採用マーケティングに欠かせないコンテンツとなっている、社員インタビュー記事。とはいえ、「何を質問すれば面白い記事がつくれるの?」と悩んでいる人も多いのではないでしょうか。今回は、記事の目的別に質問集をまとめました。話を引き出すヒアリングのコツもご紹介します。
abcompanyでは、オウンドメディアの構築・運営代行を中心に承っており、大手上場企業からベンチャー企業まで、数多くの実績があり、0からのオウンドメディア構築支援の経験も非常に豊富です。
「既存のWebサイト運用が上手くいっていない」「オウンドメディア運用して検索からお問い合わせが欲しい」などのお悩み等ございましたら、弊社担当者による無料相談も承っているので、ぜひお気軽にご相談ください。
インタビュー前の準備:記事品質を上げる3つのポイント
インタビューをするときは通常、アポイントを取って、決まった時間内に終了させる必要があります。取材当日にスムーズに進行するには、インタビュー前の準備がとても大切です。
さらに、この事前準備の内容が最終的に記事の品質を大きく左右します。まずは、準備段階の重要ポイントとなることを紹介していきましょう。
※社員インタビュー記事の制作プロセスはこちらを参考にしてみてください。
準備のポイント1:その記事が目指すゴールを明確にする
採用マーケティングとして社員インタビュー記事をつくる目的は、多くの場合、社員の声を通して自社の魅力をアピールすることでしょう。ですが、実際に社員インタビュー記事を制作するときは、もう一歩踏み込んで、その記事で得たい効果やゴールを明確にしておく必要があります。
たとえば、新規事業の立ち上げに際して即戦力となる人材を獲得したい場合と、新卒採用の母集団形成に効かせたい場合では伝えるべきことが変わります。当然ながら、質問すべき項目も変わります。
社員インタビュー記事制作の第一歩は、このゴール設定です。採用マーケティングでは、主に次の目的で記事制作をするケースが多くなっています。
- 企業理念への共感を得る
- 組織風土・企業文化への共感を得る
- 働いている人材の魅力を伝える
- プロジェクトや仕事内容の魅力を伝える
- 社内制度の魅力を伝える
- 成長できる場があることを伝える
このように、その記事に持たせたい役割を明確にすることで、記事内容や質問項目を検討しやすくなります。
準備のポイント2:インタビュイーについて下調べをする
事前にインタビュイー(取材を受ける人)の情報を集めて、ある程度の理解を持って取材に臨むことも重要なポイントです。優秀なインタビュアーほど、この工程を入念に行います。
下調べが重要な理由は、次の3つのメリットがあるからです。ポイントとともに解説していきましょう。
取材時に時間を有効に使えるようになる
経歴や実績など、取材しなくても分かるような基本情報を取材時に質問するのは非効率です。聞きたかったことを質問する時間がなくなり、内容が薄い取材になってしまう原因もここにあります。基本情報については事前に調べておくようにしましょう。
社員へのインタビューの場合は、基本情報シートを用意して取材前に提出してもらうという方法もあります。事実が時系列で分かるフォーマットにしておくと、インタビュイーのストーリーをつかみやすくなるのでおすすめです。
的確かつ深い質問ができるようになる
事前にインタビュイーが歩んできた道や背景、趣味・嗜好などの情報を知っていると、もっと理解を深めるために必要な質問が自然に浮かんでくるようになります。結果として、取材時に的確な質問を投げることができ、取材内容が深まります。
ただし、ここで注意したいのは、インタビュイーに対して先入観を持たないようにすること。フラットな視点から、インタビュイーについて理解を深めようという気持ちで臨むことがとても大切です。
自信を持って取材に臨めるようになる
下調べを入念に行うと、インタビュイーから聞きだしたいことが具体的になるので、自信を持って取材に臨めるようになります。
