要な項目を入力します。
| A列 | ASINリストセミコロン（;）で区切って入力※ただし、ひとつのセル内に最低15個以上のASINが必要 |
|---|---|
| B列 | 割引方式（割引率または割引金額） |
| C列 | クーポンの割引率 ※B列で「割引率」を選択した場合 |
| D列 | クーポンの割引金額 ※B列で「割引金額」を選択した場合 |
| E列 | クーポン名 |
| F列 | クーポンの予算 |
| G列 | クーポンの開始日 |
| H列 | クーポンの終了日 |
| I列 | 利用回数制限（ひとりにつき1回まで）「はい」か「いいえ」を入力 |
| J列 | 対象区分「すべての購入者」か「Amazonプライム会員」のどちらかを選択 |
専用テンプレートのファイルを編集したら、Amazonのサイトに戻って「ファイルを選択」をクリックし、アップロードしましょう。
ファイルに誤りなどがあった場合は、アップロード時に「ステータス」の欄に「作成エラー」が表示されるため、修正してアップロードし直します。
Amazonのクーポンの効果を最大限に高める3つのポイント
Amazonでクーポンを発行することは、値下げと似たプロモーションです。
効果が薄い状態でクーポンを発行すると、ただ利益率が低下してしまっただけなどの失敗につながるため、最大限に効果を高める施策を行いましょう。
クーポンの効果を最大限に高める方法は、以下の3つです。
- 効果が期待できる商品を対象にする
- Amazonセールにあわせて設定する
- 広告で商品の露出を高める
それぞれ詳しく説明します。
効果が期待できる商品を対象にする
クーポンには、相性がよい商品があります。クーポンを発行することで、商品の弱みを打ち消すことや、強みを伸ばすことが可能になり、売上増加が期待できます。
クーポンの効果を期待できる商品は、以下の3つです。
- 購入率（CVR）が低い商品
- すでに人気が高い商品
- 新発売の商品
- お試し商品
自社商品で当てはまるものをチェックして、クーポンを活用しましょう。
購入率（CVR）が低い商品
商品ページの閲覧数は多いのに購入率が低い商品は、クーポンによって値下げを行うことで、ユーザーの購入の後押しにつながります。
競合商品と見比べて悩んでいるユーザーが多い場合などはCVRが下がる傾向にあります。競合商品よりもお得であることをアピールできれば、流入してきたユーザーをそのまま購入まで促せるでしょう。
すでに人気が高い商品
自社の売れ筋商品など、すでに人気が高い商品は、クーポンの発行によりさらなる売上の増加が期待できるでしょう。
競合他社が参入できる余地を減らすことにもつながるため、すでに強い商品に対しても訴求を補強する意味合いでクーポンを活用することもおすすめします。
新発売の商品
新商品などは、あまりレビューがついていないことがよくあり、ユーザーが購入する判断に迷う傾向にあります。
クーポンによって値段が下がることで購入を決めるユーザーが多いため、レビューがついていない新商品のプロモーションにもクーポンの利用がおすすめです。
お試し商品
お試し商品もレビューの数が少ないことで、CVRが思うように上がらないケースがよくみられます。
クーポンで値下げを行うことで購入を促進させるだけではなく、レビュー獲得のスピードアップも期待できるため、積極的に活用しましょう。
Amazonセールにあわせて設定する
Amazonでクーポンを発行するタイミングを、Amazonのイベントやセールにあわせることで販促効果の増加を期待できます。Amazonタイムセールやプライムデーなどのセール期間中は、Amazon内のユーザー数が増加する傾向があります。
セール期間中しかAmazonを利用しないといった潜在的なユーザーや新規ユーザーもクーポンによって取り込めるため、クーポンを活用する場合は年間のスケジュールを立てておくことをおすすめします。
広告で商品の露出を高める
Amazonの広告サービスと組み合わせることで、クーポンの効果を高めることが可能です。
広告は、ユーザーを商品ページへ誘導する点で優れている一方、クーポンはユーザーの購入を促進する点に強みがあります。広告でCTRを高めてクーポンでCVRを高める戦略を行えば、売上の増加もより確実なものとなるでしょう。
また、「ある商品を購入すると、別の商品が割引になる」といったプロモーションとの組み合わせも導入することで、クロスセルの強化につながります。
Amazonのクーポンを活用する際に気をつけたい3つの注意点
Amazonでクーポンを活用する際の注意点は、以下の3つです。
- 設定した予算を超える可能性がある
- クーポンのキャンセルに時間がかかる
- クーポン発行のルールがある
それぞれ詳しく解説します。
設定した予算を超える可能性がある
クーポン作成時に設定した予算を超えた場合に、追加費用が発生する場合があります。クーポンは、予算の80%を消費した時点で非表示になります。
しかし、非表示となった後も30分間はクーポンの引換が可能であるため、この時間内に残りの予算を超えてクーポンの利用が発生してしまった場合は、予算をオーバーした費用が発生します。
このため、クーポン作成時は、予算の15%ほどオーバーしても問題がないように見積もることが大切です。
クーポンのキャンセルに時間がかかる
クーポンの有効期間が開始した後でも、クーポンのキャンセルは可能です。
ただし、キャンセル後約30分間は、クーポン取得済みのユーザーが注文を完了させるまでの猶予として利用可能となっています。すぐにキャンセルできないため気をつけましょう。
クーポン発行のルールがある
クーポン発行にもAmazonによってルールが定められているため、しっかりと規約を確認してから発行しましょう。とくに、レビューのインセンティブ目的でのクーポン発行は認められていないため、注意が必要です。
Amazonクーポンを発行して売り上げアップやレビュー獲得を実現しよう
Amazonのクーポンは、割引を受けられるユーザーだけではなく、出品者にもメリットのあるサービスです。お得な割引でユーザーの流入を増やしたり、購入率を高めたりできるだけではなく、レビュー獲得やSEOにも効果を期待できます。
しかし、実質的に値下げと同じであるため、正しい活用法でなければ利益率の低下などの失敗も予想されます。
Amazonのクーポンを戦略的に利用して、利益率の低下を最小限に抑えつつ、売上増加や高評価レビューの獲得につなげましょう。
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