また、取材を受ける側は、インタビュアーが十分な下調べをしてきているか、すぐに分かります。人は「自分のことを理解しようとしている」と感じると、相手に対し信頼感や好感を抱きやすくなるもの。インタビューにも積極的に協力してくれることが期待できます。
このように、下調べは取材を受ける人が自ら話したくなるようにするための大事なポイントでもあります。
準備のポイント3:取材シートを作成して共有する
取材をスムーズに進行する方法としておすすめしたいのが、取材シートの活用です。「取材の目的」「記事のテーマ」「質問予定項目」を記載した取材シートを作成し、インタビュイーに共有しておきましょう。
これらの項目が事前に分かっていると、取材を受ける側はどのような話をするか整理しておけるので、インタビューを進めやすくなります。
インタビュー時の心得:取材の成否を握る3つのポイント
インタビューの成否は、インタビュイーが気持ちよく話せる雰囲気をつくれるかどうかにかかっているといっても過言ではありません。ここでは、インタビュー時に心得ておくべきポイントを紹介していきましょう。
取材時のポイント1:相手をリラックスさせる工夫をする
取材されることに慣れていない社員の場合、緊張して、うまく話せなくなってしまうことがあります。本音を隠して当たり障りのない話に終始してしまうことも珍しくありません。
このような状態になるのは、まずいことや間違ったことを話してしまうのではないかという不安が一因になっています。取材を始める前に、記事内容は後で修正できることを伝えて安心感を与えるように努めましょう。
そしてもうひとつの重要ポイントは、どんな話でも「肯定する」姿勢で傾聴すること。肯定的に聞いてもらえていると分かると、本音を話しやすくなります。ネガティブな内容や失敗談など、普段は表に出さないような話も引き出しやすくなります。
インタビューの極意は、「聞き上手に徹すること」と心得ましょう。
取材時のポイント2:簡単に答えられるものから質問する
インタビューがスタートしたら、まずは相手が答えやすそうな質問から投げかけてみましょう。これは、最初に答えに窮すると場の雰囲気がトーンダウンしてしまうからです。
答えがあいまいだったり迷ったりして話が止まってしまった場合は、クローズド・クエスチョンをうまく取り入れてみてください。クローズド・クエスチョンとは、いくつかの選択肢を提示して、その中から答えを選んでもらう質問方法です。
たとえば、「〇〇を選んだのはなぜですか?」と聞いて、相手が答えられずにいたら、「〇〇を選んだのは、Aが理由ですか?それともBですか?」というように、クローズド・クエスチョンに変えてみましょう。ABのどちらでもないという場合でも、そこから話を進めやすくなります。
取材時のポイント3:相手の様子をよく観察する
事前に質問項目を整理しておくことは大切ですが、実際の取材では、用意した質問に固執しすぎると、意外なストーリーや面白い話を聞き逃してしまうことがあります。
ありきたりの取材内容で終わらせないためには、相手の様子を注意深く観察しながら質問項目を変えていくことも必要です。取材に慣れていないとなかなか難しいことではありますが、たとえば、相手が熱心に話すことや興味深いと感じた話題は、さらに掘り下げて聞いてみるとよいでしょう。
社員の個性が表れている部分にフォーカスするのも、オリジナリティあるインタビュー記事をつくるポイントです。
インタビュー記事の目的別:質問集
60分の取材の場合、必ず聞いておきたい質問は5個程度、時間に余裕ができた場合に聞きたい項目も含めると10個ほど考えておくとよいでしょう。実際にはすべて聞くことは難しいケースがほとんどですが、備えがあると安心です。
ここでは、社員インタビューで使える質問集をまとめました。記事の目的ごとに整理しているので、ぜひ参考にしてみてください。
企業理念への共感を得る
- 入社の決め手になったことは何ですか?
- 入社前後でのイメージギャップはありますか?それはどこですか?
- やりがいを感じるのはどんなときですか?
- 今後実現したいことは何ですか?
- 会社の特徴を一言で表現すると?
- 会社の魅力を一言で表現すると?
組織風土・企業文化への共感を得る
- 会社で好きだと思うところはどこですか?
- 人に自慢できる会社の風土・文化は何ですか?
- 尊敬している社員はいますか?どんなところが尊敬できますか?
- どんな後輩に入社してほしいですか?それはなぜですか?
- 職場の雰囲気を一言で表現すると?
働いている人材の魅力を伝える
- 仕事で失敗したこと、成功したことは何ですか?
- 仕事で大切にしていることは何ですか?
- 仕事で楽しいと感じるのはどんなときですか?
- 自信を持っていることは何ですか?
- 大変だった仕事は何ですか?どのように乗り越えましたか?
- どんなキャリアステップを描いていますか?
プロジェクトや仕事内容の魅力を伝える
- プロジェクト(または仕事内容)の魅力は何ですか?
- プロジェクトの開発ストーリーを教えてください。
- もっとも苦労したエピソードを教えてください。
- 1日(1週間、1カ月など)のスケジュールを教えてください。
- 今後挑戦したい仕事は何ですか?
社内制度の魅力を伝える
- あって良かったと思う社内制度は何ですか?
- 社内制度をどのように活用していますか?
- プライベートの過ごし方を教えてください。
- 理想のライフスタイルはどのようなものですか?
成長できる場があることを伝える
- 自身の成長を実感したエピソードを教えてください。
- 入社して自分自身が変わったと思うことは何ですか?
- 身についたと思うスキルは何ですか?
- 今後身につけたいスキルは何ですか?
話を掘り下げる2つのポイント
用意した質問に答えてもらうだけでは、どうしても取材内容が薄くなってしまいがちです。そのため、状況を見ながら話を掘り下げていく必要があります。その場で臨機応変に適切な質問を投げかけられるか。インタビューの難しさは、まさにこの点にあるといえるでしょう。
魅力的なインタビュー記事をつくるには、読み手の感情や価値観に訴える内容を盛り込むことが非常に重要です。この要素を取材で掘り下げていくことがポイントになります。次の2つを意識して取り組んでみてください。
深掘りポイント1:具体的なエピソードやシーンを聞いてみる
事実や結果が並んでいるだけのインタビュー記事では、読み手をひきつけることはできません。実際にどのようなエピソードがあったのか、掘り下げて聞いてみましょう。話の内容が抽象的なときは、どのようなシーンでその状態になったのか具体的にしていきます。
たとえば、「仕事で苦労したことは?」という質問に対して、「いちから全部自分一人でやらなければならず大変だった」という答えが返ってきたとしましょう。ここから具体的なエピソードやシーンを聞き出し、ストーリーとして見えてくるところまで掘り下げていきます。
深掘りポイント2:「どのように感じたか」「なぜそう考えたのか」を聞いてみる
社員インタビュー記事では、社員のリアルな姿を見せることが読み手の共感を得るポイントになります。
質問方法では5W1H(誰が・何を・いつ・なぜ・どこで・どのように)がよく知られていますが、社員インタビュー記事ではとくに、「そのとき、どのように感じたのか?」「なぜそう考えたのか?」を聞いておくと、ストーリーに肉付けしやすくなります。
これらの質問は、社員のパーソナリティを引き出しやすいためです。象徴的な出来事や興味深い話が出てきたら、気持ちや考え方の変化に着目しながら深掘りする質問を投げてみるとよいでしょう。
読み手の視点からも質問を考えてみよう
採用マーケティングという目的にとらわれると、会社にとって都合のよい記事内容になってしまいがちです。面白い記事をつくるには、社員一人ひとりのストーリーにしっかり耳を傾けることがとても大切です。
そしてもうひとつ忘れてはいけないことが、読み手の視点からも質問を考えるということ。読み手が本当に知りたいと思っていることは何か。これを想像していくと、質問の幅が広がり、的確な質問を投げられるようになります。ぜひ意識してみてください。